東大の確率の入試解説を連続アップ中!
昨日の告知に続き、まずは2017年東大文系数学の第3問と、理系第2問です。
まずは、問題を。
文系第3問は・・・
そんでもって、理系第2問は
見比べると分かりますが、文系の(2)と、理系の(1)が同じ問題ですね。
文系では、もっと簡単な・・・というか死ぬほど簡単な(1)が追加されていて、 理系ではちょっと手間がかかる(2)が追加されているという感じ。 まずは、文系の方から片づけてしまいましょう。
問題の設定を読んで下さい。
点Pが始めは原点にあります。 そして、点Pは、上下左右に当確率で移動します。つまり、上下左右のどこに動くのも1/4の確率です。
場合の数・確率の問題では、複雑な設定の問題が出題されることがありますが、今年は非常にシンプルですね。わかり易い。
設定を理解したら、次は問題文を読むと・・・ (1)は、恐らく数学を勉強したことがない方や、長らく数学から離れている人でも解けるのでは??と思います。
t-s=-1とか、分かり辛く書いてありますが、言い換えるとy-x=-1の直線上に乗っかれば良いという事です。
ということは、右に動くか、下に動けば良い話。
さて、問題です。 上下左右に当確率で点が動くとき、右に動く確率と、下に動く確率を足したらいくつでしょう?
もちろん答えは、1/4+1/4=1/2です。 これ、センター試験でも(1)に出るくらいの簡単な問題です。東大入試で、これで良いのでしょうか?簡単すぎて、思わず問題文を何度も読み直してしまいましたが、そういう受験生も多かったのでは?
では、(2)。
(1)が誘導になってるんだろうな、とは思うでしょうが (あまりにも簡単ですし、t-s=-1なんていう、意味不明な式が登場するし) 気付いた解いても、誘導に乗るのは少し難しいかもしれませんね。
調べるとわかるんですが、 右か下に動くと、y-xの値が1減って、 左か上に動くと、y-xの値が1増えます。
上下左右に動くと考えると、4択なのですが、右下をセット、左上をセットにすると2択になります。
(東大確率では、このように複数の状態をまとめて一つにすることが、非常によくあります。)
あとは、右下のセットと、左上のセットが、それぞれ何回出れば良いかを反復試行で考えれば良いという問題ですね。
では、手書きの解答をどうぞ。
※左側が、文系第3問、右側が理系第2問です。
見慣れない設定かもしれませんが、別に複雑でもなければ、場合分けが難しいわけでもない。計算も簡単という事で、これも取りたい問題ですね。
では、続きまして、理系の(2)。 今度は、原点にある確率を求めよ、とのことです。
この問題、計算は複雑になるんですが、むしろ、さっきのy=x上よりも、考え方は簡単かもしれません。 何せ、最後に原点にいるということは、左と右が同じ回数出て、上と下が同じ回数出れば良いわけです。
という事で、今度は左と右をセットに考えて、上と下をセットにすれば良いのです。
で、左右セットと、上下セットの出る回数が足して3になれば、合計6回移動したことになりますから、(左右や上下をセットにすると、移動2回分がセットなので) (3,0)、(2,1)、(1,2)、(0,3)の4通りが考えらます。
さらに対称性から、(3,0)と(0,3)は、全く同じ確率に、(2,1)、と(1,2)も同じ確率になるのも分かるので、結局計算としては、2つだけすれば良くなります。
ここまで考えられれば、もう解けるでしょう。
では、さきほどと同じものですが、もう一度手書きの解答を載せておきます。
文系にしても、理系にしても、この問題なら、それほど難しくないと思って良いと思います。
上手に説明したら、(計算の部分は出来ないまでも)中学生でも理解できるかも。