先日の投稿で紹介した鎌田浩毅先生の最終講義の動画が面白かったので、先生の著書を読んでみた。
以下、南海トラフ、首都直下、そして富士山噴火に備えるための覚書としてまとめてみました。
1)東日本大震災(以下、3.11)によってプレートに蓄積されたエネルギーの解放がはじまり、日本列島は、今後少なくとも数十年は地震と噴火が止まない「大地変動の時代」に突入した。寝た子が起きた状態。
2)マグニチュードのおさらい
マグニチュードの数字が1大きくなるとエネルギーは2の5乗(=32)倍になる。マグニチュード0.2はエネルギーにして2倍。
3.11(M9)のエネルギーは1923年の関東大震災(M7.9)の約50倍。1995年の阪神淡路大震災(M7.3)の約1400倍。
3)地震のタイプはふたつ。
海で起こる地震:海溝型地震とよばれ、莫大なエネルギー(M8~9)を放出し、津波を伴う。
陸で起こる地震:「直下型」や「内陸型」とよばれ、M7クラス。震源が浅く人が住んでいるところと近いため発生直後から大きな揺れ。逃げる暇がないため大災害をもたらす。
4)3.11は北米プレート上の地盤を変えてしまった。東京を含む首都圏はその北米プレート上にあり、(3.11で)活発化した内陸型(直下型)地震が起こる可能性がある。M7.3が起きたら死者11000人。家屋倒壊焼失61万棟。経済被害95兆円。
日本列島が浮かぶプレート(気象庁ウェブより)
5)日本中に活断層がある。わかっている活断層が2000本以上。わかっていないものも多く、逃げ場はない。
活断層マップ(地震本部webより)
6)火山学的に、富士山はスタンバイ状態であり「100%噴火する」。
7)富士山の噴火は南海トラフと連動するおそれがある。300年前の宝永の噴火は南海トラフで起きた宝永地震(M9)の49日後に始まった。
8)地震は予知できないが噴火予知は実用化に近い段階まで進化した。観測体制があれば直前予知は可能。
低周波地震⇒高周波地震⇒有感地震⇒火山性微動 の順番。途中で山が膨れる、火山ガスが出る、火山ガスの成分が変わる等の現象。噴火に至るまで約1か月。避難は可能。
火山監視・警報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山(常時観測火山)
(気象庁ウェブより)
9)南海トラフが起きるのは2030年~2040年。中央値は2035年。
この数字の根拠は、過去の大地震時における高知県室津港の隆起と沈降の記録。
10)首都圏で10階以上に住むのはあまり安全ではない
結論:首都圏は首都直下、南海トラフ、富士山噴火の三つのリスクに晒されていて、どれもほぼ確実に起きる。
噴火予知はできるが地震予知は不可能。せいぜいヘルメットの装備や食料備蓄、家の耐震化ぐらいはしてはらをくくるしかない。
鎌田先生出演の火山の番組
故郷のこの山は、最新鋭の観測体制が整った数少ない火山のひとつ。
きっと予知されて逃げられる、多分。