・小峰元「ピタゴラス豆畑に死す」(講談社文庫)を実店舗の古書店にて100円で購入。
・子供の頃に親戚のおばさんに単行本を借りたのが私の初読。
高校生が出て来る推理小説だけれど、高校生が読むには早い内容じゃないかと思うと言いながら、その親戚が小学生の私に貸してくれたので読んでみた。
・高校生には早い、どころか今の時代の感覚では、登場する若者がとても健全で真面目な人物ばかりだということを、読み直してみて思った。
・ちなみに著者は1921年生まれだそうなので無理もないかと思うが、1970年代に一世を風靡したらしい小峰のシリーズ作品は「青春ミステリ」などと銘打たれていて、これも今にして思えば気恥ずかしいことだ。
・しかし、乱歩の大人もの作品から始まって段々と海外探偵小説を読むようになった私と違い、横溝正史から始まって国内や海外のミステリを読み始めた友人たちが、中高生になってからこの小峰元作品を読み始めた時に、いたく感動していたことを今でもよく覚えているから、ある世代までの読者には十分に通用する内容だったのだろう。
・そのような、このシリーズ作品に思い入れのある人たちが多かったのか、第1作目の「アルキメデスは手を汚さない」だけが2006年に講談社文庫から復刊されたこともある。
・私はと言うと、2作目の「ピタゴラス豆畑に死す」だけが大好きで、何度も読み返したものだ。ツチノコと妖怪研究会、江戸小咄と落語研究会、狐伝説と関西の地理や乗り物などが出て来るのが嬉しくて、今回読み直してみても、文章や言葉遣いの古めかしさは否めないものの、この本を読んで初めて自分が覚えた知識がたくさんあったことなども確認でき、登場人物より年上になった今の視点で読書するのがとても楽しく懐かしかった。
おしまい。
プッタタート比丘の瞑想手引書「観息正念」を添付してあります。
是非ご覧ください。