Root(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あーーー、憂鬱・・」

 

成は自分のデスクでぼーっとしたあと、思いっきりの独り言を発した。

 

「ナルが憂鬱になるなんて。 めずらしいね。 Mr.ポジティブシンキングなのに。」

 

さくらは意外そうな表情で言った。

 

「そんな称号いらねえ・・。 今度の日曜。 親戚で食事しようってことになってさあ、」

 

「仲良し家族でいいじゃん、」

 

「さっき説明した通り。 なかなか複雑だろ? ウチ。 で。 オヤジの兄貴って人もその食事会に来ることになってて。」

 

「伯父さんってことね、」

 

「そう。 長男だから小野塚の跡取りではあるんだけどー、」

 

「娘が3人だからナルだけでも小野塚に残ってくれっておばあちゃんに言われたんでしょ?」

 

「このさ、現代において。 『家』を続けるってなんなん?って思うわけ。 おばあちゃんは『小野塚の墓を守る人間がいなくなる』って必死の思いでおれを小野塚のままにしたわけだけど。 神崎の方も今の妹と、下の妹だけだろ? おれがピアノの道諦めた時も『税理士になりなさい』って親父はめっちゃ勧めてくるし。 妹がいるからいいじゃんって言ったんだけど。『女の子はどうなるかわかんないから』とかなんとかって。結局、小野塚でも神崎でもおれの取り合いになるという・・」

 

さくらはその話に思わず笑ってしまった。

 

「おれの取り合い・・。 どっちにも大事にされてるってことじゃん、」

 

「この少子化の時代に! 墓を守る子供が減るっていうことは避けられないじゃん。 挙句の果て、いつまで一人モンでいるつもりなんだとかも、うるせーし。 早く結婚して子供作って、とか。 好きにさせろっつーの、」

 

「・・今でも結婚は『家』を繋ぐって意味合いが深いんですね。 まだまだ日本は、」

 

小和も会話に加わった。

 

「さよちゃんちは一人娘だろ? 婿さんもらえとか言われない?」

 

成が訊くと

 

「・・別に。 ウチの父親は三男なので、そんなに深く考えてないと思います・・」

 

「いいなーーー、もう。」

 

成は子供のように不貞腐れた。

 

「さくらんちだってさ。 弟がいるから安泰だもんな、」

 

「まあ・・。 子供のころから旅館とか料亭とかは娘が女将になって継ぐ方がうまくいくってのはよく言われてて。 男が継がなくちゃとは思ってなかったと思うけど。 あたしもピアノやりたいからって親の反対押し切って家を出ちゃったし。 弟に負わせることになったことは・・ちょっとは申し訳ないとは思ってるけどねー、」

 

「もうさ、考えが古いんだよ。・・・」

 

「でも。 今来た妹さんは税理士さんなんでしょ? 事務所は継いでもらえるじゃん、」

 

「おれも。 そう思うんだけどー。 なんかもうとにかくめんどくせえ、」

 

成はガバっとデスクに突っ伏した。

 

 

父の婿入り先の神崎家と伯父の小野塚家はそれぞれ事情が複雑そうです・・

 

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