購読しているコトラーさんのブログで紹介されていて興味を持ち、図書館で予約していた本。
割と早く順番が回ってきた。
1958年、南極の昭和基地。悪天候により第二次観測隊の越冬が急遽中止、第一次観測隊から引き継がれる筈だった15頭のカラフト犬が置き去りにされた。
一年後の1959年、第三次観測隊が15頭のうち生き延びたタロとジロに遭遇したという話は映画『南極物語』でも有名。
しかし、この時生き延びたのはタロとジロだけではなかった・・・。
1968年、昭和基地で一頭のカラフト犬の遺体が発見されたことで、それがやっと明らかになる。
タロとジロと奇跡の再会を果たした第一次隊の犬係、北村氏にも知らされなかったこの犬(第三の犬)は一体どの犬だったのか。
それを探るノンフィクションです。
そしてたどり着くひとつの結論。
監修の北村氏(第一次観測隊の犬係)は、この本が出来上がった時点で88才。
(以下引用)
「タロとジロに再会した、あの時……」
かすれるような声。顔がくしゃくしゃになった。
「〇〇は、すぐそばに埋もれていたんですね。待ち続けたのに――」
南極を駆け抜けた18頭のカラフト犬すべてに平等に光を当てる、という作業の顛末は、涙なしには読めないドラマです。
映画「南極物語」の中で北村氏の役を演じたのは渡瀬恒彦さん。
(映画.comより)
南極観測といっても、限られた資源の中で、ミッション遂行のためにさまざまな研究者が専門外の任務を担って成り立っていたという厳然たる事実に頭が下がります。
一方で、昨年から犬を飼っている者としては、当時の犬の訓練が荒っぽいことが気になりました。
例えば、
「カラフト犬をコントロールするのはこん棒だ。鼻面を思い切り殴れ」
殴られ、だらだらと血を流しても、目は死んでいない。
などの記述はこの時代(1950年代後半)ならではだと思います。
犬学も相当進歩したはずですから。
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この本で思い出した写真。
それは、北村氏のように南極観測隊の隊員として南極に行った、父の同僚からもらったもの。
カヤック? (どこかの海岸だと思えば)なんか楽しそう・・・
ウェブで隊員名簿を見ると、その人の名前が第五次観測隊夏隊(1960~61年=北半球の冬)の中にあった。
当時、まだまだ小さかった父の職場で南極みやげとしてもらった写真の中の一枚なのだろう。
父は半世紀も前に他界したので詳しいことはわからない。
地球のことを調べるのは気の遠くなるような時間と向き合うこと。
(日本の)南極観測がスタートしてから60年以上。
果たして人間は、南極を駆け抜けた犬たちに報いているだろうか。
うちの犬、できるのはせいぜい人間とテレビ見ることぐらいです