巡礼の原点 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 

子供の頃に長く住んでいた町のそばを旧奈良街道が通っていて、それらを見て育ったことが、後年、私が旅や伝説や寺社巡りに興味を持つようになった一つの遠因であったと思うし、その後、晴れて出家してその町を離れ、日本各地やアジアのお寺を転々とすることになってから、托鉢行脚で四国を歩いたその足で、大阪から奈良街道・伊勢街道を通って、伊勢の神宮まで歩いたこともある。

 

去年だったか、その近くに所用があったので、何十年かぶりに奈良街道跡を見てみようと思い立ち、2度ほどに分けて歩いてみた記録を、「巡礼の起点」「巡礼の終点」として拙ブログに投稿させて頂いた。

 

 

その行脚の最後に東成図書館を訪れたのは、小学生の高学年になって行動範囲が広がり、この図書館まで来るようになって知識欲が高まり、それがお坊さんになる遠因になっただろうという意味で図書館を巡礼の終点としたのだが、その後、ちょっとそこから東側部分の街道も気になって、先月、短時間ながら今里の常夜灯のある所だけを訪ねてみた。

 

 

そうしたらつい先日、その当時からの友人で私がお坊さんになった後もインドまで訪ねて来てくれたT氏から十何年ぶりかの連絡があったので、大いに奇遇を感じた。

 

現在、お坊さん関係、仏教関係の知り合いですら、数人の方とたまにメールをやり取りする程度で、在家時代の友人との付き合いは皆無な私にとってそれは大きな驚きで、思えば彼とは自分がお坊さんになるなどとは思ってもいなかった子供の頃に、その図書館も何度も一緒に訪れたし、宇宙や神や漫画やサルバドール・ダリやアガサ・クリスティーについて語り合ったりもしたものだ。

 

自分のお坊さんとしての巡礼の原点に、今、改めて思いを馳せている。

 

 

                    おしまい。

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。