若気の至りのご他聞に洩れず、神とは何か、宇宙とは何か、そんなことばかりを考えて、仏教に出会うまでは、ずいぶん右往左往したものだが、十代の頃は何分、知識や経験そのものが少ない訳だから、以下のような小説が存在することにすら、驚いた。
「ドグラ・マグラ」夢野久作
「果てしなき流れの果に」小松左京
「百億の昼と千億の夜」光瀬龍
「神狩り」山田正紀
「2001年宇宙の旅」A.C.クラーク
「エクソシスト」W.P.ブラッティ
コミックにも、「火の鳥 宇宙編」(手塚治虫)、「百億の昼と千億の夜」(萩尾望都・上記光瀬龍作品の漫画化)、「ワン・ゼロ」(佐藤史生)などがあり、その後の小説にも「BRAIN VALLEY」(瀬名秀明)や、「エリ・エリ」(平谷美樹)などがあって、「ドグラ・マグラ」と「エクソシスト」以外は、ほぼSFだが、私はSF作品というものを、元々はほとんど読まない。
ただ、こうした「神」をテーマにした小説(「ドグラ・マグラ」はちょっと違うが)には心引かれて、ついつい手に取ってしまったものだ。
さて、近頃、古本屋で見つけた「神狩り 2」を遅ればせに読んだ。山田正紀がデビュー作である「神狩り」の続編を30年後に書いた作品ということで、2005年に刊行、今回買った文庫版ですら2010年の発行なので、既にたくさんの読書レビューをインターネット上で読むことができる。
で、話そのものはそれなりに面白く読めたが、もはや作者の考えている内容よりも、現実社会のテクノロジーや、実際の学説の方が、遥かにSFじみている昨今、作者の見解がさして目新しくも思えず、十代の頃に「神狩り」を読んだ時のような新鮮さはなかった。
あともう一つ、文体が、どうしても馴染めなかったのが残念だ。余談ながら、その後にたまたま江戸川乱歩の「芋虫」を再読したのだが、そう言えば、この作品に関して、乱歩自身が、「なぜ神は人間を造ったのかというレジスタンス」という思いを述べている。「神狩り 2」の直後に「芋虫」を読んで思ったことだが、やっぱり乱歩の文章は上手く、そして行間に込められたものは深い。
※ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!
※お知らせ※
タイの高僧プッタタート比丘の著作の
三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想の解説書「観息正念」、
アーナパーナサティ瞑想の解説書「観息正念」、
並びに仏教の要諦の解説書「仏教人生読本」を入手ご希望の方は
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。