生駒山の千光寺は役行者(役の優婆塞)が吉野の大峯山を開く前に修行した土地なのでその名を「元山上」と称するのだが、偉大な先達に我が身をなぞらえる気はさらさらないものの、私もお坊さんになりたいとあがいていた十代の頃、何度も生駒の神社仏閣を訪れた。
だから旧版の「生駒の神々」が出た時は随分と愛読したのだが、その後、神道学を専攻した上で出家得度し、晴れて優婆塞ではない正式なお坊さんとなって何年も経った2012年、「聖地再訪 生駒の神々」というタイトルで「生駒の神々」が復刊された時には驚いた。
驚きはしたものの、もはや色々な経験を経た後だったので、強いて読むまでもないかと思って手にも取らなかったのだが、この度ふと思うところあって、この本を図書館で借りてみた。
そうしたら10年以上前に出たこの本は単なる新装版ではなくて、旧版で取り上げられた当時かなり評判になり世間に衝撃も与えたらしい大小様々な宗教施設が新版出版当時の2012年時点でどのような状況になっているかを丹念に調査している内容だったので、その比較結果の悲喜こもごもを読むのが、とてもスリリングだった。
さて、晴れてお坊さんになった私は四国八十八カ所を歩き遍路で満行し、そのお礼参りに托鉢行脚でお伊勢詣りに出かけ、その道中で暗峠を越えて生駒の神々を再訪し感慨に耽ったものだが、そんなことなどもこの本を読んで懐かしく思い出した次第です。
おしまい。
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