Prima Stella(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「メイもピアノ三重奏で出るんでしょ?」

 

帰り支度をしながら奏は言った。

 

「うん。 ま。でもパパもママも来れないしね。 張合いもないっていうか、」

 

ボソっとこぼした彼女の一言に

 

「・・誰も。 見に来ないの?」

 

奏はおそるおそる言った。

 

「うん。 別に見に来なくてもいいんだけど。 あたしはコンチェルト狙ってたし。 それ、あんたに取られたし。」

 

気の強さが顔に表れているメイは冗談半分だったが、半分は本気でつまらなさそうに言った。

 

「・・ひょっとして。 割り当てチケット。 余ってる?」

 

「は? チケット? 別に。 今回は誰も来ないし。 あるけど、」

 

「それ。 1枚譲ってくれない?」

 

奏はやや前のめりになった。

 

「え、なに?」

 

メイがたじろぐほどだった。

 

「・・よかったら、」

 

真剣な奏に

 

「・・まあ。 いいけど。 なに? 家族が来るの?」

 

「家族は・・またNYに戻っちゃったから。 先生とホクトの担当の人が来るんだけど・・1枚足りなくて、」

 

「あ! 彼女だ!」

 

メイはピンときてことのほか大きな声で言った。

 

「そんな大きな声。 出さないでよ。」

 

「はー。 彼女の分のチケットを。 あたしに譲れと?」

 

嫌味っぽく言われて

 

「・・じゃあ、いいよ。 他の人に頼むから。」

 

やや気分を害してそう言った。

 

「いや、あげないとか言ってないじゃん。 いいよ。 誰も来ないから1枚くらい。」

 

「ほんと?」

 

「そのかわり。 彼女。 紹介して。 めっちゃ見てみたいから、」

 

「えっ、」

 

「高遠奏の彼女。 見たいから。 あと。 明日のお昼、学食で驕って。 それで取引きしよ、」

 

メイはむふふと笑った。

 

ものすごく嫌な予感がしたが

 

「・・わかりました。 お願いします、」

 

と頭を下げた。

 

「え? 事務所公認? だいじょぶ?」

 

さらにめんどくさいことを言ってくる彼女に

 

「・・公認とか。 そんなんじゃないし、」

 

プイっと横を向いた。

 

 

LINEでひなたに早速伝えると

 

まだ学校だろうに即返事が来た。

 

『やった! たのしみ~~~~』

 

いつものように彼女の顔が浮かんでくるようで、奏はふっと笑った。

 

 

「なにひとりで笑ってんだよ。 気持ち悪いな、」

 

そんなひなたに佑真が声をかけた。

 

「え? 笑ってた?」

 

ひなたはそう言いつつ顔がもう笑っていた。

 

「カナが学園祭でピアノ弾くんだって。 そのチケット。 なかったんだけど・・1枚譲ってもらったからって。 行けることになったんだーーー」

 

嬉しくて思わず佑真にしゃべってしまった。

 

「・・へー。 すげえな。 よくわかんないけど。」

 

「すごい人たちがいっぱいいる学校だから。 その中でコンチェルト?とかオーケストラと一緒にやるヤツ。 それに選ばれたんだって。」

 

「おれも行ってみたいなー、」

 

「は? なんで佑真が?」

 

「・・言ってみただけ、」

 

「なんじゃ、そら。」

 

ひなたの知らないところで佑真と奏が密かに友情をはぐくんでいることなど全く思いもしないひなただった…

 

奏はメイになんとかチケットを譲ってもらうことになりましたが・・

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