黒人差別に切り込んだ『評決のとき』は、今だからこそ目が離せない 魂を揺さぶる法廷劇!! | 【映画とアイドル】

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今現在、アメリカでは警官の取り締まりで黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)が死んでしまったことをきっかけにしてデモが広がっていますが、驚いたことに、警官の取り締まり中に死んだ黒人が6年間で1900人もいるそうです。

フロイドさんは20ドルの偽札を使った疑いで拘束を受けたとのことです。

容疑についてまでは報道してないニュースも多いですが、これを知ってますます不条理やと思いました。

 

亡くなってしまった黒人男性の弟さんが暴力的になったデモを批判して「やり方を変えよう」と言ったことで、デモが本来の形を取り戻しつつあるみたいで、警官側にも歩み寄りの姿勢が出てきてるようです。

しかし、おさまらないデモに依然強行な対応をする警官も多いようです。

トランプは軍の投入を見送るみたいですが、自身のパフォーマンスのために暴力的ではないデモ隊に催涙ガスを放っていたのには呆れました。

フロイドさんの葬儀では姪のブルック・ウィリアムズさんが

「誰かが『米国を再び偉大に』と言っていました。だけど、米国は一体いつ、偉大だったんでしょうか?」と

問いかけたそうです。明らかにトランプ大統領を意識した言葉です。

 

同様のデモは世界的に広がり、数百人規模とはいえ大阪でもデモがありました。

様々なアーティストが声を上げています。

 

12日にもアメリカで警官が黒人男性(27)に3発発砲し射殺する事件が起こりました。

今チェックしたネットニュースでは、男性は飲酒運転の疑いで警官のテーザー銃(スタンガンの一種)を奪って逃走しようとしたみたいですが、男性は車中で寝ていたところを‘ドライブスルーの邪魔’ということで通報されたようです。

男性はテーザー銃を警官に向けて撃ったようですが、射殺する必要はなかったと言えるし、今の世論の中でもこういう事件が起きてしまうところに、アメリカが抱える根深い問題を感じざるをえません。

 

 

こちらの方が上げている動画が↓話題になってますね。TVでもやってました。

人種差別を受けている黒人自身の言葉なので説得力があります。

「きっとこれは 10年後にもまた起こる」という言葉が凄くリアルですが、

16歳の若者に対して

「やって欲しいことがある。何か良い方法を編み出すことだ」

「お前達は道を導き出せる」「何か方法を探してくれ」

と訴えてる言葉に本気の思いを感じました。

 

昔から繰り返され続けている負の連鎖を止めることができるのは

まさにこれからの世代である若い子たちだ、というのは共感できます。

 

 

黒人差別に関する事件が起こってしまうと思い出す映画のひとつが

『評決のとき』【A TIME TO KILL:1996年作品です。

 

 

 

10歳の我が子が黒人差別主義者の白人の若者二人に強姦・暴行された父親が

自らの手でその二人を射殺。その父親の行為は法で裁かれるべきか否か?といった物語で

テーマは非常に重いですが、思わず引き込まれる語り口には映画としてのエンターテイメント性もきっちりある作品です。

 

 

 

 

 

アメリカの南部らしい暑くて湿気もあるような気候が作品自体のトーンと合っていて

緊張感が途切れず、二時間半の長さは全く感じません。

 

 

娘の復讐を果たす父親カールを演じたサミュエル・L・ジャクソンがさすがの熱演。

 

 

自分の娘を暴行・強姦した犯人たちは―

「死刑だ!

 地獄で焼かれるがいい!」

この言葉にボクは強く共感しました。

 

京アニの犯人も地獄で焼かれたらいいと思う。

 

 

 

 

カールを弁護するジェイクを演じたマシュー・マコノヒーは本作出演時はまだ駆け出しの若手俳優でしたが、本作での素晴らしい演技を見て、間違いなくスターになる俳優(!)と確信した通りになりました。

 

 

 

ジェイクはもちろん良心的な弁護士ですが、弁護費用を請求するシーンもきっちり入れてるところが何気に好きです。本作は決してキレイ事に逃げようとしていないところがいいです。

 

 

 

 

 

サンドラ・ブロック演じる死刑制度に反対する法学生エレンと、極刑肯定派のジェイクが意見を戦わせるところもいいです。ボクはもちろん極刑は必要やと思っています。今の制度じゃ手ぬるいと思うほどです。

勿論、同じく娘を持つ父親の立場として、カールの行動には強く共感しました。

 

 

 

 

 

ジェイクと戦う検事が登場してからは 冒頭のジリジリした雰囲気から一気に法廷劇のサスペンスへと展開しますが、検事を演じるケビン・スペイシーがさすがの上手さです。

 

 

 

 

本作はキャストについて語るだけでブログがいっぱいになりそうなので今回は敢えて書きませんが、

本作の後出世したクリス・クーパーがチョイ役とはいえさすがの存在感。

 

カールの銃撃によって片脚を失いながらもカールの行動に強く理解を示す姿には感動しました。

 

 

 

 

 

エレンはハリウッド映画らしい添え物的な捉え方をしていたところもあったんですが、今回の鑑賞で彼女が非常に重要な言葉をジェイクに投げかけていたことに気付きました。

 

 

 

 

白人至上主義集団KKKの行為のおぞましさも描いています。

カール側についた者にとっては命懸けの裁判になっていくところが恐ろしいです。

 

 

 

 

クライマックスの最終弁論の前のシーンでも、非常に重要なメッセージが投げかけられていたことに

あらためて気付きました。

 

 

 

 

 

 

「我々の目と頭は恐れと憎しみで

 しばしば偏見に毒される」

 

映画館で初めて観た時は、ジェイクの最終弁論の‘オチ’にガッカリしてモヤモヤした記憶があるんですが、その時から四半世紀近くたっても黒人差別が無くならないどころか顕著化してる実情を見てたら、ジェイクのやり方に納得できる思いになりました。

 

黒人少女の被害者を陪審員たちと同じ白人の少女と仮定させることでしか、

白人に黒人差別を自分事として捉えてはもらえないのが現実なのかもしれません。

 

 

 

ここもキレイ事ではなく、裁判に勝ってカールを無罪にするためにジェイクがとった最良の策がこれだったんでしょう。

 

あと、今回観て強く感じたのは、ジェイクは自分の娘が同じような被害にあったら絶対に犯人を許せない(!!)という思いも込めて弁論していたのは間違いないと思いました。自分も娘の父親になったからそこを強く感じるようになったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

初めて観た時から好きやったのはラストシーンです。

カールとジェイクの娘が子供同士、仲良くしている姿になんともいえない気持ちになりました。

 

実は大そうなことじゃない。

普段からこうやってフランクな付き合いをしていたら人種の違いうんぬんなんて関係ない。

それを一番自然に体現できるのが子供たちなんやと思いました。

そう思うと、最初に貼った動画の、若者へ希望を託す黒人男性の気持ちが本当にわかる気がしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い子供でもできることがあります。