「泡坂妻夫マジックの世界」のこと | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

一般の方には奇術家としてよりもミステリ作家として知られている泡坂妻夫師の奇術に関する随筆を、最近、何冊も続けて読み返したので、今度は手元に持っていない「泡坂妻夫 マジックの世界」を、図書館で借りて読んでみた。

 

そしてそこに載っていた、泡坂師の考案になる「MAパス」なるコイン奇術の技法を、昔に読んだ時は特に練習しようとも思わなかったのに、今回はハーフダラー(50セント銀貨)を手にしながら読んでみることにした。

 

手が慣れていないのでコインの跡が手や指に付いてひりひりするこの感じ、ちょうど中学生の頃に松田道弘氏の「クロースアップ・マジック」を初めて読んで、コインを隠し持つ技術の一つであるオーディナリー・パームという技法を練習し始めた時のようだ。

 

小学生の頃に読んでいた子供向けの手品の本にもイラストだけは載っていたオーディナリー・パーム、実践可能だとは思ってもいなかったところ、松田氏が「クロースアップ・マジック」の中で、必ずできるようになるから根気よく練習するようにと書いておられたお陰で習得でき、その後、一挙に奇術の世界が広がった、あの感覚を懐かしく思い出した。

 

ただ、アマチュア・マジシャンでも奇術研究家でもない素人の私が言うのも失礼ながら、「泡坂妻夫 マジックの世界」に掲載された、MAパスを使って実演できるコイン奇術の内のいくつかは、この難しいMAパスを使わなくても、オーディナリー・パームを使えば、もっと自然で簡単に同じ現象を演じることができるのではと思ってしまったのですが、奇術家の皆さま方、如何なものでしょうか?

 

 

                 おしまい。

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。