振袖におもう | ☆ Pingtung Archives ☆

☆ Pingtung Archives ☆

60代おばちゃんの徒然です。映画やドラマ、本、受験(過去)、犬、金融・経済、持病のIgGMGUSそして台湾とテーマは支離滅裂です。ブログのきっかけは戦前の台湾生まれ(湾生)の母の故郷、台湾・屏東(Pingtung)訪問記です。♬マークは音楽付き。

娘は、再来年成人式を迎えます。

 

そろそろ振袖を選ぶ時期。

 

いまどき振袖・・・

多くの人はレンタルでその日を迎えます。

手間暇かけた手工芸品である着物は美しいけれど、いったん所有してしまうと場所をとるし何よりお手入れが大変。

そもそも何回着るかわからないし。

前撮り、成人式、卒業式、友人の結婚式、そして結婚する場合は結納の儀で。

 

自分が結婚したとしてもせいぜい4-5回。

 

それでも、娘に振袖を作ってやりたいと思っています。

 

当の娘は頓着なく、「どっちでもいい」。

 

そうよね、着物のよさなんてわからないよね。

帰省中、百貨店と呉服屋さんに一軒ずつ行って、何枚か着てみました。

売場の人は、当然ながら高価なものから薦めてきて「お似合いです」とほめそやし、その着物以上の格の帯を持ってきて合わせます。

 

ほめられてまんざらでもない気分になった帰りしな、渡された「お見積書」を見た娘は、「こんなに高いの・・・」と驚嘆の声をあげ、レンタルへの思いをつのらせる気配。

 

百貨店のオリジナルシリーズで、着物と帯のセットで80万~100万円前後のリーズナブルなものもあれば、着物だけで200万前後、帯も入れると400万円近くになるものもあります。

 

この値段、たしかに高いのですが、バブルを知る世代としては、値段あがってないんだな、とも思います。

 

後日、義母に(かねがね素敵だなと思っていた)義姉の振袖のことをきいたら、今から45年前、銀座の三越(←もう呉服売り場がない)で誂えた京友禅のその振袖(←残念ながらサイズが合わず着せられない)が100万円だったそうです。

 

今夏、見て回った振袖のどのクラスに該当するのかわかりませんが、おそらく今なら100~150万円前後の着物だと思われます。

 

45年経って、(機械などで生産性を上げられない)手仕事の結晶の価値が同じかせいぜい1.5倍。

 

ニッポンと着物業界の沈み具合を映す、悲しいキモノの物語です。

 

さて、わが家の振袖。

 

買ってしまったら、私が生きてる間はお手入れを担当するとして、その後は負のレガシーとなるかもしれません。

 

それでも買ってあげるか、心底悩みます。