Prima Stella(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

きっと梓さんは

 

少しだけ奏に設楽の影を重ねながら

 

本当に慈しんで彼にピアノを教え続けたのだろう。

 

いつもいつも温かく見守ってきたのだろう。

 

 

志藤はあの母子のことを思う。

 

 

「・・どお?」

 

弾き終えて涼太郎はおそるおそる父に聞いた。

 

「うん。 途中つっかえるところもあったけど。 でも間違えないで弾けたし。 指の運びも良かった。 発表会なんやからみんなに聞いてもらおうって気持ちを持って弾くことが大事やで。 涼が思いながら弾いてることは、ピアノの音を通してみんなに伝わる、」

 

今まで

 

父にピアノを教えてもらって、初めて優しい言葉を掛けられた気がした。

 

少し驚いたような顔のままの涼太郎に

 

「ん? どした?」

 

志藤は怪訝な顔をした。

 

「・・お父さん、怒らなかった、と思って。 今、そんなに巧く弾けなかった、」

 

正直に言う息子に

 

「あ、そうか・・。 いや、普通によかったなって思ったし。」

 

やや照れくさそうに言い訳をした。

 

すると涼太郎は

 

「昨日。 奏くんのレッスンを見た、」

 

ぽつりと話し始めた。

 

「・・先生がすごく厳しかった。 奏くん、すっごく巧いのに一回も褒めなかったし、『もう曲変えた方がいいよ』って言われても、『絶対にこれを弾きたいから』って負けなかった。 先生に一度注意されると、じーっと考えて、楽譜をこうして・・指で追って、」

 

涼太郎は奏のマネをして楽譜を指でたどった。

 

「何回も、何回も。 同じところを繰り返した。 最後まで先生は褒めなかった。 あー、奏くんでも怒られるんだなって思った、」

 

それには少し笑ってしまって

 

「さくら先生は厳しい人やからな。 簡単には褒めない。 それは、奏ならもっとできるって先生は思ってるから怒る。」

 

とつくづく言った。

 

「そのあと奏くんにファミレスに連れて行ってもらった時にね。 『ピアノ好きならやめないで』って、言われた。」

 

涼太郎は少しうつむいた。

 

「それで。 ・・奏くんが、あの『設楽啓輔』の本当の子供なんだってことも。 話してくれた、」

 

「え、」

 

それには少し驚いた。

 

「どうして奏くんが先生やパパと関わるようになったのか。 たくさんの人たちが自分のために頑張ってくれてるってことも。 そういうわけで子供の頃コンクールに出られなかったけど、今はみんなのおかげでピアノ弾いていられるって。」

 

涼太郎はぽつりぽつりと鍵盤に目を落しながら話し始めた。

 

涼太郎もようやく素直になって父に昨日のことを話し始めます・・

 

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