Prima Stella(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・誰の子でも。 関係ない。 奏のこれからを、設楽さんも一緒に見守っていきましょう、」

 

志藤は静かにそう言った。

 

「・・はい、」

 

以前の設楽を思うと

 

信じられないくらい穏やかになったな、と感じた。

 

人は。

 

変わるもんなんだな

 

とにかくとんがっていた以前の設楽が

 

自分の息子を心配するひとりの父親になっている。

 

 

電話を切った後、

 

「設楽さん?」

 

ひなたが聞いてきた。

 

「うん。 明日NYに戻るんやって。 奏をよろしくって。 週刊誌の記者のこと心配してた、」

 

「・・お父さんって、呼んであげればいいのにね。 カナってば『それは・・いいよ・・』とかなんとか言って。」

 

ひなたは笑った。

 

「まあ。 呼び方なんかどうでもええやん。 もう家族やん。 離れていても・・14年間存在を知らなくても。 もう家族やから、」

 

志藤は色んな事を噛みしめながら言った。

 

 

日曜日。

 

志藤は約束の時間より少し早めにさくらの事務所にやってきた。

 

施錠を解いてくれたのは奏だった。

 

「あれ、さくらちゃんは?」

 

「朝ごはんをまだ食べてなかったって言って。 その辺で食べてくるとかなんとか。」

 

「え! 今まで寝てたん? もー、何をやってるんや、30半ば過ぎが、」

 

時計を見た。

 

「ぼくも早く来たので・・」

 

テーブルの上に教科書とノートが広げてあった。

 

「宿題?」

 

「いえ。 明日小テストなので。 少しは普通の科目もやらないと。 学園祭もあって。 1年生のピアコンに選ばれたんです。 その準備もあるし、」

 

「え、そうなん? すごいやん。 あんな天才ばっか集まった学校で、」

 

「いえ。 たまたまです。 他の演奏会の行事もあるので。 別に学園祭だけが特別じゃないし、」

 

こうしていつもいつも自分の力をひけらかすこともなく

 

自然といなしているところも

 

15歳とは思えない心遣いを感じる。

 

 

「今日。 涼太郎くんの発表会・・だったんですよね?」

 

奏はその話を切り出した。

 

「うん。 でも。 みんなの前で弾いても恥ずかしくないくらいになるようにはなったと思うよ、」

 

志藤は笑った。

 

あの時メールで奏が伝えたかったことがきちんと志藤に伝わったことが嬉しくて、少し顔をほころばせた。

 

「ピアノは。 続けるって。」

 

「そうですか。 よかった。 やっぱり自分が好きなものを他の人が好きでいてくれると単純に嬉しいです。」

 

「今度ばかりは。 おまえに教えられたな、」

 

志藤は奏の隣に座った。

 

「え、」

 

「子供の目線から。 モノ考えるとか。 そんなん思ったことなかったし。涼太郎の気持ちも。きちんと考えてやってなかったし。 おまえからメールもらって初めて考えるようになった。」

 

日曜の都心のビルの周りは本当に静かだった。

 

静かな日曜の朝。 志藤と奏はゆっくりと話をします・・

 

 

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