血をぬぐった満月が墓碑銘となるまで | 曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第132回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「上京」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

 

 

土曜日、sho+1 ギャラリーへ行ってきました。

俺の横、ジェリーくんの前にいる男の子が今回展示されている三角コーンを被った絵のモデルのリクくん。

この絵の頃は、まだ小学生だった。

6〜7年ぶりにあったけど、もうすっかり、大人に。

 

皆で、絵のポーズ決めてる図↓

●黄色のシャツがかっちゃん。で、マスク姿がロッキン・ジェリー・ビーン氏。

 

 

[今週のブライアンのお勧め雑誌/文芸誌『スピン』河出書房新社]

 

●少し前に、曽根さんの小説が載っているので近所の本屋さんへ行って購入。

自分の中での曽根さんは、バーストの編集長ってイメージが強いんだけど、表紙に載っている名前を見た瞬間、曽根さんは、やっぱり作家さんなんだ。

と、思ったら何かすごい遠くの人みたいに感じて、寂しくなっちゃったりして(笑)。

 

●その後、本を手に取りレジで会計して、びっくり!!

税込330円。

値段の安さに驚いた。

てっきり1000円くらいかと思ってた。

執筆している方々は、作家さんあり、脚本家、詩人、音楽クリエーター、グラフィックデザイナーと様々。

 

●面白いから読んでみて欲しい。

今、カップラーメンが260円くらい。

自分なら一食我慢して、スピン買って感性をお腹一杯にした方が良いわ。って感じた本でした。

 

 

●こちらは、購入してくれた方が飾った写真を送ってくれた。絵も嬉しそうだ。

●25日までやってるので、見に行ってみてね!!

 

 

 

 

6月6日(木)鬼子母神は晴れ。

 

午前11時半、病院へ。

主治医の愛子先生へ、ここ2週間つづく気管支炎と食欲不振、気だるさを伝える。

数年ぶりに聴診器で、背中と胸の音を聴かれ、気管支炎用のクスリを出すと言われる。

(コロナの検査まではしなかった)

 

 

[今週の曽根の昼前酒お勧めつまみ/野菜で5合]

●おくら、いんげん、ブロッコリー、アスパラガス、じゃがいもを茹で、トマトは適当に切り、ラディッシュは丸のままで。好きなドレッシング、マヨネーズ、鰹節醤油、塩胡椒、バター等でつまみとする。

野菜と日本酒はぴったりなので、昼になるまでにまず5合はやろう。ぜひ私の代わりに。

 

 

 

ここ1カ月、オピオイド鎮痛薬を1日8錠から5錠まで減薬したと伝えると、ビックリしながら喜んでくれた。

なにせ禁断症状がひどく、去年は1錠減らすのに数か月かかり、それも結局、帯状疱疹の発症からたちまち元の木阿弥になってしまったのだから。

(1錠減らしたときも禁断症状が怖くて貰う量まで減らすことができなかったが、今回は自分から5錠まで減らしてもらった)

 

病院のすぐ隣りにあるクスリ屋からクスリを貰い、いったんアパート入口内にその袋を置くと、スーパーへ歩く。

部屋へ戻ると、ボスYから電話があった。

それから何度かやりとりがあり、引っ越し日が27日と決定する。

引っ越し屋と、棄てるものの処理を全て、ボスYが手配してくれたのである。

 

 

[朝食兼昼食]

●今年初の冷やし中華(麺2玉、キュウリ1本、トマト小2個、玉子焼き、煮豚、紅ショウガ)

●冷たいほうじ茶

 

まったく旨いと感じず、少なからずショックを受ける。

しっかり麺も氷でしめたのに。

それでも煮豚以外は腹におさめた。

 

便所の窓から、家庭菜園の廃墟を眺めながら、頭の中が真っ白なのをぼんやりと認識する。

が、コーヒーも飲まず、もちろん引っ越しの箱詰めもせず、クスリを飲むと、たちまち眠りに落ちる。

病院へ行く前日は、緊張してよく眠れないからでもある。

が、どうやら、それだけではないようだ。

早期な痴呆?

 

 

[夕食]

●スーパーの魚売り場にあったシャケ弁(シャケ、ちくわ揚げ、卵焼き、お新香)

●べったら漬け

●冷たいほうじ茶

 

まずい。

が、残さず腹に入れる。

で、クスリを飲むと、たちまち眠りに落ちる。

 

 

NMIXXつれづれ草]


●メインヴォーカルのリリー(21)、先日ブラジルの有名ドラァグクイーンが、配信インタビュー中にNMIXXのリリーのファンだと告白した。彼女の歌はもちろん、その知的な発言から推しになったという。女優のマーゴット・ロビーといい、世界のカルチャー・スターに見つかったリリーのヴィジュアルも、ここんところ世界レベルとなっている。

 

●澄んだ瞳の狂人(公式)ことベイ(19)は、ここんところ一気に女子ファンを集め、男役としてレズビアン界隈でも見つかりはじめた。そのヴィジュアルは欧州系ガーリーで、不思議で特異な美女である。

 

 

 

●とうとう、NMIXXは全盛期の門口に立った。

2022年2月22日のデビュー、その半年前からのファンである私の眼が断言するのだから間違いない。

その歌声、ダンス、ヴィジュアル、ステージ・プレゼンス、明らかに春までとは違う。自信に満ち満ちているのだ。声、表情、ボディーの芯が皆「世界レベル」にぶっとくなっている。

5月に学園祭を8校、他2つのステージをこなし、その客から受けた熱狂が彼女たち6人を、またひとつ先の世界へいざなったのであろう。

 

●これまで常に(ファンからさえ)炎上をつづけたスタイリング問題が、5月にスタイリストが変わったことで、いきなりニュー・ジーンズのそれ並に信頼感を得てしまった。おそらくメンバーも同様で、ステージでの生き生きとした笑顔と動きに嬉しさが爆発している。やはりアイドル・ゲームにおいて、スタイリングは楽曲ほどに大事な魅力であるのだ。

(実は私も、女のファッションには人一倍厳しいので、これまで何十度も苦虫を嚙みつぶしてきたのであった)

 

●何より、とうとう彼女たちに色気が出てきた。ここに何度書いたであろう、彼女たちのそのとんでもない色気のなさを。しかし、自信からくる腰の振りの切れから、健康的なエロスがレモンティーのように絞られてきたのだ。そもそも、そのポテンシャルの高さは、エロ本編集長兼男優歴7年男の折り紙つきだ。あと3年ほどで、健康なエロスから妖しいエロまでのグラデーションを見せてくれるだろう。間違いなくソリュンならそのグラデーションを3分間に凝縮して観みせてくれるはずだ。

 

●リーダーのヘウォンは自らの冠バラエティー番組において、ここのところ1日1食がつづいており、その日は翌日の撮影のため絶食すると言っていた。

(その日は大食いユーチューバーのアシスタントをするという内容であったのに)

つまり、まだ公式のアナウンスはないが、次のカムバックがせまっているのだ。おそらく、彼女たちの自信に満ちたステージでの笑顔には、次曲への自信があるのだろう。いや、そうでなきゃいけない。

 

●これまで5曲のシングル曲は、3曲目の「Love Me Like This」の本国チャート4位を最高位に、他は100位にさえ入っていない。まだポップス世界でブレイクスルーしていないのだ。

(今年1月の第4弾シングル「DASH」も100位~98位が最高位だったはずだ)

曲は皆いい。例えば「DHSH」をハマ・オカモトは絶賛している。しかし、玄人受けはいいのだが、「サビ」をダサいと回避するあまり(欧米を狙っているため)、誰もが口ずさめるポップスとしての魅力に欠けている。

B面には「COOL」や「ローラーコースター」などがあるけれど)

 

●次曲こそ、バック・トラックは80年代スタイル・カウンシルやトーキング・ヘッズ、全体にプリンスのサイケ期を選び、メロディーはあからさまに60年代アメリカン・ポップスをなぞった、それもマイナー調メジャー調の2曲をがっちゃんこしたMIXXPOPを聴かせてほしい。

 

●最後に、同じ事務所であるストレイキッズの7月イタリア&ロンドン公演において、NMIXXがフロントアクトに抜擢された。前座とはいえ、彼女たちがあのハイドパークのステージが上がるなんて、映像を観るだけでも感無量となるだろう。

 

●しかしまあ、彼女たちほどのポテンシャルと魅力をもってしても、KPOPアイドル・ゲームのトップへのぼる「可能性を示す」まで2年半以上をかけるとは、今回のKPOPブームはホンモノであるな。

しかし、NMIXXが世界でトップへ上ることは宇宙の宿命として決定事項なのであった。

 

 

●メイン・ラッパーのジウ(18)。学祭ツアーでは初めてピンクに髪を染めた。これまた世界レベルのヴィジュアルに仕上がりつつある。

 

●学祭のステージのソリュン(19)。前回も載せたが、KPOP界1のヴィジュアルは、更に覚醒し、そろそろとんでもないことになりつつある。で、この顔に「将軍の歌声」のパワーもまた、いちだんと強くなっているのだから手が付けられない。

 

 

 

6月8日(土)鬼子母神は晴れ。

 

お茶しようと担当Tから誘われ、午後2時、七曲り荘前で待ちあわせる。

お茶の前に、新しいアパートを見たいというので、暑い中「新七曲り荘」へと歩く。

 

「あれ? こんなに急な坂だっけ?」

まだ今日も体調が悪く、アパート前の坂が、高い壁に見えた。

ここだよと、部屋の扉を指すと、なにげにTがドアノブを回した。

すると開くではないか。

 

ずかずかTが上がりこみ、私もつづく。

ざっと見渡して、すぐに外へ出る。

そこで、私の扉にだけ、インターホンがついているのを発見した。

なるほど、部屋の中に確認用の器具? がついていた。

 

「ああ、そうか、前の住人は女だったから、それでな。ポン女(日本女子大学)だったのかな?」

「バカな、ポン女がこんなアパートに住むわけないじゃん」

「ほう、やっぱ、そういうもんか」

 

それからぶらぶらと歩くと、そこら中にポン女の建物ばかりだ。

ぐるりと歩いて、鬼子母神参道通りにもどると、煙草の吸える喫茶店へ入った。

(担当Tはショート・ホープ派、私はハイライト、ふむ、昭和だなあ)

 

何も食べずに歩いたので、低血糖ぎみだった。

アイスコーヒーにシロップを入れて飲み、その後、チョコレート・ラテを飲む。

(もちろんTのおごりだ)

好物の干し芋(茨城県産べにはるか)を御土産にもらう。

が、さすがにそこで食べるわけにはいかない。

 

ここ数日、頭が真っ白状態で、閉口しながら寝てばかりいると愚痴をいってみる。

が、曽根さんはそれでいいよ、と、かる~く流される。

「まあ、おれが今さら、焦ることもないか」

60近くになると「諦める」ことに慣れているので、日々あがくことが億劫でしようがない。

別に「鬱」ではないのだが、そもそも素面だと、まったく「覇気」がない人格なのだ。

 

気がつけば5時近くになっていたので、店を出て、鬼子母神駅の踏切で別れる。

スーパーへいったん歩いたが、踵を返して、目白通りにある総菜屋へと向かった。

今の体調では、とても調理をする気力がない。

 

 

[夕方の朝食兼昼食]

●筍ごはん

●小あじの甘酢漬け3匹

●切り干し大根

●鶏そぼろを挟んだ高野豆腐

●たくあん

 

 

たくあん以外は全て総菜屋から買ったもの。

(ざっと1,000円)

小あじ(10センチほど)の甘酢漬けは、いっさいの骨が柔らかくなっていて、上の前歯が半分無い私でも、頭から齧れるすぐれもの。

さすがに腹が減っていたので、あっさりとした味が身に染みた。

 

それにしても酢は偉いね。

小あじなんて骨ごと食えなきゃ食べる身なんてほとんどないもんな。

それが酢漬けにするだけで、あの頭や背骨や小骨が見事に柔らかな「身」に変わるのだから。

老いた病人にはカルシウムこそ命の綱。

これから暑くなるなるから、いい酢は必需品だ。

(冷やし中華のスープには酢をたっぷり足してたぷたぷにするのが私流)

 

 

おやすみなさい。

結局、今日も箱詰めができなかった。

段ボールは兵庫くんから貰った10箱、引っ越し屋から送ってよこした10箱がある。

けっこうな数の悪党の首が箱詰めできるわけだ。

詰めたら、空き室になっている507号室に置いておけるよう、大家さんから鍵も借りている。

と、いうことで砂丘くん、業務連絡です。

そろそろ本の整理に出張ってちょうだい。

メールを待つ。

ちなみに今回のタイトルは、次の連載詩の1行。

良い夢を。

 

 

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掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN