Penny Lane(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

前日、遅くまで社で仕事をしていた葦切は翌朝寝坊してしまいあわただしく出勤の支度をしていた。

 

そんな時に携帯が鳴った。

 

「あーー、もう。」

 

焦って電話に出ると

 

「あ、耕ちゃん? あたし、」

 

良く通る聞きなれた声の主は、義姉だった。

 

「あ、義姉さん? ごめん、ちょっと急いでいて・・」

 

電話に出ながら戸締りをしていると

 

「お義父さん、倒れたの。」

 

その言葉に施錠をしようとした窓に手をあてたまま固まってしまった。

 

 

 

奏のコンクールの2次予選は明日だった。

 

1次は映像審査だったので、聴衆の前で弾くのは最初になる。

 

「じゃあ明日。 早めに来てね。 お母さんは来れるの? あ、美音ちゃんがいるから難しいか・・」

 

「いえ。 せっかくこっちに来てるからって。 美音は預けて行くそうです。」

 

「え、預ける所なんかあるの?」

 

「・・設楽さんに。」

 

戸惑いながら言う奏に

 

「えっ・・」

 

思わずさくらは絶句してしまった。

 

「明日は。 オフだそうなので。 気を遣ってぼくのコンクールには行かないとは言ってたんですけど、」

 

奏もさくらの驚きの理由は何となくわかっていた。

 

あの。

 

あの設楽啓輔が

 

赤ん坊の世話をする。

 

彼の「いろいろ」を知っているさくらにしてみたら余計に信じがたい事実・・

 

「・・へ、へーーー。 あー、そうなんだーーー。そうなんだーー、」

 

そうなんだ

 

を繰り返した。

 

奏はさくらの反応が気になってチラチラと彼女を見やってしまった。

 

しばしひとり頷いた後

 

「じゃ。 遅れないようにね、」

 

と普段の彼女に戻って普通に言ってきた。

 

「あ、はい・・」

 

 

奏が帰った後、

 

さくらは設楽が赤子を相手にする姿を一人想像した。

 

そしてだんだんと何とも言えないおかしみが湧いてきて一人笑ってしまった。

 

ご飯食べさせたり

 

おしめ替えたり

 

泣いてる赤ちゃんをあやしたり。

 

 

赤ん坊の世話を引き受けるという彼は

 

やっぱり自分が愛してやまなかった彼ではない

 

そんな風に思えた。

 

そして

 

スマホを手にした。

 

前に奏のコンクールの日は仕事が休みだからぜひ見に行きたい

 

と言っていた葦切にLINEをした。

 

 

明日何時頃来れますか

 

 

しかしそれはいつまで経っても既読になることはなかった。

 

 

 

 

「あ、さくらちゃーん!」

 

会場前で南が手を振って待っていた。

 

「ちょっと。 女子高生じゃないんだから。 そんなに手ぇ振って…恥ずかしい、」

 

さくらは眉間にしわを寄せた。

 

「ええやん、ええやん。奏の久々のコンクール。見に来れて嬉しくて。 梓さんももうすぐ来るって、」

 

「もうさ。 いい歳なんだから。 少し落ち着いたら?」

 

いつもの調子のさくらだったが

 

「あ、そう言えば。 葦切さん大変そうだね。 だいじょぶやったんかな?」

 

思い出したように南が言った言葉に驚いたように彼女を見た。

 

そして葦切の父が倒れてしまいます。それを知らないさくらは…

 

 

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