坊主川柳…日光東照宮と桂離宮 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 芭蕉が日光に詣でて、「あらたふと 青葉若葉の 日の光」と詠んだのは、東照宮の祭神である家康を始祖とする、徳川幕府への配慮を含んでいたのだとしても、一般庶民だって「日光を見るまで結構と言うなかれ」と言っていたくらいに、東照宮のことを普通に、とても素晴らしい建築だと思っていた訳だ。
 
 それなのに、明治に日本を訪れた建築家のブルーノ・タウトが、東照宮よりも桂離宮こそが、日本建築の伝統美だと言ったというので、桂離宮に何の興味もなかったのにも関わらず、どの程度のものか確認してみようと思って、わざわざ拝観を申し込んで見学に行ったことがある。
 
 ちなみに私が東照宮を初めてお参りした時は、ちょうどお坊さんになって間もない頃で、シンガポールのヒンドゥー寺院を見た後だったこともあって、まるでヒンドゥー寺院のゴプラム(神門)みたいにきれいだと、普通に感動したものだ。
 
 タウトの意見に対しては、日本文化、日本建築、いろんな角度から、肯定・否定、いろんな意見があるのは承知の上で、当時に詠んだまま、ちょっとぎこちないけど川柳一句、
 
    あらタウト 離宮結構と 言うなかれ
                              おしまい。