酒の力を借りたいけれど。 | 曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

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元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第124回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「黄金町」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

 

 

先日、黄金町(こがねちょう)のYouTubeを見た。

20代前半、この写真の横浜日劇へ行った。

1953年に開館なのでリアル50s

看板のシネマスコープも、内装も固い椅子も最高だった。

 

当時の黄金町の写真、探したけど見つからない。

ストリップの黄金劇場の写真とか、どこかにあるはずなんだけどなあ。

見つかったらブログに載せます。

 

YouTubeを見ると、昔の「ちょんの間」だった所は、空き家が多く寂しい感じになってた。

現在は、アートで街を盛り上げようとしてるみたい。

 

歌舞伎町も、黄金町も変わっちゃって寂しいかぎり。

綺麗なだけが街じゃないよな。

雑多で怪しくピリピリした感じを味わいたいわ。

 

 

[今週のブライアンのお勧め画家/フランシス・ピカビア]

 

フランシス(18791953)のの作品は、印象派からキュビズム、ダダ、具象、透明絵画と頻繁にスタイルが変わって面白い。

●生涯に車を127台も変えたというから、ただの飽き性なのか凝り性なのか、貪欲なのか謎。

80年代のニューペインティングのデビッドサーレやクレメンテは、明らかにピカビアの影響を受けてそう。

 

 

 

 

 

 

4月3日(水)鬼子母神は雨。

 

午後、友人が高校1年生の息子を連れて遊びに来たので、近くの「煙草の吸える」喫茶店で駄弁る。

(もう「煙草の吸えない」珈琲専門店キアズマが休みだったため)

私という存在自体、15歳の息子の教育上、問題がありそうだが、かまわず喋りまくった。

ほら、何度もいうが、普段誰とも会話をしてないからさ。

寝だめ食いだめ、喋りだめってやつだ。

 

「オレって実は、おしゃべりだったんだなあ」

「何をいまさら、もともと凄いおしゃべりでしたよ」

このやり取りも何回目か。

 

友人が息子へ向かっていう。

「このオジサン、高校生のころは、お母さんにソックスはかせてたんだよ」

友人はこの話が好きらしい。

「いや、ソックスだけじゃなく、シャツやズボンもだけど」

 

毎朝、学校へ行きなさいとうるさいオフクロに、じゃあ、制服着せろと無茶を言っていたのだ。

で、ぶつくさ言いながらもオフクロ富ちゃんは、荒っぽく布団の私にシャツを着せ、ズボンやソックスまではかせていたのである。

「相棒のユージが、よくオレのことマザコンだって言ってたけど、やっぱオレってマザコンかなあ?」

「そりゃあマザコンでしょう」

このやり取りも千回目か。

 

「でも、20歳のときに同棲を始めたころは、やっぱりソックスとかはかせてもらってたけどな」

「そもそも曽根さんて、男尊女卑なんですよ」

「まあ、東北の八つ墓村みたいとこが曽根の本家でさ、冠婚葬祭のときは、男は酒を呑むだけ、女は老いも若きも割烹着を着て台所に溜まってて、畳に座れなかったからね。同じ宮城県生まれのカミさんが、曽根家って異常だよってビックリしてたっけ」

 

友人へあげようと持ってきた『スピン』を、友人のいうままに息子へあげた。

その場でサインまでして。

実は以前、息子は私の部屋に入ったことがある。

『スピン』に書いた作品は、この六畳での話なので、彼にも雰囲気は理解できるだろう。

しかし、私に会わせること以上に、その10枚を読ませることは、はっきりと教育上問題であるな。

まあ、少年よ、ボーイズ、ビー、シド・ヴィシャスだ。

 

文芸誌『スピン』7月号

(河出書房新社)

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の七曲り荘二〇二号室よりずっと」

曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

4月5日(金)鬼子母神は曇り。

 

午後3時、男性ホルモン注射を受けに池袋のクリニックへ。

向かっている途中、某寺の門前道を通るのだが、そこの桜並木が、なんともう7分咲きとなっており、昼間からけっこうな花見客で賑わっていた。

(ド派手なゴスロリの外人たちが地面にシートを敷いて缶酎ハイを呑んでたり)

しかし、先日いた若い女の猿回しと猿の姿はなかった。

残念、あの可愛い女子と猿を観たかったな。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/詩人田村隆一の横顔]

 

●若いころ舎弟だったKから10年ほど前「日本の詩人で誰を読めばいいの?」と訊かれたことがある。

しかし、当のKは詩人体質で、中原中也とか好きだったはずだ。

「ああ、戦後の詩人なら田村隆一ひとりだよ」

私は即答した。

 

●処女詩集『四千の日と夜』(1956年)は日本文学史に残る「ハードコア」な詩集であり、その後の「柔らかい」作品もまたチャーミングだ。

酒を愛し、眠りを愛した詩人の横顔は、厳しくもアイドル性が高く、男らしい。

 

 

 

――帰り、スーパーへ寄ると、サツマイモが安売りされていた。

細いが、短いのもふくめて6本ほどが入って、なんと130円だという。

興奮して、袋をひっつかむと、つぎつぎと籠に入れ、4つ目を掴んだとき、我に返った。

で、4つ目は箱へ戻した。

3袋でも、かなり重いし。

 

部屋へ戻ると、さっそく芋を1袋煮た。

鍋じゃなく、いつものように湯沸かしポットにたたきこむ。

ポットいっぱいになった。

そのまま1時間、芋はよく煮たほうが、柔らく甘くなるので。

 

 

NMIXXつれづれ草]

●暗黒の瞳の狂人ヘウォンの腹筋をめでる。

 

●YouTube番組『ウォークドル2ㅣNMIXXのへウォン』のサムネ(瞳に光があるヴァージョン)。

 

 

●リーダーのヘウォン(21歳)が今回、YouTube番組のホステスに抜擢され、その1回目で「内装工事屋」でバイトする企画が公開された。

現役アイドルが挑戦するバラエティ企画としては破格だが、ソリュンにして「世の中にこんな面白いひとがいるとは思わなかった」と言わしめたヘウォンであるからにして、ここは通常営業であると言えよう。

 

●私の20代前半の「土方時代」、22歳前後に1年半、某内装工事屋に務めていたことがあった。

その時代のことを、私はほとんど書いていないが、もちろんあまりいい思い出がないからだ。

なにせ私は、釘をまっすぐに打つことさえできない男である。

「立体工事」の才能が皆無で、同僚の先輩たちのお荷物となっていたのだ。

 

●そもそもやる気がまったくない。

当時はバンド活動だけが全てであった。

それでも1年半つづいたのは、会社の先輩たちが皆、善人であったからだ。

(先輩は皆、大学出で、そのうちひとりは敬虔なクリスチャンだった)

現場仕事にも「才能と知性」が必要という、当たり前のことを知れたのは、いい勉強になったが。

 

●で、今回ヘウォンの番組を観たらば、私がやっていたことを、そのままやっていることに懐かしさを覚えた。

天上のボード張りがメインであったが、使っている道具や、石膏ボード等も、おそらくそれほど品質は(35年前と)変わってないように見えた。

あのころは1枚9キロと12キロの石膏ボードを、一度にあ4,5枚、計200枚運ぶなんてざらだったが、ヘウォンも、背中にかつぐかたちであったが、1度に4枚運ぶ姿に、やはり日々体幹を鍛えているだけあるなあと感心した。

 

●彼女のダンスは、メインダンサーであるキュジン(17歳)ジウ(18歳)の陰に隠れているが、その無駄のない、女性らしいしなやかな、それでいて男性アイドルと踊ってもまったく遜色のない力強さを見せることでファンが多い。

 

 

 

4月6日(土)鬼子母神は曇り、夜になって小雨降る。

 

体調のいい日などないことは諦めているが、それでも季節の変わり目はひどい。

ここ3週間の記憶が、ほとんどないほどだ。

(このブログに書いてないことは、もはや雲散霧消している)

 

[朝食兼昼食]

●細サツマイモ3本

●小さなリンゴ

●茹で卵

●三角チーズ

●ミルクティー

 

 

しかし、ちょいちょい怒っていたことは憶えている。

YouTubeの政治ニュース番組を観てだ。

吉田拓郎の「ペニーレインでバーボン」では、

 

「~気持ちの悪い政治家どもが、勝手なことばかり言いあって、

時には無関心なこの僕でさえが、腹を立てたり怒ったり~

そんな時、僕はバーボンを抱いてる、

どうせ力などないなら、酒の力を借りるのもいいさ~」

 

と歌っているが、いまの私にはバーボンを抱く体力はない。

あったのは26歳から10年ほどで、毎晩、そいつのソーダ割りの力を借りていたもんだ。

あのころのワイルド・ターキー(8年だか16年とか)は、8,000円以上もしてたっけ。

いつからか、バーボンは焼酎並みに安くなったが、その恩恵にあずかってないな。

 

酒の力を借りることができなければ、あの政治家どもの無礼千万に対し、どうやって気持ちをなだめればいいのだろう。

あなたは、どうしてる?

あの知性の欠けらもない、ひとを舐め腐った、厚顔無恥の薄らはげどもの言動に対して。

 

ひとの気持ちを「合理性」で切り捨てるのは、小学1年生の足し算で、答えを間違えてるバカボンのパパの愛嬌さえないボンクラだ。

なのに当人は知的なエリートを自尊していやがる。

オレがプーチンであったなら、片っ端から「放射性物質」を、腹一杯飲ませてやるのになあ(しみじみ)。

 

「だからこそ投票にいかなければならない」

が、それもやはり初歩的な足し算でしかないのでは?

「それでも歯を食いしばって投票にいかなければならないんだよ」

確かに、その通り、ザッツ・ライ。

なのか?

 

私はこれまで1度も投票したことはないし、これからもない。

理由は言わない。

薄汚い口調になってしまったな、申し訳ない。

やはり酒の力を借りようか?

季節の変わり目は、気持ちも土砂降りのどぶだ。

 

 

[夕食]

●赤魚粕漬け(半額だったので2パック買った)

●たらこ

●海苔

●カブとキュウリの糠漬け

●昨夜の残りの味噌汁(ナス、油揚げ、三つ葉)

●ごはん

(うう、相変わらず塩分過多だな)

 

 

春になってきて、今年また異常発汗が始まりかけているような。

食後、ぐっしょり重くなったTシャツを替える。

クスリを飲んで、布団に横になる。

 

おやすみなさい。

酒の力を借りることができなければ、眠りに逃げ込むしかない。

お茶の1杯目は苦く、2杯目は甘く、3杯目は渋い。

それが人生だと、昔のひとは言った。

私に甘い人生などあったか?

あなたに甘い人生があったかどうか。

眠りもまた人生なのだから、甘い夢を見たいものだ。

良い夢を。

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300

税込み価格1320

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comには、遊離型テストステロン11.8 pg/ml要注意(ボーダーライン)8.5pg/ml以下の場合は明らかに

(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

A面「PISSINTOMY HEROES
B面「七曲荘二〇三号室」

 

セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 

アドレス:budroll.shelvis.sy3@gmail.com

――以上へ以下のことをメールしてから、お金を振り込んでください。

郵便番号と住所
名前(口座のカタカナ読み振りも)
電話番号
サード、セカンドのどれを希望するか

(ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)
振込先――ゆうちょ銀行

BUDROLL(バドロール)
普通口座:店番908
口座番号:5133817

 

 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 

 

『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。

 
P.S.

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