Apricot Candy(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「すみません、レッスン中に、」

 

葦切はいつもと同じように穏やかにやってきた。

 

「・・お父さまは、」

 

さくらは少し気まずいようにそう言った。

 

「一般病棟に移りました。 もう大丈夫でしょうって、先生が。心配かけて、すみません。 これ義姉さんが、」

 

と言っておみやげの紙袋を手渡した。

 

「お義姉さんが、」

 

「さくらさんによろしくと言ってました、」

 

「・・すみません・・」

 

電話で彼にあんな風に言ってしまったことでまださくらの心はモヤモヤしていた。

 

「さくらさん、顔色が・・」

 

葦切もさくらを気にした。

 

「・・大丈夫です。 少し胃腸の調子が良くなかったんですけど。薬を飲んだらよくなりました、」

 

「病院に行った方がいいんじゃないですか、」

 

 

奏はふたりのやり取りをなんとなく聴いていて、さっきのさくらの

 

ちゃんとしてます!!

 

を思い出して、またひとり赤面してしまった。

 

「ほんと、大丈夫ですから、」

 

さくらが何度もそう言うので、

 

「・・わかりました。 じゃあ、今日はこれで。」

 

葦切がみんなに一礼して帰ろうとした時、

 

さくらは猛烈な眩暈に襲われた。

 

部屋の中が一回転したようになり、天井をふと見上げたと思ったら

 

いきなりその場に倒れてしまった。

 

「せ、先生!!」

 

奏は驚いてさくらに駆け寄った。

 

小和も小野塚も慌てて立ち上がる。

 

葦切は振り向いて倒れているさくらを見て驚く。

 

「さ、さくらさん!!」

 

さくらは完全に白目を剥いて気を失ってしまっていた・・

 

 

 

さくらが意識を取り戻したのは翌日の昼だった。

 

「ん・・?」

 

ここがどこなのか。

 

理解するまで相当かかった。

 

「先生、目が覚めましたか?」

 

小和の顔がぼんやりと見える。

 

「・・さよちゃん? あれ?」

 

自分の腕に点滴の針が刺さっていることにも気づく。

 

「よかったー。 ずーっと寝っぱなしだったみたいなんで心配しました。」

 

「あたし、・・どうなっちゃったの?」

 

「急性胃腸炎と過労じゃないかって。 血液検査したらすっごい貧血にもなってたって。」

 

昨日の記憶もなんだが断片的だった。

 

「さよちゃん・・ずっとついててくれたの?」

 

「いえ。あたしはさっき来ました。 葦切さんが夜中じゅうついていてくれましたよ、」

 

「・・耕平さん?」

 

昨夜彼が来たこともよくわかっていなかった。

 

「あれ? 青森じゃなかった・・?」

 

「先生、覚えてないんですか? 昨日葦切さんが来て、お土産持って。 で、その時に倒れちゃったんです、」

 

小和は持ってきたタオルやペットボトルの水などを袋から出しながら言った。

 

「・・・・」

 

一生懸命記憶を辿るが、やっぱり覚えていなかった。

 

「相当、具合悪かったんですね。 もうムリするから、」

 

小和はため息をついた。

 

 

忙しさで体調が良くなかったさくらはとうとう倒れてしまいます…

 

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