アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

奇術用品専門店テンヨーのロングセラー商品である「ダイナミックコイン」という5枚の100円玉が出没する奇術道具が発売されて間もない頃、当時はたくさんあった百貨店の奇術用品売り場ではこの商品が大人気で、どこの売り場でもこの奇術が演じられ、そして飛ぶように売れていたものだ。

 

その後、この商品の姉妹編として、「ダイナミックコイン」の技術をさらに応用したという触れ込みで「ビルチューブ」なる紙幣を使う奇術用品が発売されたが、こちらの方は調べてみたら現在、純正商品は廃盤とのことで、商品開発とは不思議なものだと思う。

 

「ダイナミックコイン」に関しては現在も人気商品として販売が続き、奇術ブログ、一般ブログなどでもこの奇術のことを書いておられる方がたくさんある。

 

ではなぜ今、私がこのことを改めて書いているのかと言えば、実は先日、ご法務の最中にとあるおもちゃ屋さんの前を通ったら、テンヨーの奇術用品がいくつか棚にぶら下がっていて、売れ行きが悪かったのか、どの商品にもとてつもない安値の値下げシールが貼られていたのを見たからだ。

 

その中に「ダイナミックコイン」もあったので、一度は通り過ぎたのだが、テンヨーの商品が安売りになるなどということはめったにあり得ないと思い、わざわざもう一度戻って来て購入した。

 

と言うのも、この商品、子供の時に売り場でディーラーが演じている途中で偶然タネが見えて仕掛けが分かったものの(ちなみにビルチューブも同様にしてタネを知った)、高価だったので今までに購入したことはなく、小学校の時にお小遣いをたくさんもらっている友人が学校に持って来て自慢しているのを横目に見ていた程度だった。

 

何度も目にしたその商品を、今回、初めて手にして思ったのは、「誰にでもできる」「相手に渡しても絶対にタネが分からない」「最高峰の精巧な仕掛け」などといった、これまでによく聞いていた惹句が、どれも嘘ではなかったということだ。

 

何よりその「扱いやすさ」こそが素晴らしく、確かにこれはテンヨーを代表する看板商品な訳で、たとえ正札通りの定価であっても決して高価過ぎない奇術だと、遅ればせながら痛感した。

 

 

 

                 おしまい。

 

 

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在家の方でアジアやお坊さんに関する面白いニュースがあると、その度に私に知らせてくれる人がいて、インドのニューデリーで行われた「Global Buddhist Summit」という国際仏教行事のことがインターネットにたくさん出ていますが、ご存じですか? とのことだった。

 

私は全く知らなかったので、知り合いのインド通の和尚さんにメールで尋ねたところ、その会議のことは知らないけれど、インドには有象無象玉石混淆の仏教団体や仏教行事が満ち溢れていますねという話題で、大いに盛り上がった。

 

この件に関しては、ちょっと心当たりがあるのでまた調べておきますとのことだったのだが、さてしばらくしてから今度は冒頭の在家の方から、テーラワーダのお坊さんが仏教グループを引き連れてアメリカ全土を徒歩で行脚し、行く先々で現地のアメリカ人たちが感動している動画もインターネットにたくさん出ています、こちらはご存じですか? という連絡が来た。

 

これまた寡聞にして全く知らなかったので、インターネットで検索してみると、テキサスにあるベトナム系テーラワーダ寺院主催の巡礼行事だったらしい。

 

あれ? もしかして、どこかで聞いたような、と思って和尚のメールを読み返してみたら、そのことを知らない私が気に留めなかっただけのようで、「テキサスのお坊さんの巡礼も話題になっていますし」みたいな一文がメールの中に含まれていた。

 

つまり、インド通和尚はこの件のことも既にご存じだった訳だ。恐るべし、皆々様の情報力。

 

 

 

 

                     おしまい。

 

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最近バリンジャーの探偵小説を読んだり読み直したりしていて、未読だった「美しき罠」をこのたび読了した。

 

いつものバリンジャー作品ではお馴染みの「仕掛け」が仕掛けられていないストーリーだとは聞いていたが、ここのところ、バリンジャー作品の小説としての面白さに改めて目覚めたところだったので、面白く読めた。

 

この後は、いよいよ私の好きな「顔のない死体トリック」を扱った日本ミステリ「失われた貌」を読むつもりだったのだが、たまたま書評で見た「さよならジャバウォック」という小説を書店で見たら、とても面白そうだった。

 

現代、それも最新の日本ミステリというのはほぼ読まないし、「新本格」以降の日本の作家さんは名前すらも知らない方がほとんどだ。

 

海外ミステリはと言うと、戦前の古典的名作以降では、せいぜいバリンジャーなどの1950年代の作品や、アシモフの短編シリーズ「黒後家蜘蛛の会」のような70年代の作品くらいまでしか読まず、2000年代では「エクソシト」の著者であるブラッティの「ディミター」を頻読している程度で、海外ミステリの方も現代の人気作・話題作などはほとんど読むことがない。

 

だから「失われた貌」の櫻田智也氏も「さよならジャバウォック」の伊坂幸太郎氏も、何を書いておられる作家なのか全く知らないのだが、しかしなおかつ、「さよならジャバウォック」の内容を聞けば聞くほど、とても面白そうに思えて来る。

 

そう、分かっている、現代の探偵作家は読まないと言いながら、海外ミステリ・日本ミステリを問わず、何度か「驚くべき内容」「驚くべき結末」という惹句に騙され、何とか子供の時に初めて名作ミステリのどんでん返しを堪能したあの感覚を今度こそはと思って何冊かは手に取り、そしてその度に失望したことが再三ならずある。

 

けれど今度こそ、今度こそ驚くべき小説であることを期待して、今日から「さよならジャバウォック」を読み始めているところだ。

 

 

 

               おしまい。

 

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お坊さんの法衣や袈裟といった装束のことをまとめて「衣体(えたい)」と言うのだが、この言葉をインターネットで検索すると「袈裟・衣・切袴などの総称」という説明が、寺院のブログや葬儀社のサイトなどに同じように幾つも上がっていて、「衣体」は「袈裟・衣・切袴」だけに限らないのにも関わらず同じ表現が多いのは、誰かが誰かの文章をコピーしているからなのかと邪推する。

 

もちろん、「法衣と執持物の総称」といった端的な表現のサイトもあるけれど、さて、我が天台宗の法儀集の「衣体編」というページはどうかと見てみると、「袈裟」「法衣」「袴」「雑具」「更衣期」といった項目に分かれていた。

 

なぜこんな話を書いているかと言うと、最近お手伝いに行ったあるお寺で、私より衣体に詳しいお坊さんが、もっと衣体にうるさい別のお坊さまに、胸元の白衣の下からシャツが出ていてみっともないと指摘されているのを目にしたからだ。

 

お坊さんになる前、子供の頃から服を着たり畳んだりということがあまり得意でなく、自分には何かかが欠落しているのかなと法衣を扱う今も時々思う私でも、テレビなどで取材を受けておられるお坊さんの白衣の襟元がはだけていたり、白衣の下から正式な衣体ではないシャツ類が見えていたりするのは見苦しいなあと思うから、他山の石、他山の石、気を付けなければと思った次第です。

 

 

 

 

                      おしまい。

 

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タイの高僧・プッタタート比丘の

「仏教人生読本」「観息正念」を添付してあります。

是非ご覧ください。

「歯と爪」などで知られるミステリ作家B・S・バリンジャーの、子供の時から名前だけ知っていた「煙で描いた肖像画」「赤毛の男の妻」を先日初めて読んだので、この際と思って2000年代になってから翻訳された「美しき罠」を図書館で借りてみた。

 

私の苦手なハヤカワのポケット・ミステリなのだけれど、叙述トリック作品の名手・折原一氏が解説を書いておられてバリンジャーの魅力について、2006年出版当時最新の情報も踏まえて伝えておられる。バリンジャーが大好きだという折原氏のこの解説を読めただけでも儲けものだと思ったのだが、本編を少し読み始めたらとても面白そうだ。

 

そう、実を言うとまだ読み終わっていないのだけれど、つい、いたたまれずにこうして筆を執ってしまった次第です。

 

 

 

 

                                    おしまい。

 

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