ARRIVAL(2016)
本作は、言語学者である女性の主人公が異星人?とのコンタクトを試みるというストーリーが、
ボクが一時期一番好きな映画やった ロバート・ゼメキス監督の『コンタクト』を彷彿とさせるところがあって、しかも、その主人公を演じるのがエイミー・アダムスということで、ずっと楽しみにしていた作品でした。
本国アメリカでは出だしこそ比較的地味な興行のスタートをきりましたが、その後 ずっとベスト10にランクインし続け、結局 1億ドルの大台に乗せる大ヒットになっていたので、そのヒットの仕方からも
本作が本当に面白い映画であることが予測できて、期待は高まるばかりでした。
なので、仕事を予定より早く切り上げて早速初日に観て来ました!
この予告編で↑得られる範囲の情報に絞って書きたいと思いますが、
本作は予備知識がないほど楽しめると思うので、観に行くつもりの方はスルー推奨です(^^ゞ
まず、謎の飛行物体が地球に訪れるというプロットは今までのSF映画でもよく描かれてきたシチュエーションですが、本作はリアルな描写によって、そのサスペンスの度合いは既存の作品を軽く凌駕していると言っても過言じゃありません。
本作はまず ‘リアルなSF映画’として非常に優れた作品であることは間違いありません。
異星人?とコンタクトをとるのが言語学者というのも面白い。
現代なら、コンピューターなどを駆使して解析しそうなものやのに、
実際に相対してコミュニケーションをはかろうとする展開に目が離せなくなります。
この学者を演じるエイミー・アダムスが素晴らしいのは言うまでもないです。
学者であると同時に、娘を失った母親でもあるのが物語的に重要になってきますが、
ここではこれ以上書きません。
言語学者だけではなく、ジェレミー・レナー演じる物理学者もコンタクトをはかることで、
言語というアナログな部分に、数学・物理の理論を合わせて解析していく様に知的好奇心がくすぐられること必至です。その分2時間弱、かなり神経を集中させ、頭をフル回転させて観るので、疲れなくもないですが、たまにはこういう映画もいいでしょう。
色々考えながら真剣に本作を観た方は、そこから導き出された答えに感動をおぼえずにはいられないはずです。
‘答え’といっても、観た人それぞれによって色んな解釈が生まれそうな作品でもあります。
一度観ただけでは嚙み砕けない奥の深さも感じました。
本作には不変性のある大きなテーマが3つはあると思いました。
そのうちの1つは特に現代、今 世界中の人が観るべき価値のあるテーマやったのは間違いないです。
もう1つはパーソナルな部分。
人生における大事な節目を迎えた時、ボクはこの映画のことを思い出すかもしれません。
そしてもう1つ、これは子供の頃から漠然と考えたりしたことのあるテーマ。テーマといっては大袈裟かもしれませんが、おそらく誰もがこれに近いことに考えを巡らせたことがあると思う、そういうテーマがありました。
わざと漠然とした感じで書いてますが、是非 映画館でお確かめ下さい。
これは〈本物の映画〉です。だから スクリーンで観るのが相応しいし、スクリーンで観るからこそ感じ入れるところがあるような作品です。
アカデミー賞を受賞した音響も凄いので映画館で観ることをオススメします。
今はホームシアターでも高品質な音響を楽しめますが、やはり 映画館の大音響は家では味わえないもの。本作は素晴らしいビジュアルだけではなく、その 音の演出効果も素晴らしいので、視覚だけではなく、聴覚も研ぎ澄まして体感して欲しい映画です。
『ブレードランナー』の続編も含め、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の今後の作品も要注目です。
ちなみにボクは邦題の『メッセージ』というタイトルが気に入っています。
シンプルですが、本作の主題のひとつを表しているからです。
原作を読んだ上で、もう一回観てみたい映画です。