Prima Stella(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「今日は珍しく早いんですね、」

 

その日、早めに帰り支度を始めた志藤に萌香が言う。

 

「ん? まー、たまにはな。 仕事ないわけでもないけど。 また家におらんと子供たちに存在感なくなる。」

 

苦笑いで答えた。

 

「・・清四郎さんも、たまに出張で長く帰らないと翔に顔を忘れられてるんじゃないかって真剣に心配してますよ、」

 

萌香も笑った。

 

「いや、おれ。 事業部の本部長やってたころほんまに子供らからパパはいないって思われてたかもしれん・・。 ほぼ母子家庭というか、ヨメの実家に100%世話になってたし。 ゆうこの兄貴たちがパパやと思ってた可能性あるし、」

 

「まあ。 親が思うよりも子供はしっかりわかってると思いますけど。 取締役のお子さんたちはもうずいぶん大きくなって。 お父さんの仕事もわかってくれるでしょうし。 奥さまもしっかりしてらっしゃいますし。」

 

「もう諦められてるって可能性もあるけどな。 ・・娘はともかく息子は難しいなあ。 父親の背中を見て勝手に育つと思ってたけど、全くそうでもないし。 それは親のエゴやとも思うし、」

 

「きっとあと何年かしたら清四郎さんもすっごく悩むと思います。」

 

志藤は萌香の言う意味をすぐに察した。

 

斯波は自分の父親といい関係ではなかった。

 

父親像が全く見えず、自分の家庭を持つこともしばらく躊躇したくらいで。

 

「子供だけやなくて。 親もハードルを跳び越えないとな。 子供は勝手に身体は大きくはなるけど、心は親が育てなアカンもんな、」

 

志藤はバッグに書類を詰めて静かにそう言った。

 

 

 

涼太郎は本当に7時前に家に帰ってきた父にやや驚いていた。

 

正直、また仕事が入って約束を破られると思っていた。

 

 

「何弾くの?」

 

ピアノの部屋で二人きりになって、涼太郎は非常に緊張した。

 

こうして父にピアノを見てもらうのは本当に久しぶりだった。

 

「カノン、」

 

「うん。 出だしの和音は優しくな、」

 

涼太郎は小さく頷いて弾き始めた。

 

 

プロの演奏家を見ている身として、息子のピアノを見ることは

 

どうしても目が厳しくなってしまいがちで

 

小さな頃から涼太郎のピアノに関しては厳しく指導をしてきた。

 

もちろん

 

プロとは違うし、プロになれるであろう素材のピアノとも違う。

 

こうして拙い息子のピアノを聴くと

 

今はなんだかとても新鮮に思えた。

 

志藤は子育ての難しさを思い知ります・・

 

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