日本昔話とお坊さん | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 名もない旅の僧が出てくる日本の昔話なら、枚挙に暇がなかろうし、伝説とは言っても、歴史上のお坊さんの旧跡、例えば法然さんの腰掛け石みたいなものも除くとして、固有名詞を持ったお坊さんが登場する、著名な伝説や昔話には、どんなものがあるだろうか。
 
 ざっと思いつくところでは、道成寺縁起の安珍清姫、北陸の絶壁東尋坊の名の由来にもなった平泉寺の僧・東尋坊、石童丸説話の高野山の苅萱道心、はりまや橋でかんざしを買った竹林寺の純信などが有名だろうか。
 
 また「平家物語」の登場人物には、鬼界ケ島に流された俊寛、袈裟御前の話以外にも印象的なエピソードが目白押しの文覚上人、高山樗牛の小説でも名高い滝口入道、そして武蔵坊弁慶と、説話や謡曲、歌舞伎などでもお馴染みのお坊さんがいっぱいだ。
 
 さて、それ以外で昔話に出てくるお坊さんと言えば、弘法大師空海は外せない。一介の旅の僧だと思っていたら、実は正体はお大師さんでしたというオチを持つ無数の昔話を始めとして、もっと人知を超えた話もたくさんある。
 
 例えば、本州最南端、和歌山県の潮岬の海中に、橋杭岩と呼ばれる岩がある。この奇岩は、弘法大師が海中に橋を架けようとして果たせなかった橋げたの跡だという。
 
 大阪の和泉地方には、弘法大師が岩をちぎって山に投げたという伝説があるし、弘法大師がお堂や鳥居を一夜で建立しようとした話とか、本州との間に鉄の橋が架かる日が来るまで、四国に足を踏み入れるなと狐たちに命令した伝説だとか、その振る舞いは人を超えて、もはや神話における神だ。
 
 こんな神話的なエピソードを持つお坊さんが他にいるとかと言えば、
手形石が残っていたり、にない堂という二つ並んだお堂を天秤のように担いだ弁慶や、葛城と大峯の間に橋を架けようとしたり、崖にお堂を投げつけて、絶壁にお堂を完成させた投入れ堂伝説を持つ役行者が、空海に匹敵する伝説的人物だと言えるくらいだろうか。ただ、正確に言えば、役行者は優婆塞(うばそく)なので、お坊さんではないけれど。
 
 という訳で、広く宗派を超えて、日本の数多くの伝説や昔話に登場する神話的人物としてのお坊さんの筆頭と言えば、やっぱり弘法大師を置いて他にはないと思う。
 
 
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