以前、奇術師の出て来るミステリを列挙させて頂いたことがあるものの、近頃そうした小説はたくさんあるので、もはや網羅できていないとは思うけれど、年末の奇術番組にボナ植木師が出ていたことに触発されて師の小説「魔術師たちと蠱惑のテーブル」を読ませて頂いたので、ちょっとここに更新してみたいと思う。
・クレイトン・ロースン 「帽子から飛び出した死」 1938
奇術師でもありミステリ作家でもあり、奇術師探偵グレイト・マーリニを主人公にした小説を何作も何作も著しているロースンの、これは処女作。
・泡坂妻夫 「11枚のとらんぷ」 1976
同じく奇術家でありミステリ作家でもあり、ある意味ではロースンの諸作を凌ぐ作品を数々残した日本の作家。長編としての処女作が奇術をテーマにした「11枚のとらんぷ」だ。
氏には他にも「喜劇悲奇劇」や奇術師探偵曽我佳城シリーズを始め、奇術師の出て来る作品が多数ある。
・B・S・バリンジャー 「歯と爪」 創元推理文庫 1977
・ウイリアム・ゴールドマン「マジック」早川書房 1979
同名傑作映画の原作。
・「魔術ミステリ傑作選」 創元推理文庫 1979
・クリストファー・プリースト 「奇術師」 ハヤカワ文庫 1995
映画「プレステージ」の原作
・松岡圭祐 「マジシャン」 2002
・キャロル・オコンネル 「魔術師の夜」 創元推理文庫 2005
・リチャ-ド・マシスン 「奇術師の密室」 扶桑社文庫 2006
・ジェフリー・ディーバー 「魔術師(イリュージョニスト)」文春文庫 2008
・ピーター・G・エンゲルマン 「マジシャン殺人事件」 扶桑社文庫 2009
・相沢沙呼 「午前零時のサンドリヨン」 創元推理文庫 2012
・ジョン・ガスパード 「マジシャンは騙りを破る」 創元推理文庫 2015
・ジョン・ガスパード 「秘密だらけの危険なトリック」 創元推理文庫2017
・ボナ植木 「魔術師たちと蠱惑のテーブル」 2012 ランダムハウスジャパン
・トム・ミード「死と奇術師」 ハヤカワ・ポケット・ミステリ 2023
ちなみにボナ植木師の小説だが、プロマジシャンでもアマチュアマジシャンでもない、「奇術研究家」という「特異な人たち」がいて、プロも教えを請いに行くという件りがあって面白かった。
故・高木重朗氏や故・松田道弘氏のような人たちのことだろうかと、興味深く思った。
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。