曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第134回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「アー写」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

●佐藤ブライアン勝彦(1968~)。リーゼントは昔っから。

 

 

今週、アー写(アーティスト写真)用に写真を撮ってもらった。

カラーとモノクロがあるんだけど、モノクロがこれ。

「これさぁ、昭和の任侠映画に出演してる人ですか? どうみても絵を描く人に見えない。もう志賀勝か勝新じゃんw

って話になり盛り上がった。

 

これが曽根さんが言ってた「東北70年代ヤンキー顔」かと。

客観的に見て、これでスーツ着てたら怖すぎでしょ。

サングラスかけるのやめます。

 

 

[今週のブライアンのお勧めロカビリー/ジョニー・バーネット・トリオ]

 

●1952年から57年まで活動したアメリカのロカビリーバンド。

●10代前半に初めて聞いたのは有名な「you're sixteen」なんだけど、後にガツンとやられたのは、このアルバム。

音といい、声といい最高すぎた。

●もちろん、レコードで聞いた方がいいんだけど、プレーヤーが壊れてしまった為、YouTubeで聴いてます。

https://youtu.be/vrdcJ4-39Bo?si=suoGJUukqjvynnh7

 

 

志賀勝(1942~2020)。川谷拓三や室田日出男らと「ピラニア軍団」(京撮大部屋切られ役)を結成し、深作欣二監督『仁義なき戦い』シリーズで跳ねた、役柄は「せこい」が、玄人うけする渋い俳優。

 

 

 

 

6月20日(木)鬼子母神は曇り。

 

午後になって、ようやく荷造りを始める。

3時半、押し入れの上段のもの(ほとんどが衣類)を箱詰めし、廊下を挟んだ右対面の空き部屋(201号室)へ運ぶ。

その数、段ボール箱5箱。

大きなポリ袋のゴミが2袋(これはそのあとゴミ置き場へ)

 

これだけで、ふらふらになっているときに、前田プロフェッサーよりメールがある。

「今日の朗読用の詩はプリントアウトしなくていいの?」

えっ? 

ありゃ、今日が20日か!

明日だとばかり勘違いしていたのだ。

 

慌てて、書いていた短い詩を3つ、バラけさせ繋げ、ひとつの詩に仕立て、前田くんへメールした。

この間、25分。

いつもより短い詩だが、長いのばかりだいぶ続いていたから、今回は、前田くんの演奏を表に、私は裏に回ろう(気持ちだけ)。

まあ、この時点で、今日1日分の、電池を使い果たしていたのだが――。

 

 

――どうにか倒れずに部屋へ帰ってきたのが11時近く。

ばったりと布団に倒れ、寝たままパジャマに着かえる。

 

配信途中で完全に電池が切れ、最後の詩の朗読は、低血糖症状もあり、よく噛まずに読めたなと自分を褒めてやりたいほどの体たらく。

しかし、前田プロフェッサーの演奏は良かった。

(ひとりでシンセ、ディジュリドゥ、ブロック状の打楽器を演奏)

 

 

●当日の写真。左から死体写真家の釣崎清隆、これでシラフの私、セルフポートレートの写真家ツージー、身体改造ジャーナリストのケロッピー前田。私はこの写真を撮ったあと、皆を置いてよろよろと、ゴキブリのように街路へ這い出た。

 

 

クスリを飲み消灯。

眠りに落ちる前に、新宿駅の副都心線改札で、突如、頭に浮かんだアイデアを思い返す。

MIXXPOPのように、おれの詩にも、1編の中に、まったく違う語りや、違う色の情景を挟みこめばいいんじゃないか?」

 

今日読んだ詩がそうだった。

前半と後半が、違う口調の違う内容となっていたのだ。

それが、自分でもけっこういいなと、帰る途中でつらつらと思い返していた。

これまで書いた長めの詩でも、なんとなく別の語りを挟むようになっていたじゃないか。

 

「いや、なぜ、お前が2年半もMIXXPOPにこだわっているんだ? そのスタイルが詩にも使えると考えたからじゃないのか?」

なるほど、そうか。

なんとなくじゃなく、意識的に「MIXXPOEM」というスタイルにチャレンジしてみればいいじゃないか。

そう決めると、たちまち眠りに落ちた。

 

 

 

6月21日(金)鬼子母神は雨。

 

今日も雨か。

それもけっこう強い。

便所の小窓から眺める隣家のアジサイも、青紫色の花びらで雨をはじいている。

 

用を足してから、ざっと便所掃除をする。

共同の便器を磨くのも、あと数日か。

死が近くなると人は便器を汚しても気づかない。

この七曲り荘で(私の例も含め)学んだことだ。

 

 

昨日の疲れがひどく、昼近くまで起き上がることができなかった。

が、せめてひと箱だけでも詰めようと、段ボール箱をガムテープでつくる。

その後、結局、押し入れの下段のすべてを箱詰めした。

 

段ボール箱大小5箱(すでに段ボールに入っていたのもあったため)

大きなポリ袋のゴミ1袋。

ゴミ以外を201号室に運ぶ。

 

 

[遅い昼食兼夕食]

●赤海老& 小ぶりな筒イカ&アサリのトマトスープ・パスタ(ニンニク、ゴルゴンゾーラ、バジルソース、ワイン、トマトの缶詰)

●グレープフルーツ

●ミルクティー

 

 

パスタはネジネジのショートパスタが余っていた。

赤海老とアサリは、おとつい半額だったので買ったのだが、昨夜は疲労でとても調理できず、もうダメかな? と諦めていたが、どうにかもってくれた。

(馴染みのスーパーは他店と比べ見切りが4日! ほど早い)

 

ゴルゴンゾーラ・チーズ(業務用が千円ほどで買い置きしてある)をたっぷり入れてみたところ、なかなか不思議な風味となり旨かった。

(クリームシチューにゴルゴンゾーラを入れるのがピスケン流)

ワインの小瓶を1本、余すのもなんなので使い切り、だからスープ・パスタとなったのである。

当然、具もスープも余り、タッパーに入れ冷蔵庫へ。

 

 

NETFLIXに北野武監督『首』が上がっていたので観る。

構想30年の割りに、ずいぶんと雑なつくりの映画――特に編集がぐだぐだ――だったが、こうして部屋で寝ころびながら観るぶんには面白かった。

なにせ、たけしがつくる「戦国BLコメディー」だもの。

(西島秀俊と大森南朋がよかった)

 

 

これは仲間(野郎)と酒を呑みながら、あれこれ突っ込みつつ観れば、そうとう楽しいんじゃないかな。

ちなみに北野映画の私のベスト1は『3-4X10月』だ。

 

昨日の疲労と今日の箱詰めの疲労で、クスリを飲むと、たちまち眠りに落ちた。

その寸前まで、詩のスタイルについて考えながら。

 

 

NMIXXつれづれ草]

●アイドルを自負しているくせに、ステージでこんな顔を平気でするNMIXXリーダー、メインヴォーカルのヘウォン(21)。特に日本ではオタク人気が凄い。アイドルをしていなかったら教師になっただろうという、生まれつきの「メンター(指導者)」気質。

●同様に、メインヴォーカルの長女リリー(21)はカウンセラー、3女ソリュンは保母さんと答えたから、NMIXXの上3人は皆メンター気質というのが面白い。ちなみに他の3人は皆アーティスト気質というのもファンからすれば当然か。

 

 

●「Soñar (Breaker)」(ソニャールとはスペイン語で夢)のステージのソリュン(20)。このときのスタイリングが好き。ソリュンのクールさを引き立て似合っていると思う。ベリーショート好きのオレとしては、ソリュンのそれを見てみたい。シルヴィア・クリステル並のエロスを期待する。

 

 

●なんかのブランドの発表会に出席させられたヘウォンとソリュン。こういうフリフリを着せたら、たちまちアイドルに化ける2人だ。

 

●先日、日本のテレビ(NHK系のどこかのなにか)にNMIXXが単体で紹介された(2部構成で2部目は来週)。

冒頭、MIXXPOPの説明で、いきなりデビュー時のソリュンの言葉が流れた。

「私たちの曲を一度も聴いたことがない人はいるかもしれない。だけど、一度だけしか聴いたことのない人はいない」

(翻訳なんで言葉が固いのは御勘弁を)

つまり、1度聴けばハマると言いたいわけだ。高校3年生のソリュンはレトリックを使い、紹介コピーとして使えるよう狙ったのである。

 

●我が推しは、メンバー内で唯一の「内向的」メンバーとして売り出されたが、いざというときはレトリックを操り、舞台では「メイン・ヴィジュアル」を恥ずかしげもなく演じる「度胸少女」なのであった。デビューして2年4カ月、KPOP1のヴィジュアルとして、KPOPファン以外にも認知されたが、その歌唱力の高さもようやく知られ始め、そろそろ彼女の「異常性」が気づかれ始めたことを私はことほぎたい。

 

 

 

6月22日(土)鬼子母神は晴れ。

 

午前7時に目覚めるが、また眼を閉じ、寝たまま色々と考える。

どうにもからだが起き上がれない。

実は、ここ1週間ほど前から同じ状態がつづいており、昼までこうして考えごとをしながら、うつらうつらとしている。

 

●戦後の自由詩がむずかしくなったのは、それまでの「叙情性」を捨て、よりミニマムに、よりハードコア(読者からすれば意味不明)になったためだ。

●田村隆一の「詩とは感情を隠すアート・フォームだ」という言葉が、若き詩人たちの指針となったせいだろう。

●しかし、そのせいで、戦後の自由詩は若者に愛されなくなった。

 

●その代わりにシンガーソングライターの歌詞が、若者たちの胸をヒットした。

●歌詞とは定型詩だ。

●なぜなら、リズムやテンポ、小節やコードやメロディ、なにより時間に縛られているからだ。

●定型詩は強い。和歌や俳句に慣れ親しんできた日本人には特に理解しやすい。

 

●ここ半世紀に日本で詩集がヒットしたのは、俵万智の歌集『サラダ記念日』しかないものな。

●彼女の場合、短歌という日本独特の定型詩に、現代口語を盛ったところが新鮮だった。

(むろん俵万智は若年の頃から、いにしえの和歌にも造詣が深い)

●その中身は1500年ほど前から変わらずつづく叙情詩、恋歌(こいか)であった。

 

●自由詩は自由詩でありながら「定型を模索する」アート・フォームである。

●誰だって書いてみればわかるだろう、自然と形がきまり調整されるのを。

●「詩とは書きながら教わるものである」

●定型を模索するも、上の言葉も、やはり田村隆一に教わったものだ。

 

「ミニマムでハードコアな連と連の間に、まったく語りの違う抒情詩が挟まったスタイル、それが自由詩でありながら定型性をあわせもつMIXXPOEMとなるのではなかろうか?」

 

まあ、ゆるい「カットバック」ともいえるな。

とはいえ、がちがちに使えば、また詩がこむずかしくなる。

やはり、ゆる~く、なるたけ自然な意識とフォームを心がけよう。

 

 

[遅い朝食兼昼食]

●昨夜の残りの海鮮トマトスープ・パスタ(ただしパスタは普通の細長いやつ)

●ミルクティー

 

 

落ち着いてから、久しぶりに漫画を読む。

詩集の編集者のりっちゃんが、6年ほど前に貸してくれた、山田参助『あれよ星屑』全7巻だ。

5年前に読んだきり、押し入れの本にまぎれ、今回整理するまで忘れていたのだが、1巻を手にとって読み始めたら、一気に7巻を読み終えてしまった。

 

●(株)KADOKAWA発行

 

そういえば、やはり5年ほど前の「鬼子母神御会式」の「みちくさ市」関係者の呑み会に、作者の山田さんが顔を出しており、挨拶をしたようなしないような。

(関係者の友人だったようだ)

 

話は、戦後の闇市編と、戦中(中国戦線)編が、交互に描かれてゆく。

最終巻最後のページに、かなりの数の参考文献&資料が並んでいるが、絵とキャラクターは、バロン吉元の『柔侠伝』と、たなか亜希夫作画&狩撫麻礼原作『迷走王ボーダー』に、かなり影響を受けているのは間違いない。

 

どちらも大好きな作品で、『迷走王ボーダー』は『漫画アクション』連載時にリアルタイムで読んでおり、当時は主人公の「蜂須賀」と、私(20代前半)が似ていると(その貧乏ぶりが)、よく後輩たちから蜂須賀呼ばわりされていたものだ。

 

ただし、

マジで『迷走王ボーダー』の「思想」もどきにはまっているバカに、その後よく出くわし、閉口させられたり、脅しを受けたりしたもんで、そのタイトルを口にするのは避けてきたが。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/バロン吉元『柔侠伝』torch comics

 

●明治~大正期の日本と中国大陸を舞台にした、三代に渡る主人公たちの傑作ピカレスク・ロマン(分厚い上下巻)。

バロンは天才的絵師で、その後の漫画家への影響は大きい。ユーモアとシリアスのバランスに長け、また主人公の無邪気さとカッコよさ、ヒロインの可愛さと強さが同時に表現され、キャラクター造形の見事さはやはり漫画史に残るものだ。

 

●作品は、当時の苛烈な世相をユーモアでくるみながらもリアルに描き、歴史に名を残すものたちや資本家に対し、特高に拷問を受ける赤や、様々な下層民、武道家、女郎、兵隊、侠客、大陸の馬賊、等々がギャグを挟みながらも露骨に語られる。

 

●女郎屋に売られた寒村の若い女が、東京行きの電中で、突然、通路にしゃがみこんで小便をするシーンが忘れられない。人買いから綺麗な着物を着せられたその女は、白痴なのだ。

その後、戦後の赤線の女たちの半分以上が知的障碍者であったデータを読んで、田舎では金よりも厄介払いというケースのほうが多かったことを知る。

●上京して40年以上、都内で見かける女のホームレスは全員が全員知的障碍者だ。

 

 

[夕食]

●塩鮭かま3片バター・ソテー(塩胡椒小麦粉、大蒜、唐辛子)

●付け合わせのインゲンひと束バター焼き

●納豆(ネギ)

●海苔

●小茄子の漬物

●ごはん

●煎茶

 

塩鮭のかま3片も小茄子の漬物も半額品。

(半額の赤海老等を買った日にこれらも)

塩鮭のかま4片のパックも半額だったので冷蔵庫にしまってある。

(氷近くにしまってあるから、まだ2日ほど大丈夫だろう)

常のごとく、塩鮭ソテーはインゲンと共に半分残し、明日の朝食用に冷蔵庫へ。

 

 

おやすみなさい。

連日の荷造りで(たったこれだけの作業で)体調は最悪、刺痛神経症がひどい。

(それでも、1日5錠まで減らしたオピオイド鎮痛薬は5錠を死守)

その上、病人は日々痛みと気持ち悪さにずっと耐えているため、切れやすい。

健康人は病人の気持ちがわからないから、すぐこっちの地雷を踏みやがる。

 

ついさっきも、ダチからの電話の途中で切れた。

まあ、相手も自分のショバに、ちょっとでも足を踏み入れると反射的、ビックリ箱並に切れる野郎だからお互い様だが。

病体も理由だが、切れるのは老齢や現在のポジション(私の場合生活保護受給者)のせいもある。

無意識に感情が失禁するのだ。

 

そもそも酒を喰らっては毎夜「感情失禁」を繰り返してきた40年であったが、酒を止めてもこうじゃ、この先が思いやられる。

来月には還暦だぞオレ。

感情失禁用のオムツはないのかしら?

 

やれやれ。

なんてハルキストじゃないのだから、ことは深刻だ。

やはり、この先ひとと滅多に付きあわないようにしよう。

で、さっさとおさらばすることだ。

良い夢を。

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300

税込み価格1320

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comには、遊離型テストステロン11.8 pg/m注意(ボーダーライン)8.5pg/ml以下の場合は明らかに

(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

A面「PISSINTOMY HEROES
B面「七曲荘二〇三号室」

 

セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 

アドレス:budroll.shelvis.sy3@gmail.com

――以上へ以下のことをメールしてから、お金を振り込んでください。

郵便番号と住所
名前(口座のカタカナ読み振りも)
電話番号
サード、セカンドのどれを希望するか

(ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)
振込先――ゆうちょ銀行

BUDROLL(バドロール)
普通口座:店番908
口座番号:5133817

 

 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 

 

『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第133回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

みんなそうでしょ?
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

●「祈り2024 良い絵が描けます様に」

 

 

9月に湯布院であるイベントの展示にお誘いを受けました。

もう一度スイッチ入れないとダメだ!!

とは思うんだけど、歳のせいか、締め切り近くならないと、ダラダラ描いちゃうんだよな……そうすると絵も締まりがなくなるのが、筆のタッチから伝わってくる。

歳をとると何でもかんでも、歳のせいにするのは悪い癖だと思うんだけど、みんなそうでしょ?

 

 

[今週のブライアンのお勧め画家/ホセ・グアダルーペ・ポサダ (1852〜1913)]

 

●カトリーナと名のついた骸骨の絵が有名。1870年頃から1900年初頭まで、政治的なものや、貧困に喘ぐ庶民の風刺画など発表していた。生涯に3万点もの作品を残す。

●最初に知ったのは、メキシコ系のシルバーリングなどを制作している友人のSさんが、

「ブライアン、フリーダも良いけどポサダだよ!」

と。もう20年近く前に、Sさんからポサダ美術館の写真を見せてもらった。

 

●フリーダの旦那さん、ディエゴリベラが描いた壁画にも、このカトリーナは登場しています。

 

 

 

 

6月13日(木)鬼子母神は晴れ。

 

午前10時、池袋の生活保護課へ行き、女性ケースワーカーさんと電車で高田馬場へ。

いっしょに不動産屋へ向かい、そこで彼女から敷金礼金を渡し、契約を済ます。

新しい担当さんは優しい。

が、引っ越し先は担当区域が違うため、残念だが引っ越し日が最後になるそうだ。

(彼女ひとりの担当人数が80人と聞き驚く)

不動産屋の前で別れ、路面電車で鬼子母神へ帰る。

 

 

午後2時、砂丘くんが台車を持って、本の整理に来てくれる。

前回のブログの業務連絡にさっそく応えてくれたのだ。

本の量はそれほどでもないが、捨てるには忍びないものもあるため、砂丘くんに選んでもらったのである。

 

押し入れの下の段の半分ほどが本の置き場となっており、その前でお互いあぐらをかき、砂丘くん用、私用、捨てるものと分ける。

棄てるものを縛り、2人でゴミ捨て場へ持っていったのが1時間後くらいか。

思った通り、大した作業とはならなかったが、砂丘くんが手伝ってくれなければ5年はかかっただろう。

 

捨てた本の数はざっと70から80冊ほどか?

残した本もそれくらい。

砂丘くんが引き取ってくれた数が40冊ほど。

ここ10年、本は図書館で借りていたので、数はそれほどでもない。

 

大半は「往来座」で買った文藝もの。

また買い取ってくれるだろうが、とても運ぶ体力はない。

それに本を大事にしないから、どの本もかなりページが折られているし。

そもそも上京以来、引っ越しのたびに、残す本は段ボール箱1つと決め、それ以外は処分してきた。

必要となったら、また借りるか買えばいいという考えかただ。

 

 

その後、乾きモノをつまみに、お疲れ様ビールを呑む。

互いの座布団の間に書板を置き、その上に柿ピーやポテトチップスの袋をのせ、3本づつ別ブランドの缶ビール(500ml)を向かいあわせた。

久しぶりの大学生呑みだ。

 

で、パソコンでNMIXXの学祭ステージを流し、それこそ1時間、彼女たちの魅力と可能性を熱弁した。

砂丘くんも閉口しただろう。

が、疲れたからだに数か月ぶりのビールが染みて、私はすこぶる気分が良かった。

5時過ぎにお開きとする。

 

[夕食]

●掻き揚げうどん(生ワカメ、卵、ネギ)

 

掻き揚げは総菜屋からの買い置き。

食べてクスリを飲み、そのままストンっと寝落ちする。

 

 

 

6月14日(金)鬼子母神は晴れ。

 

昼にいったん目覚めるが、クスリをミルクティーで飲み干すと、そのまま2度寝する。

ここ3日間、病院や役所通いがつづき、すっかり衰弱していたせいだ。

(ほぼ気管支炎は治ったが)

次に目覚めると、もう4時近かった。

またクスリをミルクティーで飲み干してから、スーパーへ向かう。

 

 

[夕方の朝食兼昼食]

●カツオ刺身(大蒜スライス、生姜、醤油&大葉ドレッシング)

●海苔

●カブとキュウリの糠漬け

●ごはん

●ほうじ茶

●愛媛産「宇和ゴールド」(小ぶりのグレープフルーツ)

 

カツオはブロックで半額。

そのぶんニンニクを青森産と奢った。

やはり、ニンニクを使うなら無理してでも青森産を買うのが、実はリーズナブル。

ひとつぶの味と香りが断然強い。

 

 

NMIXXつれづれ草]

IVEのウォニョン(19歳)

 

aespaのカリナ(24歳)

 

NMIXXのソリュン(20歳)

 

 

●上の3人が現在、KPOPアイドルの3大ヴィジュアルと呼ばれている。ソリュンは私の推しで、その魅力は現在世界のアジア人芸能人で№1だと本気で思っているが、もちろん、ウォニョンもカリナも彼女に負けない美貌と魅力の持ち主だとも感じている。

●しかし、カリナには悪いが、ここに、彼女の代わりにnewjeansのミンジ(20歳)を上げて3大ヴィジュアルとしたい。3人とも2004年生まれの同級生だからだ。

●それもソリュンとミンジは同じクラスメイトという奇跡だ。そのクラスにもうひとりNMIXXのベイもいたのだから、2004年の韓国の、地下マントルの動きに異常があったとしか思えない。

●ウォニョンの頭の良さは有名だが(カリナも同様)、newjeansの実質的リーダーであるミンジの知性の高さは、その短い「日本語をしゃべるミンジ」動画を観るだけでわかる。とにかく声が良い。

なぜかヴィジュアル・ランキングの10位以内にも入らないが、ソリュンたちと並ぶ知性的美女だ。

●現在のKPOPトップ・アイドルは、何より知性の高さが必要とされていると思う。が、4人の中でソリュンのヴォーカル力だけが抜きんでているあたりが、KPOPオタクから「反則」呼ばわりされる所以なのであった。

 

 

newjeansのミンジ。デビュー時、韓国のオリヴィア・ハッセーと呼ばれた。英語が堪能で、日本語も習い始めとは思えない上達ぶりだ。

 

 

 

食後、連載詩の担当Tから電話があった。

電話を取りながら、毎月15日の〆切をうっかり忘れていたのに気づいた。

先日、だいたいを書いておいたせいだ。

Tの方から、月曜日(17日)の午前中まで〆切を延ばしてくれたので助かった。

 

 

先日の「BURST公開会議」は、私のお題で「90年代を迎えるにあたりBURST編集長が読んだ80年代一般教養文学」を話した。

そのときは、色々なジャンルをざっくりと話したので、詩について話足りなかった。

 

私が影響を受けた日本の詩人についてだ。

それも、私の場合、戦前の自由詩の詩人たちに限る

戦後は田村隆一一択だからだ。

(谷川俊太郎はまったく肌に合わない)

 

石川啄木、堀口大学、佐藤春夫、高村光太郎、金子光晴、萩原朔太郎、吉田一穂、宮沢賢治、尾崎放哉、種田山頭火、横光利一、梶井基次郎、井伏鱒二、中原中也、西脇順三郎、田中冬二、山之口獏、尾形亀之助etc.

 

ざっと、思いつくままに好きな詩人をあげてみた。

ここに、けっこう小説家の名前があるが、小説家が詩を書くのは別に不思議ではない。

(特に欧米では)

肝は横光利一と梶井基次郎の2人だ。

 

 

●梶井のルックスが、この「ゴリラ顔」でなければ日本文学史は変わっただろうと言われる。

それでも堂々と若い宇野千代に猛アタックし、あえなく轟沈。宇野千代曰く「あの顔がやっぱり」。梶井はショックで自殺しかけるが、結核の進行のほうが早かった。

 

 

梶井の場合、短編集『檸檬』の作品のほとんどは同人誌に書かれたもので、最期の作品「のんきな患者」を覗いて、他の短編19品は皆、小説ではなく「散文詩」である。

と、私の師匠である吉行淳之介は断言していた。

(のちに「檸檬」は散文詩であると若い詩人たちも断じ、詩のアンソロジーに「檸檬」を載せはじめた)

 

吉行は、梶井の文体を、日本語の「究極」であるとまで書いたことがある。

ただし散文(小説)ではなく、詩の領域、散文詩であるが、と。

確かに「檸檬」はもちろん、私の好きな「桜の木の下には」、「闇の絵巻」、「冬の蠅」、「愛撫」、「交尾」は、私小説というより、散文詩だと言い切ったほうが納得できた。

 

ここで、散文と散文詩の違いとはなんだと訊かれるだろうが、まあ、めんどくさい話になるので、ここは流す。

ぜひ、本棚から『檸檬』を取り出して、今一度「闇の絵巻」を読んでほしい。

ほら、これは小説ではなく、長い「詩」でしょ?

 

 

●横光は昭和初期のカルチャー・スターで、小説家志望の若者は、横光のこのパンクな髪型や服装をこぞって真似たという。

横光が長生きし、盟友川端が先に死んでいれば、その後の日本文学史は変わっていただろうとも言われる。

 

 

さて、横光利一だ。

横光には句集がある。

「蟻 台上に飢えて 月高し」

は好きで、過去のブログに紹介したこともあった。

 

が、私が「詩」として影響されたのは、初期の有名な短編2編である。

川端康成と共に「新感覚派」と呼ばれたころの出世作である「春は馬車に乗って」と「花園の思想」だ。

どもに病妻もので、特に「花園の思想」は川端にして、「これぞ新感覚派の代表的文体」と呼ばした作品だが、私はどちらも小説とは読まず(もちろん私小説から遠く)、これは散文詩だなと思い読んだものだ。

 

確か佐藤春夫が、横光のある言葉に怒り、

「あんなセンチメンタルな作品ばかり書く奴を作家だとは思ってこなかった」

と切り捨てたことがあったが、たぶん初期のこの2作が頭にあったのだと思う。

確かに2作品とも内容が内容だけに相当センチメンタルだが、散文詩だと思えば、かなり許される範囲だと私は思う。

当の春夫の出世作『田園の憂鬱』だって、私に言わせれば長編散文詩だ。

 

(ちなみに、結局その妻を亡くした横光は、けっこうすぐ後妻をもらったが、これがトップアイドル並の美貌の若妻であった。親友川端の内心やいかに)

 

 

私は80年代(16歳から26歳まで)、戦前の私小説にはまったが、どうやらそこに散文詩の魅力を感じていたようだ。

(志賀直哉の「不倫もの」にさえそれを感じた)

 

私の場合、萩原朔太郎や中原中也と同じくらい、梶井や横光の短編に「詩情」を感じ、小説家というより2人を詩人として愛した。

何より、吉行が言う通り、梶井のあの濃密な文体、「小説の神さま」とも呼ばれた横光の外連味と切れのある文体は、日本語のポテンシャルと可能性を凝縮した「究極」であった。

 

そもそも師匠の吉行の作品だって、詩人の書いた短編、ぎりぎりの散文なのである。

(最後の長編『夕暮れまで』は長編散文詩だと思えば理解しやすい)

田村隆一は、詩を「感情を隠すアートだ」と言い切り、初期は、かたくなに形容詞を使わなかった。

しかし「形容詞から腐ってゆく」という教えを、私は中学3年生から、吉行に習っていた。

ゆえに私の書く散文も詩も、形容詞を不用意に使用することはない――はずだ。

80年代、ヘミングウェイにはまったのも、その叙情性を表に見せない文体、しかし、底に沈んでいるハードコアな詩情を感じ取っていたのだと思う。

 

とはいえ、自作短編集『BURST DAYS』のすべての短編は、センチメンタル性を失禁しており、恥ずかしくて今は読めない。

(というか、20年くらい手元にない)

まあ、1作につき20分くらい直せば読めるものになるだろうが、いつか、そんな作業が出来る日があるだろうか。

乞うご期待。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/梶井基次郎「交尾」]

(これは新潮文庫)

 

●梶井はたった1冊の短編集を残し31歳で結核にたおれた。その『檸檬』には20編の短編がまとめられており、皆いい作品ばかりだが、その中でも「交尾」は傑作である。彼独特の濃密な文体で猫とカジカの交尾が描かれるのだが、まさに男女のそれを描いているように、死にかけの(おそらく童貞の)男の見つめるエロスが閃光を放つ。

 

●「交尾」の文体を、よりミニマムにすると志賀直哉の傑作短編「城崎にて」になる。

●吉行淳之介は「檸檬」の漢字表記はやりすぎで、普通に「レモン」で良かったと書いたが、しかし「檸檬」だからこそ「爆発」する凝固性が感じられるようにも思う。

 

 

 

6月15日(土)鬼子母神は曇り。

 

午後8時、連載詩を完成させ、夕食作りを始めた。

なに、先週にほぼ書き上げていたので、10分くらいで整え終えたのだ。

(とはいえ、〆切は月曜日の午前中なので、月曜日の夜中まで寝かせるのだが)

 

[昼食兼夕食]

●サワラ2片のバター焼きバジルソース(ソースは近くの洋食屋の自家製瓶詰)

●付け合わせはオクラ(バター焼き)

●たくあん

●昨夜の残りのアサリの味噌汁(生ワカメ、ネギ)

●ごはん

●煎茶

●宇和ゴールド

※サワラもアサリも半額品

 

 

さて、さっさとクスリを飲んで眠ろう。

来週こそ、引っ越しの段ボール箱詰めをしなきゃな。

引っ越したら、1カ月ほど紺を詰めて、詩集用の詩をまとめたいと考えている。

その作業のはかどり次第で、今年出すか、来年にするかを決めたい。

ボスYにも「せめて何かを残せ」と叱咤されているのだ。

その詩集には散文詩も何篇か入れることを予定している。

これが最期と思い、詩集『BALLS』をまとめたい。

おやすみ。

良い夢を。

 

 

 

 

#BURST 公開会議 #41
6/20
(木)

OPEN 19:30 START 20:00
¥1000
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http://asagayatabasa.com

観覧できます! ぜひ会場で!

配信アーカイブ
https://m.youtube.com/@user-lf9ff9zw5v/streams

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#ケイトブッシュ #アンレノックス
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#ピスケン  #釣崎清隆
#ケロッピー前田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第132回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「上京」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

 

 

土曜日、sho+1 ギャラリーへ行ってきました。

俺の横、ジェリーくんの前にいる男の子が今回展示されている三角コーンを被った絵のモデルのリクくん。

この絵の頃は、まだ小学生だった。

6〜7年ぶりにあったけど、もうすっかり、大人に。

 

皆で、絵のポーズ決めてる図↓

●黄色のシャツがかっちゃん。で、マスク姿がロッキン・ジェリー・ビーン氏。

 

 

[今週のブライアンのお勧め雑誌/文芸誌『スピン』河出書房新社]

 

●少し前に、曽根さんの小説が載っているので近所の本屋さんへ行って購入。

自分の中での曽根さんは、バーストの編集長ってイメージが強いんだけど、表紙に載っている名前を見た瞬間、曽根さんは、やっぱり作家さんなんだ。

と、思ったら何かすごい遠くの人みたいに感じて、寂しくなっちゃったりして(笑)。

 

●その後、本を手に取りレジで会計して、びっくり!!

税込330円。

値段の安さに驚いた。

てっきり1000円くらいかと思ってた。

執筆している方々は、作家さんあり、脚本家、詩人、音楽クリエーター、グラフィックデザイナーと様々。

 

●面白いから読んでみて欲しい。

今、カップラーメンが260円くらい。

自分なら一食我慢して、スピン買って感性をお腹一杯にした方が良いわ。って感じた本でした。

 

 

●こちらは、購入してくれた方が飾った写真を送ってくれた。絵も嬉しそうだ。

●25日までやってるので、見に行ってみてね!!

 

 

 

 

6月6日(木)鬼子母神は晴れ。

 

午前11時半、病院へ。

主治医の愛子先生へ、ここ2週間つづく気管支炎と食欲不振、気だるさを伝える。

数年ぶりに聴診器で、背中と胸の音を聴かれ、気管支炎用のクスリを出すと言われる。

(コロナの検査まではしなかった)

 

 

[今週の曽根の昼前酒お勧めつまみ/野菜で5合]

●おくら、いんげん、ブロッコリー、アスパラガス、じゃがいもを茹で、トマトは適当に切り、ラディッシュは丸のままで。好きなドレッシング、マヨネーズ、鰹節醤油、塩胡椒、バター等でつまみとする。

野菜と日本酒はぴったりなので、昼になるまでにまず5合はやろう。ぜひ私の代わりに。

 

 

 

ここ1カ月、オピオイド鎮痛薬を1日8錠から5錠まで減薬したと伝えると、ビックリしながら喜んでくれた。

なにせ禁断症状がひどく、去年は1錠減らすのに数か月かかり、それも結局、帯状疱疹の発症からたちまち元の木阿弥になってしまったのだから。

(1錠減らしたときも禁断症状が怖くて貰う量まで減らすことができなかったが、今回は自分から5錠まで減らしてもらった)

 

病院のすぐ隣りにあるクスリ屋からクスリを貰い、いったんアパート入口内にその袋を置くと、スーパーへ歩く。

部屋へ戻ると、ボスYから電話があった。

それから何度かやりとりがあり、引っ越し日が27日と決定する。

引っ越し屋と、棄てるものの処理を全て、ボスYが手配してくれたのである。

 

 

[朝食兼昼食]

●今年初の冷やし中華(麺2玉、キュウリ1本、トマト小2個、玉子焼き、煮豚、紅ショウガ)

●冷たいほうじ茶

 

まったく旨いと感じず、少なからずショックを受ける。

しっかり麺も氷でしめたのに。

それでも煮豚以外は腹におさめた。

 

便所の窓から、家庭菜園の廃墟を眺めながら、頭の中が真っ白なのをぼんやりと認識する。

が、コーヒーも飲まず、もちろん引っ越しの箱詰めもせず、クスリを飲むと、たちまち眠りに落ちる。

病院へ行く前日は、緊張してよく眠れないからでもある。

が、どうやら、それだけではないようだ。

早期な痴呆?

 

 

[夕食]

●スーパーの魚売り場にあったシャケ弁(シャケ、ちくわ揚げ、卵焼き、お新香)

●べったら漬け

●冷たいほうじ茶

 

まずい。

が、残さず腹に入れる。

で、クスリを飲むと、たちまち眠りに落ちる。

 

 

NMIXXつれづれ草]


●メインヴォーカルのリリー(21)、先日ブラジルの有名ドラァグクイーンが、配信インタビュー中にNMIXXのリリーのファンだと告白した。彼女の歌はもちろん、その知的な発言から推しになったという。女優のマーゴット・ロビーといい、世界のカルチャー・スターに見つかったリリーのヴィジュアルも、ここんところ世界レベルとなっている。

 

●澄んだ瞳の狂人(公式)ことベイ(19)は、ここんところ一気に女子ファンを集め、男役としてレズビアン界隈でも見つかりはじめた。そのヴィジュアルは欧州系ガーリーで、不思議で特異な美女である。

 

 

 

●とうとう、NMIXXは全盛期の門口に立った。

2022年2月22日のデビュー、その半年前からのファンである私の眼が断言するのだから間違いない。

その歌声、ダンス、ヴィジュアル、ステージ・プレゼンス、明らかに春までとは違う。自信に満ち満ちているのだ。声、表情、ボディーの芯が皆「世界レベル」にぶっとくなっている。

5月に学園祭を8校、他2つのステージをこなし、その客から受けた熱狂が彼女たち6人を、またひとつ先の世界へいざなったのであろう。

 

●これまで常に(ファンからさえ)炎上をつづけたスタイリング問題が、5月にスタイリストが変わったことで、いきなりニュー・ジーンズのそれ並に信頼感を得てしまった。おそらくメンバーも同様で、ステージでの生き生きとした笑顔と動きに嬉しさが爆発している。やはりアイドル・ゲームにおいて、スタイリングは楽曲ほどに大事な魅力であるのだ。

(実は私も、女のファッションには人一倍厳しいので、これまで何十度も苦虫を嚙みつぶしてきたのであった)

 

●何より、とうとう彼女たちに色気が出てきた。ここに何度書いたであろう、彼女たちのそのとんでもない色気のなさを。しかし、自信からくる腰の振りの切れから、健康的なエロスがレモンティーのように絞られてきたのだ。そもそも、そのポテンシャルの高さは、エロ本編集長兼男優歴7年男の折り紙つきだ。あと3年ほどで、健康なエロスから妖しいエロまでのグラデーションを見せてくれるだろう。間違いなくソリュンならそのグラデーションを3分間に凝縮して観みせてくれるはずだ。

 

●リーダーのヘウォンは自らの冠バラエティー番組において、ここのところ1日1食がつづいており、その日は翌日の撮影のため絶食すると言っていた。

(その日は大食いユーチューバーのアシスタントをするという内容であったのに)

つまり、まだ公式のアナウンスはないが、次のカムバックがせまっているのだ。おそらく、彼女たちの自信に満ちたステージでの笑顔には、次曲への自信があるのだろう。いや、そうでなきゃいけない。

 

●これまで5曲のシングル曲は、3曲目の「Love Me Like This」の本国チャート4位を最高位に、他は100位にさえ入っていない。まだポップス世界でブレイクスルーしていないのだ。

(今年1月の第4弾シングル「DASH」も100位~98位が最高位だったはずだ)

曲は皆いい。例えば「DHSH」をハマ・オカモトは絶賛している。しかし、玄人受けはいいのだが、「サビ」をダサいと回避するあまり(欧米を狙っているため)、誰もが口ずさめるポップスとしての魅力に欠けている。

B面には「COOL」や「ローラーコースター」などがあるけれど)

 

●次曲こそ、バック・トラックは80年代スタイル・カウンシルやトーキング・ヘッズ、全体にプリンスのサイケ期を選び、メロディーはあからさまに60年代アメリカン・ポップスをなぞった、それもマイナー調メジャー調の2曲をがっちゃんこしたMIXXPOPを聴かせてほしい。

 

●最後に、同じ事務所であるストレイキッズの7月イタリア&ロンドン公演において、NMIXXがフロントアクトに抜擢された。前座とはいえ、彼女たちがあのハイドパークのステージが上がるなんて、映像を観るだけでも感無量となるだろう。

 

●しかしまあ、彼女たちほどのポテンシャルと魅力をもってしても、KPOPアイドル・ゲームのトップへのぼる「可能性を示す」まで2年半以上をかけるとは、今回のKPOPブームはホンモノであるな。

しかし、NMIXXが世界でトップへ上ることは宇宙の宿命として決定事項なのであった。

 

 

●メイン・ラッパーのジウ(18)。学祭ツアーでは初めてピンクに髪を染めた。これまた世界レベルのヴィジュアルに仕上がりつつある。

 

●学祭のステージのソリュン(19)。前回も載せたが、KPOP界1のヴィジュアルは、更に覚醒し、そろそろとんでもないことになりつつある。で、この顔に「将軍の歌声」のパワーもまた、いちだんと強くなっているのだから手が付けられない。

 

 

 

6月8日(土)鬼子母神は晴れ。

 

お茶しようと担当Tから誘われ、午後2時、七曲り荘前で待ちあわせる。

お茶の前に、新しいアパートを見たいというので、暑い中「新七曲り荘」へと歩く。

 

「あれ? こんなに急な坂だっけ?」

まだ今日も体調が悪く、アパート前の坂が、高い壁に見えた。

ここだよと、部屋の扉を指すと、なにげにTがドアノブを回した。

すると開くではないか。

 

ずかずかTが上がりこみ、私もつづく。

ざっと見渡して、すぐに外へ出る。

そこで、私の扉にだけ、インターホンがついているのを発見した。

なるほど、部屋の中に確認用の器具? がついていた。

 

「ああ、そうか、前の住人は女だったから、それでな。ポン女(日本女子大学)だったのかな?」

「バカな、ポン女がこんなアパートに住むわけないじゃん」

「ほう、やっぱ、そういうもんか」

 

それからぶらぶらと歩くと、そこら中にポン女の建物ばかりだ。

ぐるりと歩いて、鬼子母神参道通りにもどると、煙草の吸える喫茶店へ入った。

(担当Tはショート・ホープ派、私はハイライト、ふむ、昭和だなあ)

 

何も食べずに歩いたので、低血糖ぎみだった。

アイスコーヒーにシロップを入れて飲み、その後、チョコレート・ラテを飲む。

(もちろんTのおごりだ)

好物の干し芋(茨城県産べにはるか)を御土産にもらう。

が、さすがにそこで食べるわけにはいかない。

 

ここ数日、頭が真っ白状態で、閉口しながら寝てばかりいると愚痴をいってみる。

が、曽根さんはそれでいいよ、と、かる~く流される。

「まあ、おれが今さら、焦ることもないか」

60近くになると「諦める」ことに慣れているので、日々あがくことが億劫でしようがない。

別に「鬱」ではないのだが、そもそも素面だと、まったく「覇気」がない人格なのだ。

 

気がつけば5時近くになっていたので、店を出て、鬼子母神駅の踏切で別れる。

スーパーへいったん歩いたが、踵を返して、目白通りにある総菜屋へと向かった。

今の体調では、とても調理をする気力がない。

 

 

[夕方の朝食兼昼食]

●筍ごはん

●小あじの甘酢漬け3匹

●切り干し大根

●鶏そぼろを挟んだ高野豆腐

●たくあん

 

 

たくあん以外は全て総菜屋から買ったもの。

(ざっと1,000円)

小あじ(10センチほど)の甘酢漬けは、いっさいの骨が柔らかくなっていて、上の前歯が半分無い私でも、頭から齧れるすぐれもの。

さすがに腹が減っていたので、あっさりとした味が身に染みた。

 

それにしても酢は偉いね。

小あじなんて骨ごと食えなきゃ食べる身なんてほとんどないもんな。

それが酢漬けにするだけで、あの頭や背骨や小骨が見事に柔らかな「身」に変わるのだから。

老いた病人にはカルシウムこそ命の綱。

これから暑くなるなるから、いい酢は必需品だ。

(冷やし中華のスープには酢をたっぷり足してたぷたぷにするのが私流)

 

 

おやすみなさい。

結局、今日も箱詰めができなかった。

段ボールは兵庫くんから貰った10箱、引っ越し屋から送ってよこした10箱がある。

けっこうな数の悪党の首が箱詰めできるわけだ。

詰めたら、空き室になっている507号室に置いておけるよう、大家さんから鍵も借りている。

と、いうことで砂丘くん、業務連絡です。

そろそろ本の整理に出張ってちょうだい。

メールを待つ。

ちなみに今回のタイトルは、次の連載詩の1行。

良い夢を。

 

 

[絶賛発売中]

文芸誌『スピン』河出書房新社/300

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第131回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「6/8在廊」

佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

●伊藤桂司さんとのコラボ展の時に2人で制作、展示した作品

 

 

 

6月8日に上京し、在廊する事になりました。

週末という事もあり、日帰りですが、都合のつく人は、ぜひ見にいらして下さい。

 

一昨日、

「ブライアンの作品を買いたいんだけど、金額を教えて」

と、旧友の某大手アニメプロダクションのプロデューサーのM君からメールがあった。

金額を書いて返信すると、

「予算オーバーでした」。

 

すると、夜にまたメールが来てて、

「ブライアン、ごめん! 老眼鏡かけないで見てたから、ゼロ一つ多く見えてましたw。購入します」

って。

おいおいww

早速ブログのネタにさせてもらいました。

 

 

[今週のブライアンのオススメ人物像/伊藤桂司さん(UFG Ink.代表、京都芸術大学大学院教授)]

●伊藤桂司さんとのコラボ展の時に2人で制作、展示した作品

 

伊藤さんの作品は、誰もが一度は目にした事があると思う。

巨匠にもかかわらず、驕らず高ぶらず、いつもおだやかでチャーミング。

絵を描き始めの頃から、気にかけてもらい、会うたびに、10年後は伊藤さんの様な人になっていたいな。と、思わせてくれる最高の先輩であり師匠。

 

 

 

 

5月30日(木)鬼子母神は曇り。

 

PM3時半、役所まで歩き、不動産屋へ渡す住民票を取る。

体調すこぶる悪し。

歩くだけで眩暈がし、吐き気もひどく、よっぽど今夜の『BURST公開会議』を休もうかと悩んだ。

が、そんなわけにはいかない。

今夜のホストは私であるのだから。

 

 

PM8時より『BURST公開会議』を阿佐ヶ谷タバサよりライブ配信。

今回は私のお題で、

90年代を迎えるに当たって『BURST』編集長が読んだ80年代一般教養文学あれこれ」

を、ざっくりと私がしゃべりちらした。

ジャンルを絞ったつもりだが、それでも作家名と作品名をあげるだけで時間を取り、浅い話に終始したのが悔やまれる。

 

最後は新作詩「盲目書簡」を読み、10時過ぎに終了。

終了と同時に低血糖症状に陥り、慌ててコーラを飲み、客の若い女子から飴玉をいただき貪る。

で、コーラ代を前田プロフェッサーへ払ってもらい、そそくさと部屋へ帰った。

 

そもそも、20年ぶりに風邪をひいたようで、だいぶ気管支炎も治まってきたが、からだがだるくてしようがなかった。

前回のブログの最後にそのことを書いたら、心配したシギーが電話をくれた。

「コロナじゃないか?」

なるほど、気管支炎なんて記憶がない。

 

そのことを前田プロフェッサーたちへ話そうか迷ったが、どうせ今夜は私がしゃべらねばならないので、コロナのことは黙っておいた。

もちろんマスクもしなかった。

お互い心配したってしようがない。

 

あ、メキシコの危険地帯へ20日間撮影しに行っていた釣崎清隆は、無事、今回も死体にならず帰ってきた。

姿を見てほっとし、思わずやつのからだを触ってしまった。

つきあって25年以上経つが、そんなことをしたのは初めてだろう。

「おう、やっぱり、こんなゴツイからだをしていたのか」

と、少々驚く。

 

なんと、あっちで仕事ばかりして、いっさいラインを引かなかったそうだ。

たしかに、日焼けこそしていたが、全然痩せていなかった。

まあ、そんなことをしながら仕事なんてやれやしないか。

キース・リチャーズ師匠だってそろそろ止めた齢だ。

 

ちなみに現在のメキシコは、ウィードはもちろんハードドラッグ(コカインやヘロイン等)も3グラムまでの所持なら犯罪とならないそうだ。

「ガンジャの副流煙は凄いけど、そこらですぐ手に入る(コカイン)と思うとやらないもんだよ」

 

今回の新作「死体写真」は、次回の増補改訂版『THE DEAD』(キララ社)に掲載予定。

現在、そのクラウドファンディング中なので、興味のある方は検索してみてちょうだい。

(いま覗いてみると、もう230万円以上集まってるな)

 

●左から釣崎清隆、ライターの肥沼さん(ゴールデン街『月に吠える』店主)、私(これでも眼を開いているような?)、ツージー、前田プロフェッサー、前列3人はお客さんの大学生たち。

 

 

 

5月31日(金)鬼子母神は曇り。

 

PM1時、アパートの内見をする。

もちろん、ボスYが一緒に立ち会ってくれた。

立ち会ってくれただけじゃなく、さっそく私の代わりに「ネズミ捕り」へ引っ掛かってくれ、踏みつけた赤いソックスをダメにした。

 

そのあと、不動産屋さんの運転で、高田馬場の店へ行き、書類を書く。

もちろん、私の脇にはボスYが座り、前回のブログで書いた「消毒費」と「なんとかサービス料」は払えないことを伝え、結局「無し」にしてもらう。

 

あとは週明けに金を払えば、契約が済み、6月20日から部屋に入ることができるそうだ。

それまでの間にクリーニングが入るそうだが、内見では(不動産屋さんも驚くほど)十分に掃除がされてあった。

(前の住居者は女性)

 

ボスYと高田馬場から歩いて鬼子母神へ帰った。

ネズミ捕りでソックス1足分をダメにしたボスYは、片足だけ石田純一状態であった。

仕事があるボスYと、コーヒーも飲まず、七曲りの路地入口で別れた。

 

※ここまで書いて、本格的に寝込む。

 

 

[今週の曾根のお勧め作品/   ]

NMIXXつれづれ草]

●5月の学祭ツアーにより第2期覚醒を果たしたソリュン(19)のヴィジュアル。

エモーショナル・レスキューな「ザ・アイドル」の微笑。

 

体調が目黒のサンマ状態なので、

(どちらも)

休載します。

 

 

5月2日(日)鬼子母神は雨。

 

風邪? それともコロナ?

高熱が出るとか、立ち上がれなくなるとかまでじゃないのだが、ただただ気分が悪く、からだがだるい。

食欲もなし。

しかし、未だに「20年ぶりに風邪を引いた」ことがピンとこない。

退院して4年以上、ずっと体調不調ゆえに、風邪の症状がよく理解できないのだ。

とはいえ、昨日は日がな寝込んでしまった。

 

何か食べなきゃなのだが、買い物に出る気力が湧かない。

こうして独居男の悪循環にはまり、我知らず、近所が気づくころには「溶けて」いる。

釣さんはそんな姿でも「いいよ」と言ってくれはするが、どうしても「撮られるならもっと身ぎれいな姿を」と、見栄を張る自分がいる。

ま、溶けた姿を晒しても、死んだ私とは最早なんの関係もない。

 

しかし、詩の言葉は、数千年数万年経とうが「完全」には死なない。

数億年後、誰かの眼に触れた瞬間、言葉という私は存在する。

そのとき、せめて慰めあいたいと殊勝にも思い、以下の言葉をつらねてみた。

(以前にも載せた「盲目書簡」は初稿、今回は2稿目である)

 

 

BALLS用新作詩]

 

 

「盲目書簡」(第2稿)

 

 

あなたがこの書簡を読み始めるとき、すぐそばに私がいる。

遠い距離と時間を超えて、あなたのそばで私の言葉がかすかに部屋を温める。

お互い夜の雨を眺めながら、ひとつきりのティーパックでミルクティーを淹れよう。

金はなくともミルクはたっぷりだし、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしい。

善人面したものが誠実ではありえない。

騙されてもともとだ、あなたも相手を疑ってかかったのだから。

われわれにはどこまでも狂気がついてまわる。

自分だけでも賢明でありたいなどと願うのは狂気の沙汰だ。

バランスのとれた人間なんて正気じゃない。

あなたの魂の欠陥こそが、あなたの宿命の羅針盤なのだ。

クリミアの塹壕に天使の避妊具が落ちていないように、クレムリンの脱毛サロンに魔女の縫い針は落ちていない。

あたかも電球の光が太陽を照らし出すように、たったいま、天井からぶらさがった運命が、われわれの美徳と悪徳を照らしていることを認め、ひとつきりのティーパックでミルクティーを淹れよう。

 

 

あなたが誇り高く、臆病で、貧しく、群衆から疎外されているのなら、せめて襟を正し、独り裏通りを颯爽と歩け。

どんな人間の人生であれ、それがどれほど複雑で、かつ充実したものであっても、実際は一つの瞬間から人生はなりたっているのだ。

そう「わたしは何者なのか?」を永久に知る瞬間のことだ。

あなたは知るだろう、通り雨が街角を折れ、襟を立て颯爽と歩くとき、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしいと。

他人に対し頭が高いものは、滑稽で、不名誉以上にちっぽけだ。

けれど、自分に対し頭が高いものは、武勲以上に輝かしい。

たまに己惚れでもしなけりゃ、この世にそう楽しいことはない。

太古より、戦士の「謙虚」とは、生贄を捧げる祭壇であるけれど、人生には時として、自惚れて、気が狂うしか切り抜けられない、そんな厄介で、無分別な状況があるものだ。

 

 

自分がどこまで不幸であらねばならないのか?

それを知るのも一種の幸せなのだ。

自分の中に安らぎを見出せなくて、よそを探しても無駄だ。

あなたは、今、思っているほど不幸でもないし、昔、願っていたほど幸せでもない。

こちらから良いことをして上げよう、という立場にいる限り、恩知らずには出会わないものだ。

夜の雨を眺めながら、あなたは膝をついて認めなければならない。

世の災いと幸不幸の原因はわたしの誕生と死にあるのだと、わたしの魂の欠陥こそが神話の注釈となるのだと。

なぜなら、あなたの生き方が世界そのものだからだ。

 

 

運が奴らの悪行を支持していようが、明日、不支持に回ろうが、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしい。

あなたの苦しみこそ地上における苦しみの最大値なのだ。

一万人の男女があなたと死んだとしても、あなたが一万倍苦しむわけじゃない。

貧困も苦痛も累積することはない。

ゆえにあなたの幸せが地上における幸せの最大値なのだから、一万人の男女の幸せをうらやむな。

苦しみと共に祝福せよ。

古の筆によれば、人類には常に三十六人の正義の味方がいるそうだが、そのうちの一人は間違いなくあなたなのだから。

 

 

2024/5/29

 

 

 

かなりストレートな物言いの作品なので、少々気恥ずかしいが、友への手紙は、どうしたって恥ずかしいに決まってるから諦めよう。

(そもそも古今東西の「友への手紙」からさらってきた言葉の切れ端のコラージュだ)

 

おやすみなさい。

今日もまだからだも気持ちもつらい。

どうやら七曲り荘が「終の棲家」として最後のあがきをしているような。

つまり「ここで死ね」と絡みついているような気分がしてきた。

 

何も食べたくない。

が、食べよう。

 

[夕食]

●スイカ(8分の1)

●グレープフルーツ

●冷たいパック茶碗蒸し

●ゴルゴンゾーラ・チーズ&クラッカー2枚

●ミルクティー

 

けっこう食べた。

スイカは初物。

(確か、去年は食べ損ねたような)

微熱があるのか、塩をふった冷えたスイカがめっぽう旨い。

あなたも、体調が悪いなら、いや健康なら尚更、スイカはいかがかな?

良い夢を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第131回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「東京でグループ展開催中」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

●「もし夢を叶えたいのなら、十字路へ行って悪魔に魂を売ればいいよ」

昔、曽根さんがゴッホ美術館へ行った時の話を聞かせてもらった事があった。その時の会話からヒントを得た作品。

 

 

 

 

グループ展がはじまって、2点ほど購入してくれた方がいた。

ありがとうございます!

あと、

「インスタに載っていた絵はないんですか?」

とギャラリーを訪ねてくれた人がいたそうだ。

(前回、ブログに載せたUFOの絵)

最近描いたので、まだ手元にあるんです。

申し訳ない。

 

あ、そうそう!

今回、その場で購入し持ち帰りがOKだそうです。

サインのない絵は、後日ギャラリーから、作品証明書が届くみたい。

1ヶ月開催しているので、読者の方はタイミングをみて是非見に行ってみて!

 

 

[今週のブライアンのお勧めテキーラ/ドンフリオ・レポサド]

 

久しぶりに、ドンフリオでも飲みながら絵を描きたいなと思い、業者さんに予約注文。

届いたのは10日後くらい。

「納品書です。置いておきますね」

「ありがとうございまーす」

あとで、カウンターに置いてあった納品書を見たら、コロナ前より2000円位値上がりしててびっくり!

でも、まあ、しょうがないか……。

 

絵の具と画用紙を準備して、早速一口飲むと、鼻にぬける甘〜い花の香りのような匂い。美味いわ〜。

なんか天国にいる様な気分になるんだよな。そして、絵も進む進む。

ちなみに4日で全部飲み干しました。笑

 

 

 

 

 

5月21日(火)鬼子母神は晴れ。

 

昼前、ケイタイの着信音に起こされる。

コアマガジンの担当Tからであった。

半分まだ眠った耳に、元同僚Teの死が伝えれらた。

 

彼と連絡がつかなくなったライターの某が「虫の知らせ」をおぼえ、警察に頼み、部屋を調べてもらうと、死んでいたという。

自殺ではないが、まだ死因は不明。

しかし、今年になって、体調不調をXでこぼしていたらしい。

 

Teは会社の先輩であったが、同い年(ただし学年は上)で、いろいろと因縁があった男であった。

お互い、性格に難があったので、酒席であわや殴り合いをする寸前に――皆が止めた――なったこともあった。

(殊勝にも、翌日Teは謝りにきた)

 

当時、彼は『ブブカ』の編集長、私は『BURST』の編集長だった。

ある年の、忘年会の三次会で、末井昭さんとコアマガジン社長(私の親分)の中澤が、

「さっきまで、次のコアマガジンの社長は、Teがいいか、曽根がいいか、話してたんだよ」

と、酒席の戯れ言をもらしてくれたこともあった。

が、もちろん、

「結論は、どっちもダメだな」

と、ちゃんと正しく我ら2人の未来を予測していたのだった。

 

 

Teの死を伝えれ、ケイタイを切ったあと、煙草を吸いながら思った。

「あの頃から、ずいぶんと時が経ったんだなあ」

と。

「あっけないもんだ」

私が、4年前に死んでいたら、それを耳にしたTもこんな気分だったろう。

 

 

Teとの悪い思い出は、ずいぶん前に消えており、けっこう仕事についてのエピソードが記憶に残っている。

ひとつは、以前も書いたが、2001年7月号『ブブカ』の奥菜恵スクープについて。

 

たまたまその色校を見た私が、どれだけ部数を乗せたんだとTeに訊いたところ、1万ほどだとぶっきらぼうに答えたので、そりゃ、ないだろ、100万部でも完売するぞというというと、突然、私の手を握り、

「そうだろ! じゃあ、いっしょに営業へ言ってくれ」

と、そのまま営業へ行き、2人で談判したこと。

(それでも、ようやく10万部を乗せただけ。もちろん瞬殺完売)

 

もうひとつは、相棒のユージに編集長を譲った『BURST』が売れず(ユージのせいではなく、もう雑誌の寿命が尽きていた)、当時流行っていたDVD付き雑誌(その分ページを減らす)に形態を変更しようと、企画会議にかけたところ、Teだけが

「バーストは、読み物が面白かったんだから、雑誌のままのほうがいいよ」

と、言ったこと。

「へえ、こいつけっこう認めてくれてたんだなあ」

と、意外に聞こえたことを、今も憶えている。

 

また、返本率7割後半を叩きだした『SEX BURST』の企画会議でも、

「スカトロとかSMとかやめて、グラビア中心のソフトな内容にしたほうが『BURST』読者も買いやすいよ」

と、ホント、まっとうで建設的な、プロの意見をとなえてくれたことも懐かしい。

ま、どちらの意見も、まったく聞かなかったわけだが。

(彼の意見が正しかったと認めたのは会社を辞めて数年もしてからだ)

 

 

ここ「七曲り荘」に暮らし始めて12年目。

その間に、ずいぶんと友人知人が死んだが、もはや、それほど感慨にふけることも少なくなった。

やはり、本来なら、私のほうが4年前に死んでいたはずだったこと。

そして当たり前だが、ひとは誰もが死ぬし、自分も死ぬってことだ。

 

「死んだやつはほっとけ、おれはこれから朝飯だ」

という、誰かの詩のフレーズが好きだと、吉行淳之介がエッセイで書いていた。

そう、死人と「自分の死」につきあうことはない。

生きているあいだだけが「私」なのだから。

 

 

[遅い朝食兼昼食]

●マルちゃんZUBAAAN! 豚骨魚介中華そば(煮豚スライス、茹で卵、生ワカメ、ネギ)

●グレープフルーツ

●ミルクティー

 

40を過ぎてこっち、衰弱した内臓がインスタントラーメンを受けつけず、年に2、3度しか食べないのだが(食べる度に悔やむ)、今年になって、この商品の点数は高い。

(若かったら点数は倍になっていただろう)

同じ「ズバーン!」で背脂醤油(?)ってやつもなかなかだ。

 

煮豚も茹で卵もつくりおき。

テーブルの卓上コンロで調理しているせいもあるが、酒を呑まなくなって以降、もう凝った料理をつくる気にはなれず、肉・魚・野菜を、煮るか焼くかの独居暮らしである。

が、塩か醤油か酢で味付けすれば、十分おかずとして上等だ。

そもそも、ごはんが1番好きな「米どころは大崎平野のど真ん中生まれ」の男であるからにして、糠漬けのカブだけで一膳ぺろりなのだ。

糖尿病患者にごはんは麻薬であるけれど。

 

 

[絶賛発売中]

文芸誌『スピン』河出書房新社/300

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

5月22日(水)鬼子母神は晴れ。

午後、ケースワーカーより電話あり、やはり「引っ越し代」は大家さんへ頼んでみてくれという。

(ただし、大家さんが拒否すれば区が払うという)

先日、池袋の生活課へ行った際、引っ越し代も区が持つと、2人のケースワーカーから返事を貰っていたのだが。

その件は、すでに大家さん(の娘さん)へ話してあったし。

 

もちろん、すぐに大家さんへ話に行く気にはならず。

眠るまで悶々とする。

「金の話か」

その後、3度も悪夢で目覚める。

 

 

NMIXXつれづれ草]

 

●先週は毎日学祭に出演し、木曜日(23日)などは、夕方6時と8時スタートの学祭2つを掛け持ちしたりと精力的にソウル学祭ツアーを回ったNMIXX。ソリュン(ヴィジュアルと馬鹿でかい声)とリリー(ハイトーン)という「飛び道具」が遺憾なく発揮され、確実にファンを増やした模様。

公式がそのライブ映像2校分をYouTubeにアップし、その歌唱力の高さに、あらためてKPOPファンの度肝を抜いた。

(どちらも2日ほどで50万回再生を超えた)

 

●学祭が始まったあたりでスタイリストが変わったという情報が元JYPスタッフから流れた。確かにシンプルだがフレッシュなスタイリングとなっており、ファンには好評である。

 

●高麗大学(韓国3大トップ校)のステージのMCで、リリーが「母の母校」だと初めての情報を語り、母が来ているのでと、校歌を観客と大合唱となった。

当日、X上で「高麗大学には学校公認のNMIXXファン・サークルがある」と知らされた。

山口百恵が本格的に跳ねる寸前、東京大学で「山口百恵を守る会」が結成されたことを思い出した。

私の持論に、インテリに評価されるサブカルチャーこそ「ホンモノ」がある。

 

●それにしても、各大学かるく1万人以上の観客を動員し(高麗大学は3万人はいたんじゃなかろうか)、それを前にハンドマイクで踊り回るメンバーの嬉しそうなことよ。特にソリュンは毎回嬉しさが爆発し、その「将軍ヴォイス」を轟かせたのであった。

 

 

 

●5月25日の誕生日で18歳になったマンネ(最年少)のキュジン。第4世代第5世代中、屈指のダンサー。なのに歌がうまく、ラップも凄く、細かい小言や指示で副リーダーのポジション。私の眼には、まだまだこれから覚醒段階を上ってゆくだろうKPOP界の逸材である。彼女の小言がある限り、NMIXXの成長はつづく。

 

 

 

5月23日(木)鬼子母神は薄曇り。

 

体調最悪。

しかし意を決して、1階の玄関のチャイムを鳴らす。

珍しく、娘さんではなく、大家さんが迎えた。

要件はやはり拒否。

ホッとする。

 

散々、家賃を滞納に滞納を重ねておきながら、今さら引っ越し代を払ってくれはないだろ。

とはいえ、現在も、ほぼ寝たきりの私が、段ボール箱を運べば、以後3カ月は本格的に寝込むのは、過去で何度も実証済み。

 

そういや、結婚前の20代前半、同棲していた4畳半(便所共同、風呂無し)から、近くの6畳(風呂無し)へ引っ越す際は、机や冷蔵庫までひとりで担いでいったっけ。

そうそう、この七曲り荘へ来た際も、ボスYがテーブルをくれ、2人で下げて歩いたもんだ。

コンビニから台車を借りたのもボスYだったな。

 

あのときは、家を追い出された身であったから、

荷物は段ボール箱で2つくらいで、布団もなかったっけ。

着るものもバッグに1つぶんほどか。

なにせ、ボスYの事務所のマンションのゴミ捨て場から拾った、つんつるてんのセーターまで着てたし。

 

今はだいぶ本と着衣が増え、本は棄てるつもりだったが、砂丘くんがいくつか引き取ってくれるという。

私は本を大事にしないので、売り物にならないのだ。

20代のころはかっこつけて読む分だけ引きちぎっていた)

 

 

[夕食]

●カツカレー(スーパーの総菜とレトルト)

●ラッキョウ(総菜屋から)

●冷やしておいたほうじ茶

※トンカツは、薄く中くらいのやつが2枚入って320円。

1枚は明日へ。

 

 

味気ない、まったく身にならない食事。

総菜屋のラッキョウの味はいいが。

それでも、レトルトカレーは富良野のご当地ものだ。

 

昨日からの「金の話」の気づかれで、何もつくる気になれなかった。

が、大家さんとの話し合いが穏便にすんで、気分はだいぶ楽になった。

食後、クスリを飲んで眠る。

 

 

 

5月24日(金)鬼子母神は晴れ。

 

午後3時、ケースワーカーへ大家さんの返事を伝える。

どうにか穏便に話が進んだ。

が、課へ送られてきた不動産屋の見積書に、「消毒代」と「???サービス料?(忘れた)」(どちらも1万6千円くらい)とあったが、この2つはこちらでは払えないとのこと。

 

「消毒代?」

不動産屋から聞かされていないので、電話をしようとケイタイを手にしてから、やはりいったんボスYへ電話する。

31日の内見の際に、理由を聞き、払えない旨を伝えようとなった。

それでもどうしても払わなきゃいけない場合は、う~む、どうしようか?

ま、もうここまで来たら、どうにかなるだろ。

 

 

[朝食兼昼食]

●カツ丼(玉ねぎ、トンカツ、卵2つ、一味を振り海苔をもんで)

●カブとキュウリの糠漬け

●冷やしておいたほうじ茶

 

 

カブをおそるおそる噛んでいるうち(前歯がぐらぐらなので)、死んだTのことで、ある記憶が蘇った。

 

20代後半、私がエロ編集者時代のことだ。

同僚の机にあった「エロ告白」誌をざっとめくってみると、その号で休刊だという。

少年出版社(コアマガジンの前身名)の『ルポルノ・マガジン』、当時よくあったA5版の文字ものエロ雑誌だ。

(募集した女の告白が何十編とあつまったもので、漫画雑誌くらいツカが厚い)

 

私も、同様の『大人倶楽部』とか『官能時代』とか編んだことがある。

が、びっくりした。

その雑誌の本文がオフセット印刷で、小見出しまで写植だったからだ。

まだ、その手の雑誌の本文は活版印刷の時代である。

「少年出版社はしゃれてんなあ」

と感心した。

 

で、その号の編集後記が引っかかった。

編集長が、会社の休刊(=廃刊)の判断に対して、色々とモノ申していたのである。

「往生際が悪い」

とも思ったが、会社の方針に反対するあたりが、私の胸をひっかいたのである。

それがTeだったのである。

 

もしかしたら、私も2冊同時に(事実上)発禁となった頃かもしれない。

曽根にはエロ本をつくらせちゃいけないと、会社側から、お荷物となっていたころかも。

つまり、『BURST』の前身雑誌である『クラッシュ・シティ・ライダース』を企画し始めたころか?

 

お互い、編集者として、あとがないころだったろう。

どんな職種でも同じだろうが、編集者の失敗は1度まで許される。

がしかし2度目に失敗すれば編集者失格となるのだから、さあ、大変。

そんな2人が同僚となり、ほぼ同時に編んだのが『ブブカ』に『BURST』だ。

最初は2誌とも全然売れず、呑み屋で愚痴を漏らしあった一夜もあったな。

お互い31歳であったか。

あれはあれで、編集者の青春であった。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/ボブ・ディラン「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」MVYouTube)]

20代前半(85年前後)、このMVとシド・ヴィシャスの「マイ・ウェイ」の映像、コッポラの『地獄の黙示録』が、私へ与えた衝撃は、その後の、私のヴィジュアル嗜好を決定づけた。

ディランで1番好きなアルバムが『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(1965)なのだが、そのオープニングを飾る曲のMVMVの先駆けとされる)。

●ディランが次々と歌詞の一節を描いたボードを見せては棄てるを繰り返すだけのシンプルなアイディアが素晴らしい。またボードに描いた色々なタイポグラフィーも秀逸である。

 

●ディランの「この世のものともいえぬ生意気な表情」とうしろを徘徊するギンズバーグの対比が笑える。この曲がラップの嚆矢であるとも言われる。

 

 

 

 

5月25日(土)鬼子母神は晴れ。

 

月末まで金がギリギリだが、米が切れたので5キロ買い足す。

ま、米さえあれば、こころは豊かだ。

先祖は農民なのだから、代々、血がそうさせるのだろう。

もちろん、ごはんが1番好きな「米どころは大崎平野のど真ん中生まれ」の男であるからにして。

 

 

[夕食]

●がんもどきの煮物(大根、人参)

●豚スペアリブ塩煮(ひとつをスライスしてポン酢&辛子)

●納豆

●カブとキュウリの糠漬け

●ごはん

●ほうじ茶

 

 

スペアリブ肉が半額。

で、子どものこぶしほどのがんもどきが3つ入った袋も半額で、気づけば2袋を籠に入れていた。

で、それを大根と人参と煮しめたらば、田舎の法事に出る大鉢いっぱいになってしまった。

自炊煮物は、やはり独居男には、どうもね。

さて、冷蔵庫に入るかしら?

 

 

おやすみなさい。

まともな夕食を食べると、たちまちまぶたが落ちてくる。

どうにも目覚めてから喉が痛いな。

あれ? これってもしかしたら風邪?

そういや、エアコンの除湿をかけたまま寝たら、朝方寒くて起きたっけ。

 

風邪のひきはじめか?

風邪なら、40歳の正月にインフルエンザで死にかけて以来20年ぶりだぞ。

やばいな、七曲り荘に籠る魂が、引っ越しを阻止しようとしてるのかもしれない。

ここを終の棲家にせよと。

早く眠ろう。

元同僚へ黙禱しながら。

良い夢を。

 

 

[5/30 遊びに来てちょうだい]

#BURST 公開会議 #40
5/30
(火)
OPEN 19:30 START 20:00
¥1000
D @TABASA_asagaya
http://asagayatabasa.com

観覧できます! ぜひ会場で!

配信アーカイブ
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#ピスケン #ハードコア文学 #ポエトリー
#ハードボイルドムーン
#肥沼和之 #ケロッピー前田
#釣崎清隆 #TSOUSIE

 

 

90年代からゼロ年代にかけて、最も過激なストリートカルチャー誌として時代を疾走した『#BURST』のオリジナルメンバーがお送りするネット配信トークイベント。
今回は #BURST 元編集長にして作家・詩人 #ピスケン が「#ハードコア文学 #基礎教養」と銘打って#BURST 読者やそれに憧れる若い世代のために 無頼で野蛮でパンクな 詩人・小説家たちとその作品を解説します。


いまでこそネットやSNS、少し遡るなら雑誌や映画や音楽からカルチャーを学んでいた時代がありましたが、さらにその根底には文学や詩といった「言葉」による新しい表現の開拓者たちの戦いがありました。

1960年代に始まるカウンターカルチャーも「ビート・ジェネレーション(ケルアック、バロウズ、ギンズバーグ等)」と呼ばれるジャンキー作家たちがけん引役となったのはご存知の通りです。

ゲストに今は亡き作家・永沢光雄を追って、ノンフィクション作品を執筆している ジャーナリスト #肥沼和之 を迎え、「言葉」による表現が人生に及ぼす影響について、BURSTレギュラーメンバーと語り尽くします。

ご期待ください!

 

●曽根 賢(PISSKEN

1)吉行淳之介 短編「鳥獣虫魚」「出口」、エッセイ集『軽薄のすすめ』――グロテスクな性愛を描き、また政治から離れた遊び人の思想を説いた作家。

人生の指南書。硬派より軟派、重厚より軽薄、堅気より遊び人。純粋・純情・純愛なる胡散臭い嘘っぱちを信じないこと。思想よりも生理を信じること。あらゆる声のでかいものへの嫌悪。体制側へつくことの危険と羞恥心。それを語る吉行淳之介さえ疑ってかかる姿勢。

娼婦、SM、ゲイとオカマ、男娼、立ちんぼう、フェチズム、スカトロの紹介、奇妙な味の作家の評価――サキ、ロアルド・ダール等。

 

 

2)ヘミングウェイ 短編集『われらの時代』――その中の特に「二つの心臓を持つ川」は、その後、オマージュした作品を曽根は書くことになる。

センチメンタリズムを表面上排除して、娼婦やレイプや殺し屋やパンチドランカーのボクサーや、闘牛士などを、新聞記者のようなリアリズムの筆致で描く。

 

アメリカ文学――「ロストジェネレーション」フィッツジェラルド、ヘンリー・ミラー、フォークナー、『ロリータ』ナブコフ。

「ハードボイルド」ハメット、チャンドラー、村上春樹翻訳で有名になった短編作家レイモンド・カーヴァ―。

 

 

3)無頼派――坂口安吾 評論集『堕落論』――その中の特に「不良少年とキリスト」を『BURST』5号に全文掲載した作家。太宰の情死の報を聞き、太宰論、芥川論、文明論を展開。

織田作の死を悼みながらもシビアに評論する「大阪の反逆」。酒と女とドラッグまみれのロックスター。

 

 

4)戦前の私小説(心境小説)作家たち――葛西善三、嘉村磯田(かむらいそた短編「七月二十二日の夜」、近松秋江(しゅうこう)短編「黒髪」、志賀直哉 短編「濠端の生活」、川崎長太郎 短編「抹香町」――80年代にとことん否定された「私小説」作家たち。

 

 

5)田村隆一 詩集『四千の日と夜』――萩原朔太郎 詩集『月に吠える』、金子光晴「おっとせい」、横光利一 短編「春は馬車に乗って」、梶井基次郎「檸檬」、中原中也「月夜の浜辺」、宮沢賢治 詩集『春と修羅』らの、しかばねを選別し、その骨の響きのみを伝えるハードコア詩人 。