昨日、諸行無常偈のパーリ語文について、偉そうに書かせて頂いたのだが、実を言うと、私がタイでテーラワーダ修行させてもらっていた時に、「anicca vata sankhara アニッチャ…」で始まる「諸行は無常である」という文句はすぐ覚えたのだが、それと合わせてよく唱えられる、「すべての生き物は死ぬだろう」という「sabbe satta maranti ca サッベー サッタ…」の方が、なかなか覚えられなかった。
さて、私が修行させて頂いた、トンブリのワット・パクナム寺院には、仏教修習の時間を少しでも多くという意向から、托鉢の時間がなく、食事は信者のお供養に依って賄われていた。
寄進した信者が食堂(じきどう)に随喜している場合は、回向の文句が読み上げられ、特に死者の追善供養のための寄進である場合は、例の「アニッチャ…」が唱えられるのだが、その日の導師のアドリブで、その後の「サッベー サッタ…」が続く時も、そうでない時もあった。
そして、まだ前半の「アニッチャ」しか覚えていなかった頃に、この後半の「サッベー」(私は密かに「2番」と呼んでいた)が唱えられた時には、慌てて手書きのメモを引っ張り出さねばならなかった。
だから、今でもこの偈文を唱える時には、その頃のことを、心のどこかでちょっと思い出す。

※画像は去年、タイのワット・サケット寺院の境内で撮った写真。
プー・カオ・トンと呼ばれる境内の仏舎利塔のステッカーを貼ったフロントガラスに、寺院が映りこんでいます。
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。