『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』 by 小林美希 | ☆ Pingtung Archives ☆

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もとは(湾生の母にまつわる)戦前の台湾・屏東(Pingtung)や引揚げ、さらに2016年の屏東訪問の記録。今は思い付きの日記で、映画やドラマ、本、受験、犬、金融・経済、持病のIgGMGUSそして台湾とテーマは支離滅裂です。♬マークは音楽付き。

タイトルそのままの内容です。

著者は、労働や経済が専門のジャーナリスト。

この本が出たのは2022年11月。

まさに今の日本の姿です。

 

 

本の内容

『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(小林 美希):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)より)

    

平均年収443万円――これでは“普通”に暮らすことができない国になってしまった。ジャーナリストが取材してわかった「厳しすぎる現実」。

昼食は必ず500円以内、スタバのフラペチーノを我慢、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢、サイゼリヤは神、子どもの教育費がとにかく心配……

「中間層」が完全崩壊した日本社会の「本当の危機」とは?

 

 

443万円は、今の中間層の平均年収だそうです。

昔の中間層は、1馬力(お父さんの稼ぎだけ)で家族を養うことができましたが、今の平均年収443万円では、それは無理。こんなに安いニッポンなのに・・・物価よりも給料の下げのほうがきつかったってことですね。

なので、お母さんも働きに出ます。

だいたいの場合非正規雇用なので100万~200万。

女性の社会進出といいながら、実態は食べるための家計補填。

 

 

問題は、なぜそうなったのか、です。

この30年、バブル崩壊、しつこい円高、少子高齢化と、企業収益を圧迫する要因しかなかった日本で、企業が生き残るために犠牲にしたのが人件費。非正規雇用を増やすことで乗り切ったのでした。

 

その甲斐あって日本企業は強靭な体力をつけました。

でも人への投資や新規事業の種をまくことに後ろ向きでした。

そうしてプールした(本来非正規雇用者の給料だったはずの)余剰のキャッシュは内部留保として積み上がり、結果、株式市場では低PBR銘柄のオンパレード。

それじゃあダメよと東証の指導を受けた上場企業は、今度はそのお金を「配当」や「自社株買い」で株主に還元。

非正規雇用の人々がもらうはずのお金は、社会を照らすことなく株主に還元される・・・

格差助長。これがほんとの負のスパイラルだと思えます。

 

17年前、伊藤忠商事の丹羽会長(当時)は言いました。

 

    

富(所得)の2極分化で中間層は崩壊する。・・・中間層の没落により、モノ作りの力がなくなる。・・・雇用や所得の2極分化が教育の崩壊をもたらし。若い人が将来の希望を失う。10~15年たつと崩壊し始めた社会構造が明確に姿を現す。その時になって気づいても「too late」だ。

 

丹羽会長の言葉から17年。

too late ですね。

この後は焼け野原からの復活が叶うか、どうか。

 

救いは、この本にでてくる「中間層」の人たちが、自身の(就職氷河期に社会人になるという) Fate に翻弄されながらも、政治や社会への”違和感”を持つ正気を失っていないことです。

 

    
  • 今の税金の無駄、政治の失態がすべて子供たちの将来のツケとなって回ってくる。そんなことばかり考えてしまいます。
  • 必死に働いても非正規労働は報われない・・・政治に強い関心を持たずにはいられません。
  • 私たちがこういう生活を送っているのに、政治家ってなんなんでしょうね。
  • 政治家なんて、・・・ずれてるんですよね。だから少しでも政治家が変わるように、私はツイッターでつぶやいています。
  • 岸田首相が保育士や介護職に対して月9000円の賃上げをすると言ったとき、正直、一桁違うのではないかと思いました。
  • 一斉休校は私にとって、戦後稀にみる最低の政策だったと思うのです。国が余裕のない家庭の親も子も追い込んだのです・・・
  • 本当に政治家には怒りしかないです。一度でいいから、介護やってみろ。ちゃんと賃金アップして、いい人材が増えるようにしてほしい。
  • 2022年7月に行われた参議院選挙で自民党が圧勝しましたね。それでは、これまでと何も変わらない。

 

そのうち暴動がおこります。先日読んだ「掏摸」の悪党のセリフを思い出します。

 

    

これからこの国は面白くなるぞ。利権にボケた権力者の構造が、大きく変わる。劇的に!庶民にも凄まじい影響が出る。世界はこれから、沸騰していくのだよ。