このところ、本を読んでもなかなかその世界に入り込めない。
なかなか入り込めなかった本は、例えば
山中静夫氏の尊厳死 南木佳士/著
理想のリスニング 阿部公彦/著
主権者のいない国 白井聡/著
泣きたくなるような青空 吉田修一/著
クララとお日さま カズオ・イシグロ/著
八月の銀の雪 伊与原新/著
アマテラスの暗号 伊勢谷武/著
遺伝子のスイッチ 生田哲/著
日本の名作住宅の間取り図鑑 大井隆弘/著
横しぐれ 上・中・下 丸谷才一/著
爆心 青来有一/著
小指が燃える 青来有一/著
聖水 青来有一/著
兄弟 上・下 余華/著
森鷗外集 森鷗外/著
読書大全 堀内勉/著
一人称単数 村上春樹/著
病理医が明かす死因のホント 榎木英介/著
赤本の使い方 和田秀樹/著
プロップテックの衝撃 桜井駿/著
馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。 藤森かよこ/著
等々・・・。
何がきっかけで、これらの本を読もうと思ったのかもはや憶えていない。
でも、普段ならこの中に心をぐいとつかまれる一冊(いや何冊も!)があったに違いないラインナップ。
けれどダメです。
何を読んでも些細な一文でスーッと醒めてしまう。
そしてしばらく放置の後に返却日が来てしまう(ごめんなさい、買ってない)
やられた感が強かったのは(ちゃんと読んでもないのにディスります)
「読書大全」 堀内勉/著
でしょうか。
「世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊」
という枕詞とともに日経などですごく話題になっていて、 一度読んでみよう と借りてみたものの、
分厚くて重い本をわざわざ運んで損した、というのが感想。(買ってもないのに)
なぜってこれ、ビジネスマンとしてのご自分の来し方を語る傍らで200冊の名著の概要を紹介しただけ。
名著を著者独自の方法で煮るなり焼くなりしてあるのかと思いきや、ただの「あらすじ」。
要は面白くないのです。(そう思うのは多分私だけ・・・)
それなのにこの本よくヒットしてるな~。
ビジネスマンはみんな勉強家。
名著の「あらすじ」を知りたいのかなー。
ブンガクのジャンルの村上春樹も鴎外も響かない。
TokyoFMの『村上RADIO』で聴く村上さんの声を思い浮かべながら読んだけれど、ややナルシストな男性視点で描かれる村上ワールドは今や「昭和の日本の夢のあと」にしか映らない。
しばらく本読むのやめて体でも鍛えよう。
そう思う今日この頃。
それでも、そんなささくれだった心に効く一冊(正確には上下二冊)は自宅の本棚にありました。
『ナショナル・ストーリー・プロジェクト①②』 ポール・オースター編
アメリカ文学の旗手 ポール・オースターがラジオ番組のために全米から募り、精選した「普通」の人々の「普通でない」実話たち。
だいぶ前にいくつか拾い読みしてそれっきり。
今読み直すとこれが面白い。
180にも及ぶ物語のテーマは
動物
物
家族
スラップスティック
見知らぬ隣人
戦争
愛
死
夢
瞑想
などに分類され、あらゆる階層の老若男女によって投稿されたもの、とある。
一話は短く、オチらしいオチのない話も多数。
その短い語数の中にフィクションにはない切実さを湛えた物語が展開され、だからこそ読む者の心に刺さり、時に笑いを誘う。
良くも悪くも人生とはこんなにも奇跡と偶然に満ちていたのかと驚く。
そして(人の人生の話を読んで)じんわりと元気になる。
移動がままならぬコロナ禍で、アメリカ大陸のみならず世界中をタイムリープしながら旅できます。
『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』にはジョ二・ミッチェルの曲が似合います。