ギターのリードプレイ時に、右手(ピッキングする手)の小指や薬指をボディやピックガードにつけてる人もいらっしゃると思います。私の右手も小指がピックガードに触れるようになっており、右手と弦の間に一定の間隔を保ったフォームになっています。これは誰かの真似をしているとかではなく、自然と身についたものなので、無意識のうちにやっている方も多いのかなと推測します。

 

 ちなみに、イングヴェイ・マルムスティーンは小指ではなく、薬指の横腹をピックガードに押し付けて弾いてますね。以前、興味本位で真似して試してみたことがありますが、何がどう弾きやすいのか全く意味不明でした(汗)。彼とは手指の大きさが全然違うので、あまり参考にならないかなと思ってます。

 

 閑話休題。さて、この小指や薬指をピックガードにつけたりして右手を固定している、または固定していないことで自分のフォームが正しいのか?間違ってるんじゃないか?と不安な方もいらしゃることと思います。今回は右手を固定するフォームと、固定しないフォームの違いについて解説したいと思います。

 

1.右手を固定するフォーム

 

 小指をボディ、またはピックガードに接地して安定感を得るフォームですね。右手を固定すると言っても、接着剤でくっつけた様に固定するわけではなく、実際は移弦の時にスライドするように動いています。このフォームにはメリットが2つあります。

 

(1)ピッキングをコントロールしやすい

 小指をボディやピックガードに接地したことにより、ピッキング時の手のフリ幅(可動域)が狭まり、ピッキングのエネルギーが小さくなります。力のリミッターがかかったようなイメージでいいと思います。そして、力のリミッターのかかったフォームではピッキングコントロールが楽になるため、速弾き等のコンパクトで精細なピッキングが楽に安定的に行えます。

 

(2)弦~ピックの距離を保てる

 小指が物差しとなるため、弦~ピック間に一定の距離が保たれ、空間が認識しやすくなりピッキングが楽になります。また、指が接地していることで安定感、安心感を得ることができます。

 

 いずれのメリットも手の動きに制約を設けることで、安定感を出すものになります。しかし、デメリットとしては可動域が狭まり、ピッキングのエネルギーも小さくなるので、パワフルなピッキングが不得意になるところです。

 

2.右手を固定しないフォーム

 

 右手の指をボディやピックガードに接地しないフォームです。このメリットは前章の裏返し。というか、制約がなくなるので自由になります。ピッキングの可動域、ピックの進入角度が広がるため表現の幅も広がります。しかし、自由になる分、ピッキングコントロールの難度は上がります。(とはいっても慣れの問題です。)また、マシンガン・ピッキングと呼ばれる勢いをつけたパワフルな奏法はこのフォームでのみ行うことができます。

 

 右手を浮かせたフォームはピッキングの表現の自由度が高く、パワフルなプレイに優れていると言えるでしょう。

 

3.フォームは使い分けよう

 一見すると、特に制約のなく、よりパワーの強く弾けるフォームの方が正しいのではないか?と考えることもできます。が、そもそもエレキギターは常にフルパワーで弾くような楽器ではなく、むしろ精細なピッキングコントロールの方が重要になることが多いです。そのため、これこそが正しいフォームだとは一概には言えないのです。

 

 このことから、どっちが正しい、間違っているとかではなく、表現の必要性に応じてフォームを”奏法”のように使い分けることが出来たほうが、ギタリストとしては豊かなのではないかと考えます。

 

 

おしまい☆