アジア見聞録 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 タイやインドで暮らしていると、仏教やアジアに関する知的好奇心は満たされるので、それらに関する日本語の本を読みたいとは、そんなに思わないと、つい先日に書かせて頂いたのだが、それはあくまで、少しアジアの暮らしに慣れてからの話で、初めての外国暮らしだったタイでは、日本で買うより値段が高いのにも関わらず、バンコクのシーロムやスクンビットにある日本語書店で、アジア関係の本を色々と買っては読んだものだ。
 
 アジアや海外に関する書物に関しては、日本で見かけないような本まで揃っていることが多く、「タイの僧院にて」とか「アンコール史跡考」だとか、その頃、日本では品切れになっていたような、中公文庫の海外ものなどを買って読んでは、アジアの国々に思いを馳せた。
 
 だから今でも日本の本屋で中公文庫の棚を見ると、ちょっと懐かしい気分になる。中公文庫には、インドやチベット関係の本もたくさんあるが、そう言えば、中公文庫と並んで、現代教養文庫にも、アジアや海外に関する見聞録がたくさん収録されていて、旅心をかき立ててくれたものだ。教養文庫は出版社の社会思想社がなくなったので、全ての本が絶版になってしまったけれど。
 
 先日、古本屋さんで教養文庫の「東方見聞録」を見つけて買った。実を言うと、私はこの本を読んだことがない。確かマルコ・ポーロが航海中に人魚を目撃したという記事があると聞いたような気もするが、コロンブスの間違いだったかな? 絶版になっているその本の値段が200円だったので、この機会にと思って、読んでみることにした。
 
 最終ページの出版目録を見ていると、イースター島探検記の「アク・アク」だとか「キャプテン・コンティキ」だとか、懐かしく、楽しそうな本がいっぱいだ。それらを見ていたら、タイで中公文庫を読んでいたことを思い出したので、今、この文章を書いている。
 
 「東方見聞録」というタイトル、現代日本人に使い古されて、すっかり手垢が付いたかのようにも見えるが、よく考えてみると今さらながら、アジア好きの人間の心をくすぐる、とても良い邦題だと思う。
 
 
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