芝居に酔って、大雪で醒めた件 | 笛吹きの備忘録

笛吹きの備忘録

おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!
母の着物をリメイクして、着る(ここ大事♪)ことを老後のミッションと決めました。

猿若祭二月大歌舞伎を観てきました。


十八世中村勘三郎十三回忌追善公演です。
享年57歳なんですね。若い…。

中村屋の公演なので、定式幕が黒・白・柿の配色です。江戸時代からの中村座の定式幕で、平成中村座もこれですね。
いつもは、黒・柿・萌黄(永谷園のお茶漬け海苔とか、歌舞伎揚のパッケージデザインに使われているやつね)で、それは森田座の定式幕の配色なのだそうです。
今の木挽町(歌舞伎座の在るところ)には、森田座があったので、この配色なのだとか…。
定式幕豆知識でした。

さて、昼の部の演目は、
一、新版歌祭文 野崎村(お染♪久松の物語のはじめのほうのお話です)
二、釣女(狂言の「釣針」の歌舞伎版です)
三、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)の3作品で、どれも見応えありましたが、私は鶴松さんのお光ちゃん(野崎村)がイチオシですね。
可愛くて、健気で、若い娘の生気が三階席まで放たれてましたよ。
幕切れ前、お染と久松を気丈に見送ったあとの放心から静かに泣き崩れるところ、感情の糸をピーンと張ったまま見事に演じきりました。
それを受ける彌十郎さんの父親が、長身で素敵なんですよ。大きな父の愛を感じました。

もちろん!七之助さんの花魁八ツ橋は別格だし、勘九郎さんの熱演にも感動しましたよ。
仁左衛門さんの色男ぶりにもフラフラ~

花街吉原という「つくりごとの世界」で夢に酔っていた男に、現実という残酷な遊びを仕掛ける花魁、粋に切り抜けたかのように見えて、実は…。すんごい結末なのですよ。
七之助さんは、最期まで美しかった…。

すっかりお芝居に酔って、歌舞伎座を出て地下鉄に乗り、池袋に着いたら、世の中は大雪で大変なことになっとりました。