退職届?退職願?辞表? | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

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労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

見ていただいて、ありがとうございます<(_ _)>

ごきげんな職場づくりに精を出す

大阪のおばちゃん社会保険労務士松井一恵です!

前回、「紙に書いたものは強いよ」というお話を書いたのですが、

退職届と退職願と辞表、一緒なの?違うの?という疑問にお答えしたいと思います。

 

明らかに違うのは「辞表」です。

これは一般に公職(公務員や議員など)や法人の経営担当者(取締役など)などが役目をおりるときに用いるものです。

会社員が退職の際に使用することはありません。

 

では、退職届と退職願、何が違うの?

 

 

中小企業ではほぼほぼ一緒です。

 

モノの本やら、弁護士さんのサイトなんかでは、

退職届は労働契約の解約の意思表示として効果を発生するので、撤回はできない。

退職願は合意解約の申入れであるので、会社が承諾するまでは撤回できる

等の説明がなされています。とても正しい。

ですが、中小企業の場合、

「社長、俺辞めます」と言って、退職「願」を出した場合、社長は、

「そうか、分かった」と承諾するか、

「ちょっと待ってくれ。話し合おうやないか」といって慰留するか、です。

承諾が当該社員に到達したら、撤回はできなくなります。

退職届を出すのとほとんど変わりません。

会社側が慰留する場合で、話し合ってお互いの合意で雇用継続という話になれば、

「届」でも「願」でも一旦社員に返すことになります。

会社が慰留しても、

社員側が「誰がなんと言おうと辞めます」っていうことであれば、

「届」でも「願」でも意思表示から2週間が経過した時点で雇用契約は終了します。※1

日本の法律は「女工哀史」等の歴史から学び、

労働者の不当な足止めはできない立て付けになっております。

 

ね、あんまり変わらないでしょ。

 

あるとすれば・・・

中小企業でもそこそこの規模であって、

直属の上司に退職「願」を提出し、社長のところに届いて、「分かった」といわれる前に、社員が、

「やっぱ辞めるのやめた。課長、すみません。退職願、返してください」

という場合に雇い続けないかんかなぁ~・・・・ぐらいのことです。

「届」を預かった場合、役職者はちゃっちゃと処理してしまうことですね。

「辞めちゃおっかなぁ~」と思った社員と一緒に仕事するの、

しんどいでしょう。

 

 

ということで、

ま、小さい規模の会社にはほぼ同じだよ、

でも、事務処理をないがしろにしたら厄介なことが起こるかもよ、

という「退職届と退職願のお話」でした。

 

 

※1

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第627条
  1. 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。