アニメ『かがみの孤城』は日々戦う子供たちを優しく描き大人の心にも寄り添ってくれる奇跡のような映画 | 【映画とアイドル】

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KRD8 菅原未結
叶星のぞみ(五代目KONAMON)
カラフルスクリームゆうか

🎬『かがみの孤城』 2022年作品

 

 

先日📺地上波の金曜ロードショーで観ましたが良かったですね!!

 

実はボクは本作のことが記憶にほとんどなく、

(今日アニメやるんか~)くらいの気持ちで

本作のことを調べてみたら、

映画館で観て良かった『カラフル』の原恵一監督作品ということで

観始めたんですが、

キャラクターデザインや全体的な絵の感じが好みではなくて、

出だしは引き込まれなかったんですが、

主人公のこころが 自分をいじめた同級生へ向けた視線を見た時、

決して睨んでたとかではないのに、

こころの復讐心を感じて そこから引き込まれていきました。

 

 

 

 

 

 

【核心には触れませんが、ネタバレ含みます】

 

 

 

 

 

 

 

 

こころはイジメが原因で不登校になった中学一年生。

そのこころが自分の部屋の鏡から

まるでおとぎ話に出てくるようなお城に行くと、

そこには同じく不登校に悩む中学生たちがいた―。

 

 

特に理由は明かされず、

鏡を通り道にして架空のお城に行ける展開はまさにファンタジー。

しかし、そこに集まっているのは学校に行けない子供たちだった―。

 

 

ファンタジックな舞台に、

現実の問題に苦しんでる登場人物たち。

 

このなんとも不思議な世界観がまず魅力ですが、

この7人を見た時も実はまだ完全には引き込まれてはいませんでした。

 

 

 

だって、不登校になりそうもないイケメンが二人もいるし、

 

 

女の子たちも可愛くて不登校のイメージが合わない。

第一主人公のこころも可愛いからナンかしっくりこない。

 

 

生意気な感じのヤツと

小太りのヤツは不登校になりそうなキャラに見えたけど

これはこれでステレオタイプ。

ウレシノをウザいと思ってしまったんですが、

そう思ったと同時に、不登校の子たちに感情移入して観るお話のはずなのに、

自分がイジメる側の視点でもあることに気づかされてしまいます。

 

このウレシノをウザく描いたのは原監督の計算でしょうね。

ウレシノを見てイライラした観客は自分にモヤモヤすることになる。

 

でも、このウレシノがだんだんウザくなくなって

むしろ普通にいいヤツに見えてくるのも原監督の上手い演出やと思います。

 

 

 

 

こころのお母さんは優しくてこころを理解しようとしてくれるし、

 

個人的に一番気に入ったキャラクターやったフリースクールの先生もすごく理解してくれる。

 

 

「こころちゃんは毎日戦っているでしょ」

 

 

『カラフル』にも出演していた 宮崎あおいちゃんが演じてたんですね。

 

 

 

 

 

一見おとなしそうな萌が

‘いじめっ子なんてロクな大人にならない’みたいにズバッと言ったのが印象的でした。

原監督は【イジメ=悪いこと】とちゃんと描いています。

 

ただ、本作が素晴らしいのは

いじめっ子を過剰に描くことはせず、

この手の物語の中心になりがりな

いじめっ子といじめられっ子の関係・対立を描くことはほとんどせず、

あくまでも こころとこころが新たに出会った6人との物語がメインになるところです。

 

母親と喜多嶋先生との関係も加え、

あくまでもこころとこころの味方になってくれる人たちとの物語になっています。

そう、誰にでも味方はいるんです。

だから死んだらいけない。

必ず悲しむ人がいるからです。

 

 

 

 

 

お城の中にある鍵を見つけたら願い事が叶う、というのがポイントですが、

それと同時に7人の記憶が消えるというのもポイント。

みんな願い事はあるけど、せっかく出会えた仲間を忘れたくないという気持ちになる。

 

 

お城の案内人であるオオカミさまが聞き覚えのある声やと思ったら

芦田愛菜ちゃんでした。

 

 

 

 

 

 

もう一つ面白いのは、お城にいれるのが午後5時までということ、

つまり、みんな現実世界とお城を行き来するわけで、

ずっとお城の中の話になるんじゃなくて、

舞台がちょくちょく変わるのが面白かったです。

 

 

ウレシノが学校に行くことに再チャレンジして

ボコボコにされて帰ってくるのが切なかった‥。

同情ではなく、ここからウレシノのことも応援したくなってくるんよね。

 

 

 

 

 

 

 

ボクは不登校の経験はありませんが、

小学生の時に転校して、学校に行きたくないことはあったし、

友達に嫌な思いをさせられたこともある。

だから弱い者いじめは絶対許せないし、

それが原因で自殺する子供のニュースを見ると胸が痛くなる。

小中高生の自殺が過去最多になってしまうのが今の日本の現実です。

いじめによる自殺を防ぐためには、

いじめられている子供に大人が気づくことがまず大事やと思いますが、

いじめている側を厳正に処罰することも必要とボクは考えます。

だからボクは いじめっ子がこの世から居なくなればいいという

こころの願い事に共感できました。

しかし、本作の素晴らしいところは

こころがそんな復讐心よりも、

今目の前に居る6人の仲間を大事と思う気持ちで成長していくところです。

 

ネガティブともとれる願い事を持っていたこころが

心を許せる仲間たちと出会ったことで

いつの間にか未来をちゃんと見れるようになる。

仲間を守りたいという気持ちで

こころが自然にポジティブな人間になっていく姿が感動的でした。

 

 

 

 

お城で出会った仲間に対してだけではなく、

ずっと寄り添ってくれた母親の気持ちも大事にできる女の子になっていく姿に心があたたかくなりました。

 

 

 

 

 

なぜ7人が集まったのか?という謎解きのところで

「パラレルワールド」というワードが出てきて

(またかよ~)と思いましたがw

パラレルワールドにしてしまえばナンでもありな作品が昨今増えましたが、

本作はその上を行くような設定で、

しかもそれが物語に重層的に作用して、

最初はよく分からなかった突飛な設定が

見事なクライマックスに集約されていく様が見事で、

言葉にならない(できない)ような感動を覚えました。

 

 

 

 

 

 

 

恥ずかしながら 原作を書いた辻村深月さんのことは知らなかったんですが、

直木賞や本屋大賞(本作)など数多くの賞を受けているのも納得の素晴らしさでした。

 

 

(左が原恵一さん・右が辻村深月さん)

 

 

 

 

原監督は

「この映画で描いているようなつらい目にあっている子どもたちというのは今、実際に日本でたくさん増えていて、なかには自殺してしまう子もたくさんいる」と言い、

2022年の中高生の自殺者が過去最多の514人になってしまったことについても言及しています。

それを踏まえた上で

「現実の世界には“かがみの孤城”はないので、僕らは何かしらそういう子どもたちのことをちゃんと忘れずに、何かできる小さいことをできればいいなと思ってます。で、見た人がやっぱりそういうふうに、なんか自分が“かがみの孤城”みたいな存在に少しでもなれればいいって考えてくれるとうれしいです」

とおっしゃっています。

 

 

 

 

 

 

自分自身の経験にもとづいて言えば、

大人になってからも辛いことはあります。

今は33年以上勤めた会社で今までで一番辛い目にあっています。

どうしてもしんどい時は休みましたが

仕事には行っています。

それは家族と自分が生きるためです。

それに、生きていれば

辛いこと以上に幸せなことがあるからです。

辛いことの方が多いときがあっても、

生き続ければ幸せの方が大きくなるときが必ずきます。

人生なんてそれの繰り返し。

少なくともボクの人生はそうです。

でも 生きててよかったし

生きてたからこの作品と出会えました。

もちろん生きていれば新たな大事な人と出会う可能性はつねにあります。

 

 

 

 

 

原監督も言っているように、

かがみの孤城は現実には存在しません。

でも、この物語に触れて幸せを感じることはできます。

ボクは56歳のおっさんですが、

この映画に前を向く力をもらうことができました。

 

 

 

 

もう一度言いますが、

とにかく生きることがまず大切です。

死んでしまったら悲しむ人が

誰にも必ずいるからです。

 

この真実は子供も大人も関係ないと思う。

 

だからボクもまず生きたい。生きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私たちは、ひとりじゃない」