3か月に一度の歯科検診に行きました。
歯科医院に行く途中、毎度、市ヶ谷柳町の「淡交社」という茶道の本を出している会社の前を通ります。
「淡交社」には複雑な思いがあります。
かれこれ45年ほど前、母が40代だったころ、動悸や息切れがするといい、近所のA内科を受診しました。
診断は更年期障害。
しかし、漢方薬や不眠用の安定剤をもらって様子をみても、いっこうによくならない。
以来、動悸や息切れをだましながら暮らし、30年ほど経ったある日、母は心筋梗塞で救急搬送されます。
緊急オペで 心臓の血管にステントを入れる処置をしてICUに入っている時、私たち姉妹は医師から告げられました。
お母さん、慢性の心不全ですね。心臓の半分ぐらいはもともと動いてなかったようです・・・
えっ!?
あの・・・今から30年ほど前から、動悸・息切れが・・・更年期障害だと・・・
あー。その時からかどうかはわかりませんが、心筋梗塞以前に心不全はあったと思います。
心筋梗塞は今回の処置で症状が改善しますが、心不全は治りません。
今まで、心臓半分で生活されてたのは相当きつかったと思いますよ・・・
その時、私の脳裡に蘇ったのはA内科の小ぎれいな待合室。
美しくお花が生けられ、茶道の雑誌(「淡交社」のもの)や茶器らしきものが並べられていました。
開業医の趣味のいい暮らしぶりが伝わって来る院内。
(心の声)いくらなんでも心不全を見落とすかな!?
茶道を嗜む前に検査してほしかったな・・・ぶつぶつ(「淡交社」にはなんの恨みもありません)
ステントを入れて、心臓の薬を飲むようになって、ここ40年で一番調子がいい と母が宣ったのが83歳ごろ。
そのころ屏東に行こうと誘ってももう行く元気なし。(飛行機の気圧の変化に弱いから)東京に来たのもたった2回。母は人生後半の大半を 更年期障害 で棒に振ったことになります。
もう終わったことです。
それに、誤診を疑っている(ほぼ確信)のは私であって、母は今までかかったドクターたちをつゆほども疑ってません。
心不全なのに更年期障害と診断され、手首からの心臓カテーテルで(血管を傷つけられて)だるまのように腕が腫れあがり、(80歳なのに)大腸のポリープでいきなり開腹手術(←結局良性)をされても先生は神様。
人の寿命は不思議です。
そんなこんなで何度も命拾いをしながらもうすぐ92歳になる母。
人知を超えた何かを感じずにいられません。
「淡交社」の前を通ると 茶道習いたい と思う一方で、心不全 がアタマに浮かび、茶道習いたい が消えてしまいます。