「淡交社」で思い出すこと | ☆ Pingtung Archives ☆

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もとは(湾生の母にまつわる)戦前の台湾・屏東(Pingtung)や引揚げ、さらに2016年の屏東訪問の記録。今は思い付きの日記で、映画やドラマ、本、受験、犬、金融・経済、持病のIgGMGUSそして台湾とテーマは支離滅裂です。♬マークは音楽付き。

3か月に一度の歯科検診に行きました。

歯科医院に行く途中、毎度、市ヶ谷柳町の「淡交社」という茶道の本を出している会社の前を通ります。

 

「淡交社」には複雑な思いがあります。

 

かれこれ45年ほど前、母が40代だったころ、動悸や息切れがするといい、近所のA内科を受診しました。

診断は更年期障害。

 

しかし、漢方薬や不眠用の安定剤をもらって様子をみても、いっこうによくならない。

以来、動悸や息切れをだましながら暮らし、30年ほど経ったある日、母は心筋梗塞で救急搬送されます。

緊急オペで 心臓の血管にステントを入れる処置をしてICUに入っている時、私たち姉妹は医師から告げられました。

 

お母さん、慢性の心不全ですね。心臓の半分ぐらいはもともと動いてなかったようです・・・

 

えっ!?

あの・・・今から30年ほど前から、動悸・息切れが・・・更年期障害だと・・・

 

あー。その時からかどうかはわかりませんが、心筋梗塞以前に心不全はあったと思います。

心筋梗塞は今回の処置で症状が改善しますが、心不全は治りません。

今まで、心臓半分で生活されてたのは相当きつかったと思いますよ・・・

 

その時、私の脳裡に蘇ったのはA内科の小ぎれいな待合室。

美しくお花が生けられ、茶道の雑誌(「淡交社」のもの)や茶器らしきものが並べられていました。

開業医の趣味のいい暮らしぶりが伝わって来る院内。

 

(心の声)いくらなんでも心不全を見落とすかな!?

茶道を嗜む前に検査してほしかったな・・・ぶつぶつ(「淡交社」にはなんの恨みもありません)


ステントを入れて、心臓の薬を飲むようになって、ここ40年で一番調子がいい と母が宣ったのが83歳ごろ。

そのころ屏東に行こうと誘ってももう行く元気なし。(飛行機の気圧の変化に弱いから)東京に来たのもたった2回。母は人生後半の大半を 更年期障害 で棒に振ったことになります。

 

もう終わったことです。

それに、誤診を疑っている(ほぼ確信)のは私であって、母は今までかかったドクターたちをつゆほども疑ってません。

 

心不全なのに更年期障害と診断され、手首からの心臓カテーテルで(血管を傷つけられて)だるまのように腕が腫れあがり、(80歳なのに)大腸のポリープでいきなり開腹手術(←結局良性)をされても先生は神様。

 

人の寿命は不思議です。

 

そんなこんなで何度も命拾いをしながらもうすぐ92歳になる母。

 

人知を超えた何かを感じずにいられません。

 

「淡交社」の前を通ると 茶道習いたい と思う一方で、心不全 がアタマに浮かび、茶道習いたい が消えてしまいます。