「え~、学園祭でピアノ弾くの? あたしも行きたいなー、」
ひなたは思わず声を大にした。
「でも部活でしょ?」
奏は机の上にスマホを置いて頬杖をついた。
「10日だよね。 ええっとその日は・・広尾のイベントがあって。 そこで演技披露することになってて。 そこに一緒に行くから・・。 えっと何時からなの?」
「たぶん・・3時くらいからだと思う、」
「その日はそれが11時くらいにあって。 そのあとは練習ないんだよ。 行ける!」
ひなたは手帳を見ながら喜んだ。
が。
「あーっと・・。 チケットが、」
奏は演者一人につき2枚しかないチケットをさっき志藤とさくらに渡す約束をしてしまった。
「チケット?」
「・・ひとりの割り当てが2枚なんだ。 ・・志藤さんと先生が来るって言うから、」
言いにくそうに最後はものすごく小さな声になってしまった。
「え~~~。 そうなの? 残念・・だけど。 パパと先生ならしょうがないかなあ、」
ひなたは椅子の背もたれに身体を預けてため息をついた。
「でも。 もし時間があるなら学園祭においでよ。 おれも少し時間あるから・・」
「ほんと? じゃ行くね!」
そしてすぐにぱあっと明るい顔になった。
「よろしくお願いします、」
奏はオケのみんなにペコリとお辞儀をした。
この日、初めて学校でコンチェルトを併せることになっていた。
練習なのに。
ホールには女子生徒がわらわらと集まっていた。
「すごいよね。 ジャパコンの本選だって。」
「なんかもう・・。 王子だよね・・。」
うっとりと奏を見つめる。
まだ初日だったので、簡単に流れを抑える程度で練習は終わった。
「雰囲気は良かったよ。 あとは細かい間合いを併せていこう、」
指揮をする教師にそう言われて
「わかりました。 もう少しブラッシュアップしてきます、」
奏は穏やかに答えた。
「あ・・高遠くん。 一緒に写真撮ってもらってもいい?」
フルート担当の女子生徒数人に囲まれた。
「え? あ・・うん。」
それに応じていると
「SNSに出しちゃダメだよ~~。 奏はいちおう『プロ』なんだから、」
後から声がして振り返った。
メイが笑っていた。
「いや、プロじゃないし。 仕事とかしてないから。」
「でも。 会社の許可なしに肖像権を軽々しく冒しちゃダメでしょ。」
「まあ・・」
奏は何となく頷いてその彼女たちに
「・・ごめんね。 ということで。お願いします。 ホクトの担当の人・・すごく厳しいから、」
と言った。
彼女たちが立ち去った後
「あそこに座ってる女子。 みんな奏のこと見に来てる、」
メイは指をさして笑った。
「いや、」
奏は照れくさそうに苦笑いをした。
奏は学校でも注目の存在でした・・
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