Prima Stella(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あまり。 偉そうなことは言いたくなかったんですけど、」

 

奏はあの時涼太郎に色々話したことを、少し余計なことだったのではないかと後悔していた。

 

志藤はピアノに移動して、徐に蓋を開けた。

 

そして静かに

 

カノンを弾き始めた。

 

「連弾したよ。 めっちゃ久しぶりに。」

 

それを聞いて奏はぱあっと嬉しそうな顔になり

 

「・・ぼくも。 よくお母さんとしました。 カノンもやったし・・きらきら星も。連弾じゃない曲も二人でアレンジして・・。 おもしろかったなあ、」

 

志藤の横にやってきた。

 

すると志藤はスッと椅子を移動させた。

 

「?」

 

奏が立ちんぼうになっていると、首で促されようやく意味がわかった。

 

奏は椅子を持ってきて志藤の隣に座った。

 

そして

 

伴奏部分を奏が、主旋律を志藤が弾く。

 

穏やかに響くカノンが

 

心地よく。

 

何も言わなくても、どんどん盛り上がる部分は強く

 

静かに音を引いて行く部分はそっと。

 

 

そこにさくらが帰ってきた。

 

「あ?」

 

志藤と奏が並んで仲良く連弾している姿にぎょっとした。

 

たまに二人で顔を見合わせて笑い合ったりして。

 

・・なに?

 

不気味な感じもあったし

 

それでいて

 

そのカノンが本当に温かくて、穏やかで。

 

さくらは思わず聴き入ってしまった。

 

 

なんか。 

 

こっちのがホントの親子みたい。

 

 

いつも奏に厳しくあれあこれやとうるさいオッサンが。

 

こんなにも愛おしい顔をして。

 

 

するとさくらは二人の間に割り込むように

 

「ちょっとちょっと! あたしの奏になにしてくれてんのよ、」

 

志藤の肩に手を置いた。

 

「あ? なに『あたしの奏』って、」

 

志藤が呆れたように言うと

 

「ね、奏。 あたしとも連弾やろ。」

 

「いや、連弾のためにここに来たわけじゃないんですから・・」

 

「え~。 志藤さんとはできてあたしとはできないの?」

 

「や、そうじゃなくて、」

 

「もー、オバチャンのヤキモチが醜い!」

 

「ちょっと! オッサンに言われたないわ! もう志藤さんが奏のこと大好きってことはわかったからさ、もう、」

 

「誰が大好きとか言うた?」

 

「ひなたの婿さんになってもいいじゃん、もう。 ホントの息子になるじゃん、」

 

「も、ぜんっぜん違うし! それは違うし! ひなたは。 ヨメにやらんし。 ずううっとおれのモンやし!」

 

ふざけて笑い合って。

 

奏は今の自分の恵まれた環境に

 

ただただ感謝するだけだった。

 

 

志藤との連弾の音が優しく響き、奏は今の幸せを噛み締めます・・

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

 


人気ブログランキング

 

↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!

 

 

 

 

 

斯波・萌香編ただいま連載中。毎朝7時ごろ更新していますのでよろしくお願いします!

↓↓↓

『My sweet home~恋のカタチ。4』--Moonlight blue--

 

 

 

『My sweet home~恋のカタチ。1 』 --peach blossom--

 

『My sweet home~恋のカタチ。2』 --bitter green--

 ↑↑↑

夏希&高宮編

 

『My sweet home~恋のカタチ。3』--ash gray--

↑↑↑

八神編 

 

 

過去のお話を再掲させていただいています。

 

こちらもよろしくお願いいたします。