地獄の5丁目15番地:学期終了と2つの別れ | ピロの屋本館@ロサンゼルス

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天使の女王の町Los Angelesでの生活記録

 

Spring 2022

 

 

この春の学期で私は、

2つの別れを経験した。

 

 

この学部

Mortuary Scienceは、

一般的なアメリカの大学と違い、

入学した時のメンバーで

”コホート”となって

同じカリキュラムで

卒業まで勉強していくシステム。

 

 

しかし、我々のコホートは、

入学した時期が

COVID-19だったこともあり、

取るクラスに差ができて、

2つに分かれる結果となってしまった。

 

 

その別れた2つのうちの

1つのグループは、

この春の学期をもって

卒業だったので

これでお別れとなった。

 

 

葬儀の事やエンバーミングの事など、

知識0で入学してきた時から、

苦楽を共にしてきた

大切な仲間の門出。

 

 

嬉しくもあり

悲しくもあり、

複雑な気持ちだった。

 

 

これが1つ目の別れ。

 

 

2つ目の別れは、

私が初めてのインターンで

散々お世話になった先輩。

 

 

前々から彼は、

東海岸の方へ行きたい

とは言っていたんだけど、

この度実行に移した。

 

 

彼はバージニア州の

とある葬儀社で内定をもらい、

3月の始め頃から

そこで働くことになったのだと、

知らせてくれた。

 

 

とても悲しかったけど、

それが彼の夢だったので、

私は歓迎した。

 

 

けど残念がっているのは

顔にしっかり出ていたようで、

そんな私を見て先輩は言った。

 

 

『他州へ行くからって

これで終わりじゃないだろ。

なにかあれば連絡くれれば、

相談くらいには

いつでも乗ってやれるんだから!

そして俺たちは

友達なんだ、忘れるな』

 

 

こうしてまた

私の周りから、

心の奇麗な人が居なくなった。

 

 

実はこれより以前、

例のクラスメイト、

バカンジーの仕業で、

私と先輩との約束が

果たされなかった

といった出来事があった。

 

 

あれは2021年の秋。

 

 

その学期の期末前に、

我々は経理クラスで

トラブったわけですが、

バカンジーはそのことを、

職場の何人か、

それと先輩に話したのだった。

 

 

事実を話したのであれば、

”それはお前が悪いだろ”

となるところ、

自分がトラブルメーカーで

とんでもない事をやらかした

とは言うはずもなく、

私を悪者に仕立て上げた

ストーリーを作って話したのだ。

 

 

先輩は、恐らくだけど、

最初は少し信じてしまったのだろう。

 

 

で、その約束とは、

先輩が移った職場で

エンバーミングするのを

見せて欲しいと私が頼んだこと。

 

 

先輩は上司にそれを

頼んでくれて、

私とその上司が会う約束まで

持って行ってくれた。

 

 

そこで、私の期末テストが

終わったあとにしようとなり、

期末が終わったその翌日に

先輩に連絡したけど、

先輩からの返事は

来なかったのだった。

 

 

私は、これはきっと、

先輩がバカンジーの嘘を

信じてしまっているのだろうと

ピンときていた。

 

 

しかし、ここで私まで先輩に、

『あれはね、バカンジーが、、、』

なんてはじめれば、

ヤツと同じレベルになってしまうし、

それこそ先輩の信用を失うだろと思い、

この件は、

”縁がなかった”

と思って忘れることにした。

 

 

そのまま冬休みになり、

私はなにも無かったのように

普通に仕事を続けた。

 

 

年も明けて2022年になり、

1月も終わろうとしていた

冬休みの終わりのある日、

いつものように仕事へ行った。

 

 

同僚のブリオと

外のガレージの前で

仕事をしていた。

 

 

で、それが終わり、

私はすぐにPrep Roomへ行って、

ピナがエンバーミングする前に、

ご遺体のアセスメントをして

準備していた。

 

 

すると背後に

ふと人の気配を感じた。

 

 

えっ!?

と思って振り返ったら、

そこには先輩が立っていたのだった。

 

 

驚いたのもあるけど、一瞬

”お、どう対応したらいいのか”

思いつつ、いつも通り

普通を装ってにこやかに挨拶した。

 

 

すると先輩が言った。

 

 

『実はオレ、さっきパーキングから、

ピロとブリオが

ガレージの前で仕事しているのを

見てたんだよ。

で、中に入ってきても、

ブリオや皆はオフィスにいたけど、

ピロはいなかった。

で、今ここにきたら、

もうすでに次の仕事してるだろ。

皆は休んでいるのに

相変わらずピロだけは

1人でずっと仕事してると思って

見てたんだよ』

 

 

先輩は一緒に働いていた時も、

よく私を褒めてくれたんだけど、

これは日本人からすると

至って普通なんだけどね笑

 

 

でもこの職場では、

1つ仕事したら休んで、

また仕事したら休んで、

が、普通だったんで、

そういった意味では

私は目立ったのだろう。

 

 

それから我々は、

『今日はまたどうしたの?』

からはじまり、

いつも通り楽しく会話した。

 

 

先輩が、学校はいつからだ

と聞いたので私は

来週からだと答えた。

 

 

すると先輩、

とっても言いづらそうに

こう言った。

 

 

『あのさ~、まだあれか?

エンバーミング見たいか?』

 

 

おぉぉぉ。

ど・どうしよう、

なんて答えよう。

 

 

というのは、

もちろん、チャンスがあるなら

見せてもらって教えて欲しいけど、

来週からもう

次の学期が始めるので

正直、時間が取れなかった。

 

 

私がそのように言うと先輩は、

『俺がここに来て教えてやるから』

と言ってくれたけど、

そんな事したら

ピナの逆鱗にふれるのは

火を見るより明らかだった。

 

 

そして先輩は、

『時間があるならいつでも連絡してこい』

といい、

そこでその話題は終わった。

 

 

こうして、バカンジーのせいで、

我々の約束は

果たされる事なく消えてしまった

のでありました。

 

 

実はその後、

私のライトワーカー友達が、

この件について

読み解いてくれた。

 

 

先輩は、

”如何にも”といった話し方をする

バカンジーの作り話を聞いても、

半年といった短い期間ではあったけど、

実際に”私”’という人間と

直接交流を持って働いていたので、

”本当かな~。。。。キョロキョロ

思って、少し様子をみていた部分が

あったようだった。

 

 

口が上手いっていうかね。

そういった、”嘘”を言うことに

長けているというか。

 

 

呼吸をするように嘘をつくから、

いつしか自分でも、

それが真実だと思い込んでいる

節があるというか、

バカンジーの正体は

そういった人間だった。

 

 

なので先輩も

一時期惑わされてはしまったけど、

あの日私を一目見たら、

その働きぶりと発するエナジーで、

バカンジーからかけられていた

薄汚いエナジーが払拭され、

”あ、あの話はやっぱり嘘だったな。

”なんて醜い女だ!”

と、洗脳が解けたのだとか。

 

 

なので先輩は、

”エンバーミング、まだ見たいか?”

と、聞いてくれたのだと。

 

 

きっと先輩、

私のお願いを

叶えられなかったことを

深く後悔したのだと思う。

 

 

いつもは明るく

帰って行く感じなのに、

その時は私にハグをした。

そして、

 

 

『頑張れよ!

お前ならきっと学校も卒業できて、

最高のエンバーマーになるから!』

 

 

こう言い残し、

去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

私と先輩が

リアルな世界で会ったのは

それが最後。

 

 

この先も、

リアルな世界で会う事は、

恐らく100%に近い確率で

ないだろう。

 

 

だけれども私は、

先輩とはどれだけ長いこと

連絡を取らなくとも、

いつでも繋がっている気がしている。

 

 

その理由は、

そのライトワーカー友達が

教えてくれた。

 

 

私は先輩を

ライトワーカーだと思ったんだけど、

そうではなく、彼は

”ライトワーカーを補佐する役割”

を持って生まれてきた人

なんだとか。

 

 

なので地獄の2丁目で

先輩と出会ってから、度々

”あら、この人

私が考えてること見えてる?”

思う事があったのは、

ライトワーカー補佐として、

ある意味、

多少はサイキックチックな

能力を持ち合わせている必要がある、

ということらしかった。

 

 

そして、ライトワーカーたちが、

正しくその道を歩んで行けるよう、

影ながら支えになってくれる、

そんなミッションがあった

先輩との出会いと別れだった。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、

やっと念願のエンバーミングを

学ぶことができた

地獄の5丁目でした。

 

 

次の地獄の6丁目に入る前に、

夏休みが入ります。

 

 

この約3ヵ月の夏休みは、

天国と地獄の両方がある

激動のストーリーです。

お楽しみにウインク

 

 

またまた

長文ご拝読

ありがとうございましたラブラブ

 

 

では例によって、

5丁目記事全て

リンクしておきます。

 

 

 

1番地:いざ!エンバーミングクラス

 

2番地:遺体修復クラス

 

3番地:苦手な法律クラス

 

4番地:モーテル暮らし

 

5番地:エンバーミングラボとユーボン教授再来

 

6番地:Apprentice Embalmerになる

 

7番地:クラスメイトにより混乱する職場

 

8番地:RAクラスで頭角を現す

 

9番地:おじゃる教授、ラボに登場

 

10番地:学期途中の引越し

 

11番地:初めての1人検死解剖エンバーミング

 

12番地:おじゃる教授、Dr.デーモンを騙す

 

13番地:学校最後のラボ&停電で最後のクラス

 

14番地:誤ってパスした法律クラス