Penny Lane(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「よしっ、」

 

2次予選の結果が貼り出されて、さくらは思わずこぶしを握った。

 

そして後ろに立っていた奏とハイタッチした。

 

「少しモタついたところあったけど。 きちんとまとめられるようになったね。 ミスしても慌てず、それも感じさせないくらい落ち着いてたし、」

 

「内心、しまった!って思ってたんですよ。」

 

奏は笑った。

 

「よかったわね。 ホッとした。 3次はいつ?」

 

母の梓が言った。

 

「2週間後、」

 

「そう。 できればまた見に来たいわ。」

 

母は奏の背中をぽんと叩いた。

 

「志藤ちゃん。 結局来なかったなあ。」

 

南はLINEをチェックしながら言った。

 

「おれ、2次から別に見なくてもええやろ? とか言ってたし。」

 

さくらは笑った。

 

「結局。 信じてるんだよね。 奏のことは。」

 

南も笑った。

 

さくらは葦切に結果を報告しようか迷っていた。

 

LINEを開きながら、それでも何もすることができない。

 

とにかくずっとモヤモヤしている。

 

どうしていいのか自分でもわからない。

 

 

と、思っていた時。

 

バイブレーターが起動してドキっとした。

 

 

『奏くんの手は大丈夫でしたか』

 

 

彼からだった。

 

 

さくらは少し考えてから

 

『大丈夫そうです。 また明日病院に連れていきます。』

 

とだけ返信した。

 

すると時間を置かずに

 

『斯波さんがお休みをくれたので、あと4日ほどこちらにいることになりました。 父はまだきちんと意識が戻っていませんが、これからハッキリするでしょうとお医者様に言われています。 母の方がずっと寝ていないので心配なので少しこちらに残ろうと思います。』

 

長い文面が返ってきた。

 

去年の暮れに葦切の実家へ行ったことを思い出していた。

 

厳格そうだけれど優しそうなお父さん

 

明るくておしゃべりなお母さん

 

あの賑やかな食卓を思い出した。

 

『お大事にしてください。 奏の結果は聞かないのですか。』

 

少しいじわるなメッセージを送った。

 

『聞かなくてもわかります。 3次までまだ少し時間があるでしょうから、手を労わりながら頑張るように伝えて下さい』

 

彼の笑顔が見えるようだった。

 

声を聴きたい

 

そう思うけれど、スマホの画面に映るその文字だけの方が今はいい、と思ってしまった。

 

そこからは何も返さなかった。

 

病状が少し落ち着いた父は一般病棟に移った。

 

ずっと付き添っていた母や姉に代わって、葦切は病室の父に付き添った。

 

本当に

 

年を取ったなあ。

 

母に思ったことと同じことを思ってしまった。

 

静かに眠る父はしわが増え、白髪も増え。

 

漁師だった父は腕っぷしも強かったが、その腕も本当に細くなった。

 

そっとその手を握った。

 

さくらと簡単なLINEのやりとりをする葦切。お互いそれ以上のことはせずに…

 

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