宮殿の異様は近づくにつれて明瞭になった。壁面は、鮮やかな色調とともに、細やかな凹凸が刻み込まれている。奇妙な仮面まで掘り込まれている。個々は好き勝手に作られたように見える。ただ俯瞰すると、確かなテーマが貫かれた印象に変わる。小高い立地のせいもあり、外界から切り抜かれた一つの世界が確立されていた。

その世界の外は、見渡す限り平地である。町、森、畑が三つ巴になってキャンバスを染め上げる。「天候がよければリスボンまで見える」と言われたが、あまりに恵まれた天候のせいか、隣国スペインまで眺めている気分になった。空、あるいは天を支配する者の視点だった。ここにいた王族は、大いなる野望を抱いたに違いないと追想した。

宮殿内部には瀟洒な装飾がごまんと施され、華やかなる王侯の文化に魅せられた。いかにも近代欧風という空間が圧倒的多数の中で、何やらかつての日本を思わせるような骨董品もあり、大航海時代以降の繋がりを感じた。そのような歴史的経緯から見たらあまりに疎遠な現在の日葡関係だが、形として脈々と継がれているかつての交流の跡は、将来の再興を穏やかに感じさせるものだった。
シントラからはロカ岬というユーラシア大陸の最西端地点が近く、そこも訪れる予定だったが、今回はやめることにした。シントラの空が、そうはさせなかった。

その世界の外は、見渡す限り平地である。町、森、畑が三つ巴になってキャンバスを染め上げる。「天候がよければリスボンまで見える」と言われたが、あまりに恵まれた天候のせいか、隣国スペインまで眺めている気分になった。空、あるいは天を支配する者の視点だった。ここにいた王族は、大いなる野望を抱いたに違いないと追想した。

宮殿内部には瀟洒な装飾がごまんと施され、華やかなる王侯の文化に魅せられた。いかにも近代欧風という空間が圧倒的多数の中で、何やらかつての日本を思わせるような骨董品もあり、大航海時代以降の繋がりを感じた。そのような歴史的経緯から見たらあまりに疎遠な現在の日葡関係だが、形として脈々と継がれているかつての交流の跡は、将来の再興を穏やかに感じさせるものだった。
シントラからはロカ岬というユーラシア大陸の最西端地点が近く、そこも訪れる予定だったが、今回はやめることにした。シントラの空が、そうはさせなかった。

