Peaceful(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

トイレから戻ったひなたが

 

「んじゃ。 帰ろうか、」

 

と奏と凛太郎に言った。

 

「ね、おねえちゃん。 今日の夕ご飯さあ、奏くんも一緒に食べようよ!」

 

凛太郎が張り切って言った。

 

「は?」

 

「おねえちゃんの作ったごはん。 奏くんにも食べさせてあげようよー。」

 

その展開に目をパチクリさせていたひなたに

 

「いや、無理しなくていいから。」

 

奏は笑った。

 

「うーん。 そうだね・・。 でも。 今日はもうカナも帰らなくちゃね、」

 

ひなたはそう言って笑った。

 

「え?」

 

「もう4時でしょ。 帰らなくちゃ。 ピアノ、練習しないと、」

 

落ち着いた様子で言う彼女に奏の方がなんとなく意外に感じた。

 

「いや・・家まで送るよ、」

 

「反対方向だから。 今、マンション世田谷でしょ? まだ明るいし送ってくれなくても大丈夫。」

 

笑顔のひなたに奏はやや黙ってしまった。

 

「えー、ちょっとくらいいいのにー、」

 

まだ奏と一緒にいたい凛太郎は不満そうに言った。

 

ひなたはかがんで凛太郎に目線を合わせて

 

「カナは。 もうすぐコンクールだからね。 いっぱい練習しなくちゃ。 すごい人たちと競争するんだから。 」

 

優しくそう言った。

 

そして身体を起こして

 

「さっきの。 ナントカさんにも負けないでね。 高校生だって、16歳だってカナなら大丈夫。 このコンクールで上の方にいけばドイツのコンクールに出れるんだよね? すごいチャンスじゃない?」

 

奏に言った。

 

「・・うん、」

 

お互いに時間がなくて、ようやく取れたこの時間を

 

恐竜に夢中になってしまったことを奏は少し後悔し始めていた。

 

「また。 今度。どこか、いこう。」

 

もうそれしか言えなかった。

 

 

駅までの道、前をてくてく歩く凛太郎の後姿を見ながら

 

奏は黙ってひなたの手をそっと握った。

 

ひなたは嬉しくて奏の方を見たが、少し照れた表情で彼は前を向いたままだった。

 

「『今度』は。 あるからね。 絶対。 待ってて、」

 

そして小さな声でひなたにそう言った。

 

「ウン。 待ってる。 で、今度はお弁当持ってどっか行こうね。 あたし、作るから。 この前ロールキャベツ作ったらめっちゃ美味しくできたから。 」

 

キャベツのなんか

 

が、ロールキャベツだったことがわかり奏はふっと笑ってひなたの方を見て小さく頷いた。

 

「7の段は。 もう一回ちゃんとやり直した方がいいよ、」

 

奏の言葉に

 

「は?」

 

ひなたは一瞬固まった後、

 

「ちょっと! 凛! ヘンなこと言わないでよ!」

 

前を歩いていた凜太郎の頭をペシっとはたいた。

 

「いってえ・・。 もー、なんだよー、」

 

3人で笑って。

 

奏は久しぶりにこんな時間を過ごした、と何だかジンとした。

 

 

 

『だいじょうぶ。 もうカナも練習しなくちゃいけないから家に戻らないといけないしね。 もうすぐ帰るよ』

 

ななみはひなたからのLINEの返信を見て小さくため息をついた。

 

ひなたの方から思いがけずピアノに向き合うように言われた奏はやっと彼女に対しての申し訳なさが沸いて・・

 

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