一昨年の12月から始めた「黙想と祈りの集い~テゼの音楽と共に」は、quarterly開催(3カ月に1度)で続けております。
⤵️これは初回ですね。
⤵️これが1年後の5回目です。
…で、3月9日に6回目の集いを開催いたしました。
毎回、30人ほどが参加されるようになって、定着してきたな~と嬉しく思っております。
参加者の皆さんが積極的にお手伝いしてくださって、イコンをもうちょっと右、いや左、ロウソクは大きいほうが良い、いや大きすぎる等々、準備も楽しいです。
はい、出来上がり🎵
楽器演奏チームは、ハープさんが一人増えました。
フルート担当の私は、写真撮ってるくらいですから余裕のよっちゃんです、うふふ…。
そして「イコンを書く会」から、毎回、ご提供いただいている手作りイコンです。
聖アルフォンソ教会は、ローマ観光ツアーには組み込まれてないかもしれませんが、美しい教会です。
原画は聖堂内の
とても古い聖画で、オスマン・トルコのイスラム教支配から逃れてきた無名の画家が、ギリシャのクレタ島で、信仰の支えとして描いたと言われています。
15世紀中ごろに、ローマの聖マタイ聖堂に移されたのですが、300年後の1798年に、フランス革命の余波を受け聖マタイ聖堂は破壊され、絵も行方不明になってしまいます。
それが65年後の1863年に発見され、現在は、聖マタイ聖堂の跡地に建てられた聖アルフォンソ・デ・リゴリ教会に掲げられているのです。
この数奇な遍歴には、何度もマリアさまのお告げや出現などの奇跡があったそうで(事実か伝承かについてはサラッと受け流してくださいね)、大河ドラマみたいな物語を持つ聖画なのですよ。
では、どんな聖画なのか、ここからはウンチクです。
向かって右の天使は手に「十字架」と「釘」を持っています。左の天使は「槍」と「胆汁の器」と「海綿を刺した草の茎」を持っています。
天使のアイテムと言えば楽器や花が定番なのに、このアイテムは何? いったいどんなクエスト…?って思いますよね。
謎は聖書を読めば、すぐに解けます。
Googleで「ヨハネによる福音書19章」と検索してみてください。
以下、めちゃくちゃザックリした要約です…。
イエスは、「十字架」につけられ「釘」を打たれます。
そのとき兵士は、「胆汁」を混ぜたぶどう酒を飲ませようとします。当時の麻酔のようなもので、苦痛を和らげるのですが、イエスは拒否します。
いよいよ最期というとき、イエスは「渇く」と言います。傍らにいた人々が「海綿」に酢を含ませ「葦の棒」に付けてイエスの口元に差し出します。イエスはこの酢を受け取り「成し遂げられた」と言って息を引き取ります。
そして、死を確かめるために兵士がイエスのわき腹を「槍」で刺します。
つまり天使の持ち物は、これからイエスさまが経験する苦難を表していて、幼いイエスさまも、母になったばかりのマリアさまも、すでに自分たちの運命を知っていた…と、この聖画は伝えているのです。
600年前、オスマン帝国によって迫害を受けていたキリスト教徒は、この聖画を崇敬し、マリアさまへの信頼を誓ったのでしょう。
絵の下の方を見ると、脱げかかっている履き物(緑の丸で囲ってます)が描かれています。
でも、履き物は脱げず、たった1本の紐でイエスさまと繋がっています。
この履き物は、イエス・キリストを信じる人々の心を象徴していると言われています。
カトリック教会では、2月14日から3月28日までを四旬節といって、イエスさまの受難に心を合わせ、自分の生活を振り返り、節制と回心に努める期間としています。
その四旬節にふさわしいイコンを提供していただきました。
今も、さまざまな困難に遭っている人々がいます。知らん顔をしない、たった1本の紐のようであれ、つながりを意識しようと、強く思った3月の集いでした。