Apricot Candy(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「結婚は。 まだまだ全然考えでないよ。 ・・一度、失敗してるし。離婚はキツいわ。 ほんと、」

 

葦切は苦笑いを父に返した。

 

「結婚がね。 一番だなんて。 今は思わね。 父さんから見たらだらしいねえって思うかもしれねっけど。」

 

そんな息子に

 

「そっか。 ま、勝手にやれって感じだけど。 ・・向こうの先生の気持ちも考えねえとな。 男と女は違う、」

 

厳しくて子供のころはただただおっかなかった父親だけど

 

今は同等の大人としてこんな話をしていることがすごく不思議だった。

 

 

「あー、こっち来なくていいからーー、」

 

奏はスマホで、ハイハイする妹の美音の動画を撮るのに夢中だった。

 

「おれが撮ってると絶対こっち来て、スマホを奪おうとするんだよ、」

 

「スマホが好きなのよね。 すごいわね、今の子は赤ちゃんなのに。」

 

母は笑った。

 

「もっと自然に遊んでる所撮りたいのに、」

 

うまく動画が取れず四苦八苦していると、

 

「じゃあ、こっちでおもちゃで釣ろうか、」

 

設楽がぬいぐるみを持ってきた。

 

美音は奏と設楽の間できょろきょろした。

 

しかしやっぱり奏のスマホが気になるようで声を上げながら手を伸ばした。

 

「だめだ、やっぱりスマホだ、」

 

奏は設楽を見て笑った。

 

 

ホントにこんな一家団欒状態がやってくるなんて夢にも思わなかった。

 

 

家族は一緒に暮らしてこそ

 

NYで瑠依に言われたことを思い出して、

 

本当に本当にそうだな

 

と思わずにはいられない。

 

 

「これ。うまいな、」

 

夕食に出たかぼちゃとレーズンとくるみのサラダを食べた設楽が言った。

 

「これね、奏が大好きなの。 ちっちゃいころからいつも作ってたの、」

 

梓は美音に離乳食を食べさせながら笑う。

 

毎日の食事も母が奏の好物ばかりを作って出してくれる。

 

離れて暮らしてあまり寂しいと思ったことはないけど、やっぱり母のいる生活はとてもうれしい。

 

そして、4人の食卓がすごく明るい。

 

 

食後に同じマンション内の別の設楽のピアノ専用の部屋でピアノを弾かせてもらった。

 

手の負担にならないように、とさくらから念押しされているので、いつもより軽めに弾いていた。

 

ふと気がつくと二重扉の向こうに設楽が見えた。

 

ハッとして弾くのをやめた。

 

「いいよ、続けて。」

 

扉を開けて設楽が入ってきた、隅に置いてある椅子に足を組んで腰かけた。

 

一気に緊張が高まる。

 

スクリャービン エチュード Op.8-12

 

コンクールの3次で弾く曲のうちのひとつだ。

 

微塵とも動かず設楽は奏の演奏を聴きつづける。

 

奏も集中して弾ききった。

 

そして

 

ちらっと彼の方を見て、

 

「どう、でしたか。」

 

と訊いた。

 

彼が何て言うのか、ドキドキしてきた。

 

奏はつかの間の家族4人の団欒が心地よく…

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

 


人気ブログランキング

 

↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!

 

 

 

 

 

『My sweet home~恋のカタチ。1 』 --peach blossom--

 

『My sweet home~恋のカタチ。2』 --bitter green--

 ↑↑↑

夏希&高宮編

 

『My sweet home~恋のカタチ。3』--ash gray--

↑↑↑

八神編 ただいま連載中です !

 

過去のお話を再掲させていただいています。

 

こちらもよろしくお願いいたします。