パッケージツアーに見る昨今のアジア旅行 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

以前に比べて海外旅行に行く人が増えた。最近、円安の影響で、日本人の海外渡航者が減少傾向にあるとは言え、いろんな国に行ったことがあるとか、或いは同じ国に何度も行っている人などが、パッケージツアー旅行しかしたことのない日本人の方の中にも、ずいぶん増えている。

それで、ちょっと最近のツアー旅行はどんなものだろうかと思って、研究のためにいくつかパンフレットをもらってみた。行き先は、インド、スリランカ、ミャンマー、ラオス、台湾などなど。

スリランカ、ミャンマー、ラオスなどは、昔はバックパッカー以外で渡航経験のある日本人の一般旅行者そのものが少なかったけれど、内戦が終結したり、経済開放がなされたりという政治事情などもあって、今では普通の旅行会社で、普通にツアーのパンフレットが置いてある。他の国に比べて比較的、行く人が少ない国であることには変わりないが、だからと言って、以前に比べてよほど法外に高いツアー料金でもなくなった。

たぶん、女性旅行者やある程度の年配の旅行者の方たちの中で、比較的、金銭に余裕のある人たちが、まだ行ったことのない、珍しくて観光するのに良い国、素晴らしい国はないかと探しておられるということも、背景にあるのだろうと思う。

インドのパンフレットにはハリドワールやリシュケシュでのヨガ体験なども載っていて、これも女性の旅行者の多様な要望に応える内容なのだろう。台湾やタイなどにもこうした傾向があって、「スピリチュアル」や「パワースポット」などという言葉が流行った頃の2010年のHISのパンフレットに「スピリチュアルなバンコクの旅」という企画があり、エラワンの祠やトリムルティの祠、ワット・ラカンなどが載っている。

ちなみに、2015年のJTBの台湾のパンフレットには、媽姐廟に雙連朝市や饒河街夜市、淡水、猫空などが載っているのを見ても分かる通り、バンコクなら王宮とワット・ポーだけ、台北なら士林夜市や衛兵の交代に龍山寺、足を伸ばせば九份ばかりの時代では、もはやなくなった訳だ。

タイ、ラオス、ミャンマーなどのパンフレットには、現地の(テーラワーダ仏教)寺院を参拝する時は、短パンやミニスカートは禁止で、靴や靴下は脱ぐ必要があるといった注意書きがある。

また、これはホームページ「アジアのお坊さん」本編「お供養」のページに書かせて頂いたことなのだが、2003年のルックJTBの「チェンマイ・バンコク6日間」というパンフレットには、僧侶の早朝托鉢への喜捨や小鳥の放生といった「タンブン体験」ができると書いてあり、また、2005年のJTB「チェンマイ・アユタヤ・バンコク」というパンフレットには、タイの僧侶の托鉢を見学するというプランが設けられている。さらに、2015年のラオスのパンフレット(JTB)には、托鉢風景が有名なルアンパバンでの托鉢見学が含まれていた。
  
ところで、2015年のラオス、ミャンマーなどのパンフレット(JTB)には、現地通貨の両替はUSドルしか使えません、クレジットカードの使えない場所がほとんどです、一部の浴室でお湯の出が悪いことがありますといった注意書きがあり、インドのパンフレットには、他のアジア諸国に比べても、トイレ事情の悪いことをご承知おき下さいという注意書きがあった。

バックパッカーの方にとっては当たり前のことばかりだろうけれど、この条件であっても、なおまだ見ぬ国を旅してみようと思う人は、やっぱりえらいと思う。例えパッケージツアーであっても、その意気込みを持つ人は、やっぱり旅人と呼ばれて然るべきだ。



ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!


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