そして
恐竜展の入口に立った二人は
「う~~~、ワクワクするねっ!」
凛太郎は奏の手をぎゅーっと握った。
「うん! ワクワクする!」
奏も負けずにワクワクしていた。
さっきからひなたは
今まで見たことがない奏
の姿をただただ傍観するだけだった。
「あ! 見て! ティラノサウルスの骨!!」
入ってすぐにティラノサウルスの骨標本が飾ってある中央を凛太郎が指差した。
「わー! でっかいなー!」
奏もやや小走りに近寄った。
「ホントにこんなにおおきかったんだね!」
「うん!」
盛り上がる男子二人のあとからのっそりついてゆくひなた。
「手が身体の大きさに比べてすっごく小さいだろ? ほぼ何に使っていたかわかってないんだけど、頭が大きいじゃん? 頭を手の代わりに使ってたって言われてるんだよ。 あんだけ頭が大きいから、歩く時もねちょっと前のめりに・・」
奏が説明すると
「こんなかんじ!」
凛太郎が真似してみせた。
「そうそう。 うまいうまい、」
「かなでくん、『ジュラシック・パーク』みた? すっごいおもしろかった!」
「みたよ。 DVDでだけど。 すごい迫力だよね、」
「なんで恐竜はいなくなっちゃったの?」
「うーん、いろんな説があるんだけどー・・。 アメリカ大陸のユカタン半島ってトコがあるんだけど。そのあたりの海にすっごく大きな隕石が落ちて、地球の気候が劇的に変化して徐々に滅亡してって説もある。 これだけ大きくなると、身体を維持するのが大変だからね・・。 最終的にネズミみたいな小さい哺乳類が生き残ってそれが人間の誕生に繋がったって言われてるんだ、」
「へえええええ。 かなでくん、ものしりなんだねー。 すごいー、」
いや。
最初っからあたしいらなくね?
ひなたは徐々にそう思い始めていた・・
「ねえ、こっち行こうよ。 順路になってる、」
奏がひなたに振り返ってそう言った。
「え? あ、うん・・」
かろうじてあたしがいることわかってんだ・・
少しだけホッとした。
とにかく二人の恐竜トークが止まらず。
ひなたはただただ黙って話を聞いていた。
「トカゲとかの爬虫類よりも鳥類の方が恐竜に近いって言われてるよねー。」
「おっきいトカゲみたいなのにねー・・」
凛太郎は撮影可能な場所で携帯で写真を撮っていた。
「一緒に撮ってあげる。 そこにいて、」
「うん!」
とにかく凛太郎が生き生きとしていて楽しそうで
ひなたはつまらないながらも弟のそんな姿を見て少し絆された。
「ぼくも、撮って、」
奏も凛太郎に写真を頼んだりしていた。
あたしとじゃなくて
恐竜と撮るのね・・
それでもやはり虚しさも満載で。
ひなたでも見たことがない奏のこのテンションに、ただただ驚くばかりで・・
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