尾木ママの「凹まない」生き方論/主婦と生活社

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 皆さんこんばんは。
2014年から料理を始めた管理人。最近は週2,3回のペースで晩御飯に二菜だけ作っています。これでも成長したほうで、かつては料理なんて一切できませんでした。いまもたった二品作るのに1時間以上かかることがありますが日々成長しております。今日のメニューはナスのナムルとぶり大根でした。ぶりってこれからの季節安くなって良いですよね。旬のものを美味しく食べられるようにさらに料理の腕を磨きたいと思っています。

 さて、本日の本二冊目は『尾木ママの「凹まない」生き方論』です。図書館であと1冊借りられたので適当に選んで借りたやつです。

 尾木ママって世間では結構有名なんでしょうか。管理人は実はあまりテレビを見ませんで、詳しく存じ上げなかったのですが、いわゆるオネエ系キャラで有名らしいですね。でもこの人、ただの変なオネエじゃないんです!元カリスマ的存在の中学校教師で、現在は研究所を構えるやり手の教育評論家。教師としての手腕と情熱はそんじょそこらの先生に負けないほどすごい人。記憶に新しい大津いじめ事件の第三者委員会としても活動していらっしゃったことはたぶん皆さんご存知だと思います。

 普段はいじめや教育問題に関するまじめな本を書かれている尾木ママなのですが、今回は漠然とした「生き方」について書かれています。全編を通して圧倒的に感じたのは「許す力」が半端ないってことなんです。

 人って自分のやり方が一番正しいとどこかで思ってるんです。それは利己的なところから来る確信の場合もあれば、本当に良かれと思って人にやり方を押し付けている場合もある。でも、それがもし本当に正しかったとしてもそれを他人に押し付ける権利は誰にもないわけですよね。尾木ママはそれを体言していらっしゃる感じ。

 自分がいつか母親になるかもしれないという淡い期待をもちながら、印象的なエピソードをいくつか。

・靴を履くまでゆっくり待つ

 子供ってとにかくぐずぐずしますよね。パッパっと物事をこなせない。それにいらいらする母親の気持ちは本当によく分かります。ただでさえ日々の家事や仕事、夫やママ友との関係に押しつぶされそうな母親は、思わず「なにやってんの!早くしなさい」と言いたくもなります。
 でもそこで見方を変えて、「どうして早くできないのかな?」と思うことが大事だそうです。他に気になることがあるのかもしれない。そういう時は子供の主体性を尊重しつつ、解決策を二人で考えるといいようです。

・「頑張れ」は無責任

 「次のテスト、頑張れよ」。日本の学校では先生が当たり前に口にしていそうな言葉。でもこれって考えてみると少し生徒を突き放したような言い方にも聞こえますよね。お隣の国韓国では先生が生徒に「見守っているからね」と声をかけるようです。確かにこういわれると安心して生徒は勉強を頑張れますよね。私も無責任に頑張れよなんていわないようにしようと思いました。


・「明日ありと思う心の仇桜 夜半(やわ)に嵐の吹かぬものかは」
親鸞の句です。尾木ママは小さいとき母親にこう言って諭されたのだとか。明日でいいかとおもっていた桜は、夜の嵐で散ってしまうかもしれない。人生何が起こるかわからないのだから、今できることは今やりなさいというなんとも高度な諭し方です。

・「大丈夫?」と子供に聞くのは自己満足。「大丈夫」の返答を聞いて自分が安心したいだけ。

「大丈夫?」と聴かれて「大丈夫じゃない」というのはなかなか勇気の居るものです。そもそも子供は具体性のない問いに答えるのが苦手です。なので、何か意見や悩みを引き出したいときは具体的に質問すること。「数学は今どこをやっているの?」「お昼は誰と過ごしているの?」など。実践したいテクニックです。

他にも子供や自分に仕える「ほんのちょっとよりよく生きるテクニック」がいくつかかかれて居ます。あっという間に読める本なので、子供と接する機会のある人はささっと読んでみるといいかもしれません。
幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)/光文社

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 皆さんこんばんは。
最近XBOXがほしいと思っている管理人です。XBOXでやりたいソフトが二つほどありまして、ほしいと思っているのですが、XBOX360はもう生産終了らしいですね。生産終了しているのに今から買うのもなぁと逡巡しています。

 さて、本日の本はクラーク『幼年期の終わり』です。
これ米国で映画化するっていううわさを聞いたので、ミーハー心から早速読みました。(詳しくはこちら)監督がなんとね!あの大人気シリーズ『シャーロック』を撮影した方らしいのですよ。いやがうえにも期待が高まるというものです。今までもキューブリックによって映画化されかけたらしいのですが、実現はされていなかったようです。

 物語は三部構成。第一部では地球の上空に古典的な円盤がいくつも飛来するところから始まります。私が読んだのは作者が手を入れた新訳版なので舞台は2000年過ぎくらい。ちょうど我々が生きている時代です。飛来した円盤は地球上のすべてのいさかいを止めるためにやってきたようで、南アの差別問題や核戦争などをことごとく無効化する圧倒的な知識と技術力を保持していました。
 いつしか円盤に乗った者たちの名前はオーヴァーロードと呼ばれるようになりました。しかし、依然として彼らの正体や地球にやってきた目的は分かりませんでした。そこで、彼らと唯一コンタクトを取ることを許された人間・国連事務次長のストルムグレンは一計を案じ、カレランという名前のついたオーヴァーロードの姿の撮影を試みます。
 しかし、オーヴァーロードは人間なんかよりも一枚も二枚も上手でした。カレランはストルムグレンに別れを告げ、ストルムグレンはそのときの状況を二度と語ろうとはしませんでした。

 ここまでが第一部です!いったいオーヴァーロードは何のために地球にやってきたのか?その正体はいったいなんのか?
 そして、人間はいったい何のために生きているのか?人間にはどんな未来が待っているのかという永遠普遍のテーマを、人間への愛情をこめてクラークが書き上げています。SFオールタイムベストに常に入っているこちらの作品、是非一度お手にとって見てください。

 以下ネタばれ

 さて、第二部ではオーヴァーロードの正体が明らかになります。それは人間たちが遠い昔から恐れを抱いていた悪魔そのものの形をしていました。彼らの介入によって世界は平和になりました。しかし、そこには自由がないと地球を飛び出していったジャンという少年が居ました。ジャンはオーヴァーロードたちの船で彼らの母星に密航しようとしましたが、あっけなく発見されてしまいます。
 そんな状況を鑑みて、カレランは地球で記者会見を開きます。その口から発せられたのは謎に満ちた言葉でした。曰く、「きみたちが太陽系の惑星を支配する日はいつかくるだろう。だが、人類が宇宙を制する日は来ない」

 それから時は経ち、いよいよ人類に変化のときが訪れました。ジョージとジーンという何の変哲もない夫婦の下にブレイクスルーの基点となる子供が生まれました。その子ジェフリーは夢という形を通して、遠い宇宙の光景を見聞きし、人間には認識できない世界を認識している風でした。そこからは次々とそのような子供たちが生まれ、かれらはまるでひとつの細胞のように寡黙で動かず、一つの集合体とも言うべき存在へと変貌と遂げました。
 それはもはや人間ではなく、オーヴァーロードのさらに上の存在・オーヴァーマインドによって覚醒させられた新たな種でありました。残された古い時代の人間たちは自分の子供たちに不安と希望を抱き、死んでゆくしかありませんでした。

 ここの描写がね、もうたまらんですよ。
『はるか地中の岩の間で、ウラニウムのかけらが、決して叶うことのない融合を目指して猛烈な勢いで集合を始めた。
 そして島は、起ち上がって夜明けを迎えた。(光文社古典新訳文庫より)』
ってあるのですが、これは広島型の原子爆弾のようにウランを一箇所に集めて核分裂を始めさせたということなんでしょうか。それともウランを使って核融合をはじめさせたということなんでしょうか。でも、どのみちウランは分裂を続けてしまって二度と融合することはないわけですよね。決してお互いを認識することができなかった旧人間と新人間のように。

 そうして旧人間が姿を消した地球の終末に、第二章で宇宙にいっていたジャンが帰ってきます。彼が見た最後の地球は、新人間のエネルギーとして跡形もなく吸収されて島しまいました。人間よりも数段上の技術力を持ちながら、滅びのときを待つしかなかったオーヴァーロードのカレランは哀しみを持ってそれを見つめていました。

 人はなんで生きるのか?平和とは何なのか?のクラークなりの全力の答えがこの作品だったのだと思います。私たちは未来の記憶を人類全体で共有しているというアイデアはすばらしいと思いました。私は個人としての自分と、人類としての自分を持っているんですね。私が生きている間に人類が飛躍的に成長するとは思えないのですが、そうでなくても自分は後の世代に何かを残すことしかできないんですよね。もう子供を生み、育てるべき年齢になってしまった自分は、オーヴァーロードの人間への愛情や嫉妬、哀しみが少しだけ理解できるような気がしました。
四つの署名 (新潮文庫)/新潮社

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でました!!シャーロック・ホームズ!!

 ミステリー小説の感想を中心としてつらつらブログなんかを書いておりますが、他に漏れず管理人はシャーロック・ホームズが大好きであります。小説はもちろん、グラナダ版のドラマ、RDJとジュードの映画、BBCの現代版シャーロック、はたまたパスティーシュまで節操なく美味しくいただいております。

 最近機会がありまして『四つの署名』を再読いたしました。もうね、有名すぎるお話なので感想も考察も時代考証もすべてシャーロッキアンのすばらしいサイト様がしてくださっているので詳しくはそちらをご覧下さいませ。管理人はただワトソンへの愛をつぶやきたいと思います。

 本作『四つの署名』は前作の『緋色の研究』に続くホームズシリーズ二作目です。
のっけから7パーセントのコカイン溶液をうって退屈を紛らわせるホームズ。

『神経質な白くてながい指先で、細い注射針をととのえて、左手のワイシャツの袖をまくりあげ、(中略)たくましい前腕から手首の辺りをじっと見ていたが、やがて鋭い針をぐっと打ち込み、小さなピストンを押し下げて、ほうっと満足そうな溜息をもらしながら、ビロード張りの肘掛椅子にふかくよりかかった(新潮文庫版『四つの署名』より)』

 もうね、ドイルどんだけ萌えを詰め込んで来てるんだと。白くて長い指先にたくましい腕!!コカインをやるも頭はなお冴え渡りワトソンの時計の持ち主をぴたりと言い当ててしまいます。このエピソードはBBSシャーロックで、ジョンのスマホの持ち主を当てるエピソードとして出てきましたね。

 さて、そんな退屈な時間をすごしていた二人のところにメアリ・モースタンという一人の女性が仕事を依頼しにきます。ワトソンに「何という魅力のある婦人だろう!」と言わしめるいい女。なんでもメアリ嬢のところに差出人不明で毎年真珠が一粒ずつ届くのだとか。そして今朝の手紙に、「あなたは不当に不幸な仕打ちを受けている。劇場で会いたい」という旨の手紙が入っていたとのこと。

 二人を伴って劇場に参りますと、メアリ嬢の父親であるモースタン大尉の知り合いであるショルトー少佐の息子と名乗る人物がおりました。なんでも、ショルトー少佐はモースタン大尉が心臓病でなくなったのをいいことに、財産を独り占めしていたのだと。その罪滅ぼしのために真珠を毎年メアリに贈っていたのだと。息子(双子の弟のほう)は父の死を機に、財産をメアリに半分お返ししたいと考えて、それに反対する兄に話をつけに行こうとしていたようです。

 しかし、ショルトー息子(兄)は、ホームズたちが向かったときにはもう事切れていました。死因は毒矢、部屋には奇妙な足跡が残っていました。いったい犯人は何者なのか?どうやって二人は犯人を追い詰めるのか。ミステリーというより、ホームズの卓抜した確率論的推理とサスペンスを愉しむ小説ですね。

以下、ただの感想。

・犬を引き連れて町中を歩くおっさん二人かわいい。
・メアリ好き好きだけど「自分は体の不自由なただの軍医だし……」と身を引くワトソンかわいい
・え?犯人?あぁ、なんか義足の人と原始人だよね。シラネ
・変装して自宅に帰り、「僕にもタバコちょーだいよ」とかいうホームズかわいい。
・苦労して手に入れた財産の箱の中身が空っぽで喜んじゃうワトソンかわいい。

 めでたくワトソンとメアリは結婚するのですが、そのときのホームズがマジかわいい。

『「君のお手並みを拝見するのもこれが最後だと思う。モースタン嬢は僕の妻になる承諾をあたえてくれたからね」
 ホームズは悲しげにうめいて、
「そんなことになりゃしないかと思っていた。だが僕はおめでとうとはいわないよ」(以上引用)』

 ホームズすねてんじゃん!完全に!!!

結論。ホムワト末永く爆発しろ。

なんか感想が一気に腐女子っぽくなってしまった……管理人は腐女子じゃないですからね!!!