Peaceful(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

お昼ごはんのあと

 

凛太郎が展示物に夢中になって見ている間

 

ひなたと奏はそれを後ろで見守るようにベンチに座った。

 

「カナがこんなに恐竜が好きなんて知らなかったー」

 

ひなたは素直な感想を言った。

 

「まあ、別に改まって言うことでもないしー。 凛太郎くんくらいの時はスケッチブックに絵を描いたり。 図書館で借りてきた図鑑見ながら。 紙粘土でフィギュアみたいなの作ったり、」

 

奏はそう言ったあと、ふっと言葉が途切れてしまった。

 

「ん? どしたの?」

 

「・・ううん。」

 

取り繕うようにふっと笑って話すのをやめてしまった。

 

「カナが小さい頃のこと。 あんまり聞いたことなかった、」

 

ひなたが言うと奏はうーんと伸びをして

 

「それは。 まあ、いいじゃん、」

 

そう言って立ち上がり、凛太郎のところに行ってしまった。

 

 

東京へ来る前は静岡の浜松にいたってことは聞いていたけど。

 

その頃の話を奏はあまりしない。

 

お母さんと二人きりで過ごした時のことは

 

あまり思い出したくないのかもしれない、とひなたは思った。

 

 

DVDを上演しているスペースがあり、

 

「あ、あれ見たい!」

 

凛太郎が走って行くが、人がたくさんでなかなか見れない。

 

「おねえちゃん、だっこして。」

 

ひなたに振り返ったが

 

「えー? ひなたまだ膝が少し痛いからムリだよー、」

 

もう8歳になろうとしている弟を抱き上げるのはなかなかつらい。

 

「じゃ、おれが。」

 

奏が言ったが、

 

「え、ダメダメ! 凛太郎だってけっこう重いよ? 抱っこなんかして腕や指に何かあったら大変、」

 

ひなたは止めた。

 

「え、」

 

奏は少し驚いて彼女を見やった。

 

「パパがいつもまーくんに言ってた。 手は大事にしろって。 寝る時の姿勢まで注意してたよ。 まーくん、床の上でもどこでも寝ちゃうから・・。」

 

「あー・・」

 

これまで注意はしていても、奏は手のことには無頓着だった。

 

「そんな無理しないでも。」

 

ひなたはそう言って、前に立っていた男性に

 

「すみません! ちょっとだけいいですか? 弟が見れないんで・・」

 

と後ろから声を掛けた。

 

「え、」

 

振り返ったその男性を見て、

 

「えっ・・・」

 

今度は奏が驚いた。

 

 

その男性も奏をじーっと見やった。

 

「え? だれ? 知り合い?」

 

ひなたは二人を交互に見やった。

 

「き、清永さん、・・ですよね?」

 

奏はまだ驚いて目がまん丸になっていた。

 

「・・・」

 

彼は怪訝な顔をしてまた奏をじーっと見た。

 

あの。

 

去年、設楽につれて行ってもらったM響のコンサートでピアノコンチェルトを弾いていた

 

清永蒼太

 

その人だった。

 

そして今絶賛参加中のジャパコンにもエントリーしており、もちろん3次まで残っていた。

 

M響ディレクター・平林が推す

 

新進気鋭のピアニスト、だった。

 

その清永が。

 

恐竜展?

 

奏は一瞬にして色々考えてしまいややパニくった。

 

子供のころの話をあまりしない奏。ひなたはいろいろと思いやります。そして意外な人物と出会い・・

 

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