こんばんは。


ご訪問くださり、ありがとうございます。

今日は、腹膜透析の方がご旅行されるときに役立つ情報をまとめたうえで、旅先での手動透析スケジュールについて、参考例をご紹介します。


1 透析液や機材の輸送について


旅先に透析液を運ぶ時、

A スーツケースに入れて自分で持って行く方法と、

B 自宅にバクスターから配達された段ボールのまま、宅配便でホテルにあらかじめ送る方法

があります。


あらかじめ宅配便で送る方法はこちらです。なお、機材(加温器と接続機)は、損傷防止のためにも自分で運ぶことをお勧めします。

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スーツケースに入れて持って行く場合の記事はこちらです。

ぽかおん(加温器)とつなぐ(接続機)のパッキングのやり方についても書いています。

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飛行機に乗る場合の手荷物預けの際の注意点と、お得な割引チケットについてはこちらに書いています。

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2  ホテルにあらかじめ連絡しておくとよいこと


かなり面倒な内容が多いので、くれぐれも低姿勢でお願いしましょう。スタッフにはかなりご迷惑をおかけすることになります。

※厄介な客として行くわけですので、宿では担当の方(仲居さんなど)に心付けをお渡しすると好印象です。

※お風呂やお部屋の清掃・衛生状況が大切ですし、旅先でトコジラミやコロナをうつされては大変ですので、値段が安いことより、安全性や信頼性を優先してホテル(やお部屋)を選ばれることをお勧めします。やはり良い宿は、設備もご配慮も行き届いています。


① 透析液の保管

 透析液を宅配便で送付される場合は、事前にお電話で、送ってもいいかどうか確認したあと、

「点滴液のような医療機器ですので、暑すぎず、寒すぎないところで、濡れないように、箱を倒さないで保管していただけますでしょうか」

と、あらかじめお願いしておくとよいです。


② 点滴に必要なものの依頼

「透析液を吊るしてお腹に入れるために点滴スタンドのようなものが必要なので、帽子掛けやコート掛けなどがあればお借りしたいです」

とお願いすると、役に立つものを部屋に入れてくださるケースが多いです。宴会用のコート掛けはよくお借りしました。特に、洋風ホテルですと、これがあると助かります。

和風旅館は鴨居でなんとかなります。また、そういうものはないです、という宿もあります。

 延長コードもお借りできるようお願いすると助かります。


③ 食事場所の依頼

 部屋食プランならいいのですが、食堂やお食事処とかになる場合、

「透析患者がコロナなどに感染すると死亡率がとても高い、とのお話ですので、恐れ入りますが感染予防のために、なるべくすみっこーの端っこーなどで、ほかのお客様から離れた席があれば、そちらにしていただけると有難いのですが」

とお願いしておくと、ご配慮くださることがあります。

無理なこともあるので、できれば…ぐらいでお尋ねしてみるといいです。


④ 食事の依頼

 「透析患者なので、できる範囲でかまいませんので、薄味の減塩にしていただけると助かります」

ということと、

たんぱく質の総量規制があるので、肉、魚、卵、豆腐など、動物性でも植物性でも、たんぱく質のものは盛り付け量を少なくしていただけると助かります。たとえば、刺身は一種類につき一切れずつ、という感じにしていただければ」

などとお願いしておくと、ご配慮くださることがあります。

詳しく説明しないと、肉と魚を避ければいいのよね、と、湯葉と豆腐がドーンと出てきたりすることがあります。

※無理なので残して下さい、と言われることも多いです。逆に、完璧なご配慮をしてくださったときは、やはり、板長さんやシェフに心付けを包んだりしたほうがよさそうです。

(感謝のお手紙を書いてお渡しするのも喜んでいただけます。)


3  荷物の運搬 


 透析液も、つなぐも、ぽかおんも、医療機器です。

→衝撃は禁物なので、できれば透析関係のものが入ったトランク(スーツケース)は自分で運んだほうがいいです。

お運びしましょう、といわれてスーツケースを預けると、裏で台車から落ちてガターン!とかなることがあります。

タクシーなどでも、

医療機器で壊れ物です!

めちゃくちゃ重いです!

ということはお伝えして、なるべく自分でそーっと積んだほうがいいですし、車に積むときはスーツケースを平たく寝かせましょう。


ANAやJALでもらえる「壊れ物」の赤いタグをスーツケースにつけておくと、わかりやすいので比較的安心です。


4 旅に持っていくと良いもの


① 大きめのS字フック2個とビニール巻き(被覆)ワイヤー

透析液を吊るす時と、排液をトイレで捨てるときに使います。

ワイヤーがあれば、ホテルの送風口にワイヤーを通して輪にしてそこにS字フックをかけたり、カーテン用のリングにワイヤーを通して輪にしたりと、いろいろ工夫ができます。

ビニールを巻いた1メートルぐらいのワイヤー(見た目が白いものなど)をぐるぐる巻きにして、つなぐのケースの横ポッケに入れておくといいです。


トイレでの排液の捨て方です。

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② キッチンスケールとプラケース

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https://ameblo.jp/piyopenta/entry-12772008233.html 


排液の重さを測るためです。サイズを選べば、入れ子にしてぽかおんにちょうど入ります。↑の記事をご覧下さい。写真付きです。

なお、↑の記事の表題画像になっている鴨居フックは、和風旅館への旅行の時に大活躍します。



③ 70%アルコールを入れたスプレー容器と、キッチンペーパー


宿についたら、ベッドやソファなどの近く(または布団を敷いてもらってその近く)に透析エリアを作って、つなぐやぽかおんをセットすることになりますが、念の為、テーブルなどを消毒しておくと安心です。

スプレーと、キッチンペーパーを十枚ほど、大きめのジップロックに入れて持っていけば、手の消毒にも掃除にも使えて便利です。


④ 入浴用パック(カテーテル保護シール)、スワブスティック(消毒用綿棒)、ワイカットガーゼ、サージカルテープ、保湿剤などお風呂グッズ

お風呂に入る時使ってください。

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5 旅先での透析スケジュール


CAPD(手動腹膜透析)のかたは、日頃と同じスケジュールで、旅先でも透析なさればよいのかな?と思います。


APD(機械夜間透析。かぐや)の方は、ご自分の夜間透析スケジュールを考えて、旅先での手動透析スケジュールを組むとよいのではと思います。


主人は60歳で透析開始、172cm71kgでした。


透析を始めた最初は、レギュニール1.5の1.5リットルを3袋、夜中に使って、朝の最終注液でエクストラニールを入れて終了するレシピでした。


4年目の最後のほうは、


レギュニール1.5の2リットル✕2袋

レギュニール2.5の2リットル✕2袋

+最後にエクストラニール


と5袋に増えました。

しかも、夜のAPD以外に、夕方に一回、手動で2.5を2リットル入れるようになりました。


夜は8時間で回していましたので、1袋あたりのレギュニールの貯留時間は60分から75分程度です。


レギュニール(ブドウ糖)は、入れて2時間で除水量が最大になり、そのあとは再吸収してしまいます。

12時間入れていても大丈夫なエクストラニール(イコデキストリン)とはかなり違います。

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そんなわけで、旅先での貯留時間は2時間をめどにすればいい、ということになります。
何袋やるかは、主治医の処方次第です。

なお、透析の前にプライミング(液を混ぜ合わせて、ぽかおんで温める)をする必要があり、加温に1時間はかかるのですが、排液に20分かかるので、温めはじめてから40分ほどした時点で排液をしはじめると、ちょうど合計1時間温めて人肌になったころ、排液が終わります。

ホテルのチェックインは午後3時が一般的ですので、

チェックイン3時過ぎ
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部屋に入ったらすぐにテーブルを消毒してプライミングし、温め始める。
配偶者や子供には大浴場などで遊んできてもらう。
温めてる間に、自分はおへやのお風呂に入ったりしてくつろぐ。
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4時半頃から1回目の透析開始。
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5時半頃透析終了。次の透析液のビニールをはがして、透析エリアに並べておく。
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6時半から夕ご飯。ご飯に行く前にプライミングして加温開始しておく
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8時ころ戻ってきて2回目の透析開始
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9時頃終了。次の透析液の準備をしておく。10時頃にプライミングして加温開始
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11時頃3回目の透析開始、12時頃終了。
朝のための透析液のビニールをはがして(開通はしない)、ぽかおんの横に置いておく。
おやすみなさい。

朝5時半頃、透析液を開通させて加温開始。まわりのビニールさえ前夜にはがしておけば、バリバリいう、うるさい音はしません。
つなぐのガイド音声は小さくしておいてください。
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6時ころ4回目の透析開始。
7時ころ終了。朝ご飯へ。
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機材を片付け、10時チェックアウト。

と、こんな感じです。
もう一回増やすなら、朝ご飯のあとに5回目を入れるといいです。

滞在中、ずっとプライミングと透析をしてる感じもありますが、機械につながれずに自由に寝返りをうてるのは素晴らしい、と主人は言っていました。

客室に露天風呂の付いてるお部屋などをとれば、家族が大浴場に行ってる間にゆっくりと温泉を楽しめます。
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腹膜透析でも温泉旅行は楽しめますので、じっくりプランニングなさって、旅行をお楽しみくださいね。

あまり観光で頑張りすぎないほうが、ゆったりと旅を楽しめるのでは、と思います。
上げ膳据え膳と温泉、という非日常でリフレッシュなさってください。

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