続・アジアの五色幕 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

先日、お寺の本堂に掛ける五色幕にちなんで、「仏旗」のことに触れたところ、いつも何かとご教示頂く「タイ佛教修学記」の伊藤氏から、ご連絡を頂きました。

 

仏旗、もしくは国際仏旗というものは近代に生まれたものですが、下のような配色であり、「五色幕」とは少しだけ色が違います。

 

ややこしいのが、「仏旗」には「旧仏旗」というものがあって、こちらの配色は日本の伝統的な「五色幕」に似ています。インターネット上には wikipedia も含めて、これらに関する煩雑な解説が溢れており、一体どれが正しいのか、もしくはどの旗や幕が最も古いのかが曖昧で分かりにくくなっています。

 

 

伊藤氏は「旧仏旗」に関する資料を挙げて独自の見解をお伝え下さいました。私としては日本の五色幕が古くからあって、その後、よく似た配色の「仏旗」や「旧仏旗」が出来たと考えているのですが、両者に関係があるかどうかが分かりません。また、果たして本当に日本の五色幕が明治以前から古く使われていたかどうか、その確証になる資料が探せません。

 

 

伊藤氏はこの辺りを考察された上で、また別に各国の「仏旗」事情もお知らせ下さいました(文章は少し編集させて頂いています)。

「仏旗がよく見られるのはスリランカ、次いで、インドです。特に新仏教徒が好んで使用している印象があります。

タイにはご存知の通り、全くと言っていいほど見られませんが、ラオスでは一部見かけたことがあります。」
 
これに刺激を受けて、私も自分の古い写真を引っ張り出してアジアのどこかの国のお寺の写真に幕や仏旗が写ってないか見てみましたが、ようやく随分昔のブッダガヤの大塔に五色の旗が張り巡らされている写真を一つだけ見つけました。
 
ところがその配色の順序は国際仏旗とも日本の五色幕ともチベットのタルチョーとも違っていたのです。尤もそれはインドの現地スタッフが適当に作っただけの旗だったのかも知れませんが、いずれにしても、元々日本にはいろんな幕があるけれど、お寺には五色幕というものがあるなあ、他に仏教で使われる幕にはどんなものがあるかなあ、そう言えば五色幕によく似た仏旗というものもあるなあという程度の考えだったものが、段々と深みにはまってしまいました。
 
そんなこんなで詳しくはもう少し資料を探してから改めてということで、ご寛恕頂けますでしょうか、伊藤様?
 
 
 
                     おしまい。

 

※上の画像は「仏の里・ラオス 太田亮写真集」(東方出版)よりお借りしました。

ご覧のようにラオスのお寺の本堂に五色幕でも仏旗でもない「幕」が掛かっています。

 

ちなみに下記の画像は私の古い写真の一枚。「幕」とは言えませんが、ロイクラトン法要時、タイのワット・サケット寺院の仏塔に巻かれる布です。

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