アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

生駒山の千光寺は役行者(役の優婆塞)が吉野の大峯山を開く前に修行した土地なのでその名を「元山上」と称するのだが、偉大な先達に我が身をなぞらえる気はさらさらないものの、私もお坊さんになりたいとあがいていた十代の頃、何度も生駒の神社仏閣を訪れた。

 

だから旧版の「生駒の神々」が出た時は随分と愛読したのだが、その後、神道学を専攻した上で出家得度し、晴れて優婆塞ではない正式なお坊さんとなって何年も経った2012年、「聖地再訪 生駒の神々」というタイトルで「生駒の神々」が復刊された時には驚いた。

 

驚きはしたものの、もはや色々な経験を経た後だったので、強いて読むまでもないかと思って手にも取らなかったのだが、この度ふと思うところあって、この本を図書館で借りてみた。

 

そうしたら10年以上前に出たこの本は単なる新装版ではなくて、旧版で取り上げられた当時かなり評判になり世間に衝撃も与えたらしい大小様々な宗教施設が新版出版当時の2012年時点でどのような状況になっているかを丹念に調査している内容だったので、その比較結果の悲喜こもごもを読むのが、とてもスリリングだった。

 

さて、晴れてお坊さんになった私は四国八十八カ所を歩き遍路で満行し、そのお礼参りに托鉢行脚でお伊勢詣りに出かけ、その道中で暗峠を越えて生駒の神々を再訪し感慨に耽ったものだが、そんなことなどもこの本を読んで懐かしく思い出した次第です。

 

 

 

                 おしまい。

 

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1990年代に発行された、「お坊さんになった少年 ピタック」という、タイで撮影した写真で構成した絵本をたまたま手に取った。

 

田舎の村からバンコクの寺院に入山した小僧さんの写真を見て、ふと思い出したのだが、タイのお寺で私が修行させて頂く前に石井米雄氏の「タイ仏教入門」を読み、今もその本は手元にあって、折々繰り返し読むのだが、同時期に読んでいた「黄衣のゆらぎ」というタイの寺院生活をテーマにした写真集のことは、今まですっかり忘れていた。

 

この機会に是非一度、どこかでこの本を探してみようと思う。

 

 

 

 

                おしまい。

 

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奇術用品専門店テンヨーのロングセラー商品である「ダイナミックコイン」という5枚の100円玉が出没する奇術道具が発売されて間もない頃、当時はたくさんあった百貨店の奇術用品売り場ではこの商品が大人気で、どこの売り場でもこの奇術が演じられ、そして飛ぶように売れていたものだ。

 

その後、この商品の姉妹編として、「ダイナミックコイン」の技術をさらに応用したという触れ込みで「ビルチューブ」なる紙幣を使う奇術用品が発売されたが、こちらの方は調べてみたら現在、純正商品は廃盤とのことで、商品開発とは不思議なものだと思う。

 

「ダイナミックコイン」に関しては現在も人気商品として販売が続き、奇術ブログ、一般ブログなどでもこの奇術のことを書いておられる方がたくさんある。

 

ではなぜ今、私がこのことを改めて書いているのかと言えば、実は先日、ご法務の最中にとあるおもちゃ屋さんの前を通ったら、テンヨーの奇術用品がいくつか棚にぶら下がっていて、売れ行きが悪かったのか、どの商品にもとてつもない安値の値下げシールが貼られていたのを見たからだ。

 

その中に「ダイナミックコイン」もあったので、一度は通り過ぎたのだが、テンヨーの商品が安売りになるなどということはめったにあり得ないと思い、わざわざもう一度戻って来て購入した。

 

と言うのも、この商品、子供の時に売り場でディーラーが演じている途中で偶然タネが見えて仕掛けが分かったものの(ちなみにビルチューブも同様にしてタネを知った)、高価だったので今までに購入したことはなく、小学校の時にお小遣いをたくさんもらっている友人が学校に持って来て自慢しているのを横目に見ていた程度だった。

 

何度も目にしたその商品を、今回、初めて手にして思ったのは、「誰にでもできる」「相手に渡しても絶対にタネが分からない」「最高峰の精巧な仕掛け」などといった、これまでによく聞いていた惹句が、どれも嘘ではなかったということだ。

 

何よりその「扱いやすさ」こそが素晴らしく、確かにこれはテンヨーを代表する看板商品な訳で、たとえ正札通りの定価であっても決して高価過ぎない奇術だと、遅ればせながら痛感した。

 

 

 

                 おしまい。

 

 

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在家の方でアジアやお坊さんに関する面白いニュースがあると、その度に私に知らせてくれる人がいて、インドのニューデリーで行われた「Global Buddhist Summit」という国際仏教行事のことがインターネットにたくさん出ていますが、ご存じですか? とのことだった。

 

私は全く知らなかったので、知り合いのインド通の和尚さんにメールで尋ねたところ、その会議のことは知らないけれど、インドには有象無象玉石混淆の仏教団体や仏教行事が満ち溢れていますねという話題で、大いに盛り上がった。

 

この件に関しては、ちょっと心当たりがあるのでまた調べておきますとのことだったのだが、さてしばらくしてから今度は冒頭の在家の方から、テーラワーダのお坊さんが仏教グループを引き連れてアメリカ全土を徒歩で行脚し、行く先々で現地のアメリカ人たちが感動している動画もインターネットにたくさん出ています、こちらはご存じですか? という連絡が来た。

 

これまた寡聞にして全く知らなかったので、インターネットで検索してみると、テキサスにあるベトナム系テーラワーダ寺院主催の巡礼行事だったらしい。

 

あれ? もしかして、どこかで聞いたような、と思って和尚のメールを読み返してみたら、そのことを知らない私が気に留めなかっただけのようで、「テキサスのお坊さんの巡礼も話題になっていますし」みたいな一文がメールの中に含まれていた。

 

つまり、インド通和尚はこの件のことも既にご存じだった訳だ。恐るべし、皆々様の情報力。

 

 

 

 

                     おしまい。

 

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最近バリンジャーの探偵小説を読んだり読み直したりしていて、未読だった「美しき罠」をこのたび読了した。

 

いつものバリンジャー作品ではお馴染みの「仕掛け」が仕掛けられていないストーリーだとは聞いていたが、ここのところ、バリンジャー作品の小説としての面白さに改めて目覚めたところだったので、面白く読めた。

 

この後は、いよいよ私の好きな「顔のない死体トリック」を扱った日本ミステリ「失われた貌」を読むつもりだったのだが、たまたま書評で見た「さよならジャバウォック」という小説を書店で見たら、とても面白そうだった。

 

現代、それも最新の日本ミステリというのはほぼ読まないし、「新本格」以降の日本の作家さんは名前すらも知らない方がほとんどだ。

 

海外ミステリはと言うと、戦前の古典的名作以降では、せいぜいバリンジャーなどの1950年代の作品や、アシモフの短編シリーズ「黒後家蜘蛛の会」のような70年代の作品くらいまでしか読まず、2000年代では「エクソシト」の著者であるブラッティの「ディミター」を頻読している程度で、海外ミステリの方も現代の人気作・話題作などはほとんど読むことがない。

 

だから「失われた貌」の櫻田智也氏も「さよならジャバウォック」の伊坂幸太郎氏も、何を書いておられる作家なのか全く知らないのだが、しかしなおかつ、「さよならジャバウォック」の内容を聞けば聞くほど、とても面白そうに思えて来る。

 

そう、分かっている、現代の探偵作家は読まないと言いながら、海外ミステリ・日本ミステリを問わず、何度か「驚くべき内容」「驚くべき結末」という惹句に騙され、何とか子供の時に初めて名作ミステリのどんでん返しを堪能したあの感覚を今度こそはと思って何冊かは手に取り、そしてその度に失望したことが再三ならずある。

 

けれど今度こそ、今度こそ驚くべき小説であることを期待して、今日から「さよならジャバウォック」を読み始めているところだ。

 

 

 

               おしまい。

 

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