冬場の
日本からの帰路
日没の1時間ほど前に離陸
この日は
相方P(シンガポール人)が操縦担当
Sakiは無線担当
天気図的には種子島の近傍から
ジェット気流域を通過する予想だったが
他機からも同じ高度・経路にて
特にCAT(晴天乱気流)のレポートは無く
鹿児島を過ぎた辺りで
地平に沈む夕日を眺めながら、
”綺麗だねー”
と相方Pロットと雑談していた
しばらくして相方Pロット
”Sakiさん、正面の雲が少し高くなってるけど、
ちょうど雲の少し上を行けそうなのでこのまま行くね。”
この時、
機はまだ重く、
現在より上の高度は向かい風も更に強くなるため
高度を変えるのはあまり得策ではなさそうだった
”そうだねー”
と何の気なしに応えたSakiの脳裏に何かが走った
” ん? ん?
待てよ あの雲、
何ていう雲だっけ? ”
見たことあるような気がするが全く名前が思い出せない
でも、
でも、
ひとつだけ頭の片隅に浮かぶコトがある
”あれは、絶対に近づいてはいけない雲”
理由はわからないがとにかくそう思った
すかさず相方Pに、
”あの雲は近づいたらマズイ、
避ける針路の管制許可を取ろうか?”
相方Pロット、
”??? 大丈夫だって。
真っすぐ行こう”
確かに到着予定時刻は定刻より若干の遅れを予期している。
寄り道をしてこれ以上遅れさせたくないのがPロットの心情だが、
それと安全とは別の話
”名前は思い出せないが、
あれはとってもやばい雲。
Sakiを信用して。
針路を変えよう”
相方Pロット、 渋々承知
管制に進路変更の許可を取り
自機の針路を変えたそのすぐ直後、
我々の前方を飛行していた別の機からの無線が…
”当機、
現在位置にて中から強程度の乱気流に遭遇中。
至急高度の変更を求む。”
Pロット 相当慌てている
声から切羽詰まった状況が伝わってくる
我々もすかさず管制に当該機の位置と機種を確認
すると
やはり
矢印の飛行機雲
我々の前方を同じ方向へ向かって飛行していたB777だった。
大型のB777が中~強と報告する乱気流の中へ
中型機のA320で突っ込んでいたらと思うと…
しかもキャビンでサービス中
このB777、乱気流遭遇時に
恐らくベルトサインは消していたと思うけど
大丈夫だったろうか
我々はこの雲を迂回する経路を取り、
全くと言っていいほど揺れずにこの空域を通ることができた
ふぅ
確かこの雲、
むかーし気象のテキストに出てたんだよね
名前も出てこなくて本当に恥ずかしかったけど、
とにかく避けることができて良かった
降りた後ちゃんと調べたら
「浪雲」(なみぐも)
でした。
👇
今回は知識というよりむしろ直感のほうに助けられてしまい、
相方Pロットからはめちゃくちゃ感謝されたけれど、
基本的なことをたくさん忘れてしまっている自分に気が付き、
むしろ情けないやら恥ずかしいやらのフライトでした
基礎知識はとても大切です
勉強しなおそ