「明智小五郎全集」のこと | アジアのお坊さん 番外編

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年末に読んだミステリの内、「ホッグ殺人事件」は瀬戸川猛氏の随筆に触発されて、「死と奇術師」は書店で新刊を見て、「喜劇ひく悲奇劇」は泡坂妻夫の傑作回文ミステリ「喜劇悲奇劇」に挑戦した回文ミステリだということで、それぞれ読んでみたのだが、どれも思わしい内容ではなかった。

 

そこで口直しに江戸川乱歩をと思い、講談社文芸文庫の「明智小五郎全集」を読み直すことにした。実を言うと持ち物を整理していることもあり、手元に残している乱歩作品は現代教養文庫の「探偵小説の謎」という随筆と、この「明智小五郎全集」だけだ。

 

それにつけても久々に読む乱歩の文章は本当に上手く、明智小五郎は本当に素晴らしい。初期作品はもちろんのこと、昔は取って付けたような作品だと思って余り気に入らなかった戦後作品の「凶器」や「月と手袋」ですら、今読むととても面白い。

 

ちなみに私は初期の明智登場作品内における事件は、以下のような順序で発生したと思っている。ごく普通に作品を読むと、自然にこうなるのではないかと思う。

 

「D坂の殺人事件」

「黒手組」

「幽霊」

「屋根裏の散歩者」

「心理試験」

「何者」

「一寸法師」

 

ところが近頃羽振りを利かしている平山雄一氏監修の集英社文庫版「明智小五郎事件簿」では、「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」「一寸法師」「何者」という順序になっているのだが、私は全く賛同できない。乱歩ファンの皆さま、如何なものでしょうか?

 

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