お坊さんの膝痛 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

よそのお坊さんに正座は得意ですか? と聞かれたのでどうしてかと思ったら、最近膝が痛いと言う。聞いてみたら1時間は平気だった正座がこの頃30分で痛くなるし、お盆の棚経などだと最後の方のお宅まで足が持たないこともあると言う。

 

お坊さんの中にも正座の苦手な人はたくさんおられるが、色々とそれなりのコツがあって、在家の方の前で無様なことにならないように気を配っているものなので、30分も平気でいられるのなら、正座が得意な部類に入るのでは? とお答えしておいた。

 

タイでお寺参りをする時の正座は横坐りだが、これが慣れていないと結構つらく、タイ人ですら慣れてない人は、お寺参りの間、ごそごそと足をずらしていたりする。

 

インドではあぐらが正座なので、インド密教が輸入されて出来たチベット仏教のお坊さんたちはあぐらでお経を上げる。

 

日本でも昔はあぐらが正座だったが、室町時代以降の礼法により、今のように膝を折って坐る形が正座となった。ただ、現在の日本のこの正座は人間の体の構造上、出家在家に関わらず、どんなに慣れた人であっても長時間坐るのが物理的に困難な坐り方だとは思う。

 

近頃は一般の方が法事を営む場合でも、足を崩して下さいと言ってくれるお坊さんが増えていたり、お寺でも椅子を置いている所が普通になって来たりで、足の痛みばかりを気にするより、心を整えることを優先するという意味では良いことだと思うが、先ずは正座をして頂いて、途中で痛くなって来たら崩してもらうのがいいのかも知れない。最初に威儀を正しておかないと、どこまでも崩れやすいのもまた、人の心だからだ。

 

「ホームページ アジアの坐蒲」では、結跏趺坐について書かせて頂いています。