奇術用品専門店テンヨーのロングセラー商品である「ダイナミックコイン」という5枚の100円玉が出没する奇術道具が発売されて間もない頃、当時はたくさんあった百貨店の奇術用品売り場ではこの商品が大人気で、どこの売り場でもこの奇術が演じられ、そして飛ぶように売れていたものだ。
その後、この商品の姉妹編として、「ダイナミックコイン」の技術をさらに応用したという触れ込みで「ビルチューブ」なる紙幣を使う奇術用品が発売されたが、こちらの方は調べてみたら現在、純正商品は廃盤とのことで、商品開発とは不思議なものだと思う。
「ダイナミックコイン」に関しては現在も人気商品として販売が続き、奇術ブログ、一般ブログなどでもこの奇術のことを書いておられる方がたくさんある。
ではなぜ今、私がこのことを改めて書いているのかと言えば、実は先日、ご法務の最中にとあるおもちゃ屋さんの前を通ったら、テンヨーの奇術用品がいくつか棚にぶら下がっていて、売れ行きが悪かったのか、どの商品にもとてつもない安値の値下げシールが貼られていたのを見たからだ。
その中に「ダイナミックコイン」もあったので、一度は通り過ぎたのだが、テンヨーの商品が安売りになるなどということはめったにあり得ないと思い、わざわざもう一度戻って来て購入した。
と言うのも、この商品、子供の時に売り場でディーラーが演じている途中で偶然タネが見えて仕掛けが分かったものの(ちなみにビルチューブも同様にしてタネを知った)、高価だったので今までに購入したことはなく、小学校の時にお小遣いをたくさんもらっている友人が学校に持って来て自慢しているのを横目に見ていた程度だった。
何度も目にしたその商品を、今回、初めて手にして思ったのは、「誰にでもできる」「相手に渡しても絶対にタネが分からない」「最高峰の精巧な仕掛け」などといった、これまでによく聞いていた惹句が、どれも嘘ではなかったということだ。
何よりその「扱いやすさ」こそが素晴らしく、確かにこれはテンヨーを代表する看板商品な訳で、たとえ正札通りの定価であっても決して高価過ぎない奇術だと、遅ればせながら痛感した。
おしまい。
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。




